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黒田総裁記者会見要旨(10月13日)
――G20終了後の黒田総裁、神田財務官 共同記者会見における総裁発言要旨
2021年10月15日
日本銀行
―― 於・ワシントンDC
2021年10月13日(水)
午後3時37分から約20分間(現地時間)
【冒頭発言】
本日開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議では、世界経済の回復状況に加えて、 パンデミッ
クへの対応、国際課税、気候変動、低所得国支援、金融セクターなどについて幅広い議論を行いまし
た。今回のG20の成果はお手許に配布されていると思いますが、声明に取りまとめています。私か
らは二点申し上げます。
まず、世界経済については回復が続いていますが、感染力の強い新型コロナウイルスのデルタ株の
流行などにより一部の新興国を中心に下押し圧力が継続していることを説明するとともに、日本経済
については新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで先行き回復していくと み
られる、と申し上げました。
次に、G20は気候変動や持続可能性への対応を金融面から支えていくため、サステナブル・ファ
イナンスに関するロードマップを承認しました。気候変動への対応を金融面から支援していくに あ
たっては、G20が主体的な役割を果たすことが重要です。そして日本銀行も物価の安定と金融シス
テムの安定という自らの使命に沿って気候変動問題への対応を進めていく方針であることもお話し
しました。
今回の会議では、国際課税や金融安定面でも大きな成果を得ており、7 月のベネチアでの会合に引
き続き、G20の財務大臣・中央銀行総裁が顔を合わせて闊達に議論を行うことで国際協調が一層促
進されることを確認できた意味でも、大変有意義な会議であったと思います。
【問】
黒田総裁、神田財務官、ご両名にお聞きしたいのですが、まず国際課税の合意の意義について、黒
田総裁は 2000 年頃、ご自身が財務官でいらした頃からこの問題に関して、OECDで有害税制に対
する議論がなされたり、タックスヘイブンについての問題意識が当時からあったと思いますが、やは
り課税主権の問題は非常に壁が強くてなかなか進捗せずに今に至ったということがあると思います。
今回、こういう歴史的な合意に至ったことの背景、何が違うといいますか、どのような違いがあって
こういう合意に至ったのかについて、ご自身の経験も踏まえながらお聞かせ頂ければと思います。ま
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た、神田財務官にも同様の観点から、色々グローバル化の行き過ぎへの反省であるとか、巨大テック
企業が出てきたことによる格差への問題意識とか、コロナが起きたこととか、色々背景はあろうかと
思いますが、どの辺りを重視していらっしゃるか、お聞かせ頂ければと思います。
【答】
具体的にどのようにして合意がなされたかということは神田財務官から詳しくお 聞き頂きたいと
思いますが、この問題は、実は 100年ぶりぐらいの国際課税の原則の修正です。20世紀の初め頃から
国際連盟を中心に、専門家が国際課税のあり方について議論を続けていたわけですが、その中で対立
する二つの考え方があり、一つは英語で言うとフォーミュラ方式、あるいはアポーションメント、割
当方式といいますか、全世界所得をそれぞれの地域の売り上げなどに応じて按分して課税権を与える
という考えでした。しかし、世界的な組織があり、そうしたものをチェックしたり決められるという
ことはなく無理だろうということで、パーマネント・エスタブリッシュメント、PEと言いますが、
支店や営業所、あるいは倉庫があり、そこの売り上げから来る利益はその国の課税当局が課税できる
とする考え方になりました。要するに、本店のある国の課税当局が全部課税するのではなく、PEが
あるところについては、そこでの売り上げに基づく所得はその当該課税当局が課税できるというルー
ルです。これが100年ぐらい続いてきたわけです。ただ、20世紀にはそうでしたが、既に1990年代
の終わり頃からデジタル化により、そうした物理的なPEがなくても、遠くからデジタルで売り上げ
られるものが出てきて、PEはないものの売り上げのあるところで十分課税できないことは不公平で
すし適切でないという議論が既にありました。それがずっと続いてきて、G20で麻生前副総理・財
務大臣が主導してBEPSで議論を始め、更に国際課税の問題に発展し、今回の合意に至った次第で
す。ですから、これは国際課税の基本的なルールを、全面的にではありませんが、一部、根本的に修
正するという意味では殆ど100年に一度の大改正です。それがOECDの努力もあって百数十か国も
の合意が実現して、それをG20でサポートしたということで歴史的な合意だとは思います。
【問】
今回のG20の中で、インフレについても警戒するといいますか、そういう議論が出たということ
なのですが、最近、少し各国中央銀行が想定していた物価上昇が収まっていくようなプロセスが少し
想定より外れているというような状況、数字も出てきていまして、好ましくない物価上昇というか、
これが続くような懸念というのも少し出てきているのかという点について、黒田総裁、お聞かせ頂け
ればと思います。
【答】
もちろん従来から中央銀行総裁の会議では、この問題は当然議論されてきましたし、今回のG20
でも議論にはなっていますが、ご案内の通り欧米諸国では確かに消費者物価の上昇率が物価安定目標
の 2%を超えていることは事実です。しかし、これはあくまでも一時的な要因、サプライチェーンの
混乱やその他の一時的な要因で起こっているので、物価は 2%に向けてまた安定していくという見通
しのもとに金融政策が行われているということだと私は承知しております。もちろん当然のことです
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が中央銀行ですから物価安定は最大の使命ですので、それを危うくするような状況が出てくれば当然
金融政策対応があると思いますが、今のところは基本的に一時的な要因によるということだと各国の
中央銀行の方は考えていますし、IMFも特に恒久的なインフレの惧れが非常に高まっているとはみ
ていないと思います。なお、途上国の場合は、ご覧になっておられると思いますが、中国を含めて物
価はそんなに上がっていません。一部の途上国でかなり物価が上がり、金利を引き上げている国も一
部みられますが、途上国全体で何か物価がものすごく上がっているということにはなっていないと認
識しています。
以 上