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植田総裁記者会見(2月29日)
――G20終了後の植田総裁、神田財務官 共同記者会見における総裁発言
2024年3月4日
日本銀行
―― 於・サンパウロ(ブラジル)
2024年2月29日(木)
午後6時45分から約21分間(現地時間)
【冒頭発言】
世界経済に関するセッションについては、今、神田財務官から概ねお話がありましたので、私から
は今朝ありました金融システムに関するセッションの模様について、ごく簡単にご説明します。その
セッションでは、グローバルな金融システムの安定と金融セクターに関する幅広い課題について、F
SBをはじめとする国際機関等が進めている作業について報告を受け、議論を行いました。特にこれ
まで議論を進めてきました暗号資産やクロスボーダー送金に係る対応に加えて、トークン化、AI等
デジタル技術の進展がもたらす恩恵と脆弱性に対する理解を深めていく ことが重要であるという認
識が改めて共有されました。今後、引き続き作業が進められていくと思いますが、私どもも国際的な
議論の動向を適切にフォローしていきたいと思っております。
【問】
本日、日本の経済の状況ですとか物価に関する動向についてもご共有されたのではないかと思うん
ですけれども、例えば 10~12 月期のGDPではリセッション入りとなりまして、中身をみても、消
費ですとか設備投資ですとか内需が弱くて、先行きを懸念する向きもございます。総裁は先週の国会
でも好循環が強まっていくとの見方を示されたかと思うんですけれども、こうした足元の経済の弱さ
が今後の政策判断にどのように影響するのか、こういったことについても伺えればと思います。
【答】
日本の実質GDPですが、おっしゃるように2 四半期連続してマイナス成長になったわけです。た
だ、一応大まかな姿としては、私どもは、昨年の初めから半ばにかけてコロナからの経済再開を受け
てかなり強い成長を暫く続けた後の踊り場というような感じでみております。もちろんこの間の高い
インフレ率が、消費、あと一部設備投資に若干の悪影響を及ぼしたということはあるわけですけれど
も、ちょっと長くなって恐縮ですが、どちらについてもまずインフレ率がヘッドラインをみますとか
なりのペースで減速傾向にあること、それから特に消費の方は春闘での賃金の結果にある程度の期待
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ができること、従って実質賃金が直ちにプラスに転じるということはないかもしれないですけれども、
追い風の動きが続くということが消費にプラスになるであろうということと、設備投資については、
いつもお話ししていることですけれども、計画が非常に強いということは、どこかで実現してくるで
あろうというふうにみておりますので、基本的にはわが国の景気が緩やかに回復しているという、こ
れがまた先行きもその姿を続けるという見方に、これまでのところ変化はございません。ただ、注意
深くみてまいりたいとは思っております。
【問】
植田総裁には先ほどの質問との関連なんですが、今回のG20では、世界経済、ソフトランディン
グの可能性が高まったということで、日本経済、回復を続けていく見通しということですが、その見
通しにも追い風になる議論だったと思いますけれども、マイナス金利の解除のタイミングやその後の
利上げのペースにこうした前向きな動きがどう影響するのか。
また、総裁は 2%の物価安定目標の実現可能性、蓋然性、もう既に見通せる状況になっているとお
考えでしょうか。
【答】
世界経済および日本経済と金融政策というご質問ですね。世界経済についてはご質問にありました
ように、ソフトランディング、特に米国を中心にソフトランディングがベースラインの見方になりつ
つあるということは、今回も確認できたかと思います。これはただ、ある意味では、私ども直近では
1 月に展望レポートを作成したわけですが、そのときにみていた世界経済についての姿と大体同じも
ので、そのときの見通しが世界経済については確認できたというのが今回の収穫であったかなという
ふうには思います。
そのうえで日本について、物価目標はもう持続的・安定的な達成が見通せる状況になっているかど
うかというご質問ですが、私の考えでは、今のところ、まだそこまでには至っていないということか
と思います。それが見通せるということの確認のためには、これまでもそうしてきましたが、賃金と
物価の好循環がうまく回り出しているかどうか、強まりつつあるかどうかということを確認していく
作業を続けるということだと思います。ただ、そのうえで申し上げれば、今年の春季労使交渉の動向
は、その確認作業の中で一つの大きなポイントであるというふうには考えております。
【問】
重ねての金融政策に関する質問なんですが、今年の春闘の動向が大事だというご発言がありました
が、これまでにもかなりの大企業で春闘、いい数字が出てきていると思うんですけれども、その春闘
の数字が出てきている状況について、コメントとかがあればお願いします。そして市場ではですね、
春闘の結果が分かる3月ないし4月の会合でのマイナス金利の解除や金融政策の転換を予想する声が
ありますが、それに対するコメントですとか、1 月の会見のときと比べて確度がどう変化したかとか
ありましたらお願いします。
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【答】
春闘ですけれども、 ある程度まとまって数字が出てくるのは3月以降というふうに考えております。
ただ、例えば、1 月時点でみていた姿と比べて、現在判明しているところでは、労働側の要求がまず
昨年をある程度上回っているということ、それから企業側も、特に大企業を中心に前向きの姿勢がか
なりの企業から発せられているということ、これらには注目していますけれども、ある程度集計され
た数字が出てきたところで、それ及びヒアリング等で集められた情報を加えて、いろいろな段階があ
りますけれども、春闘あるいは賃金の動きについては確認をしたうえで、その他の賃金・物価の好循
環に関する情報と併せて、各回の会合で議論してまいりたいというふうに思っています。
【問】
今回ブラジルが議長国で、格差とか不平等ということがテーマの一つになっていまして、最初ブラ
ジルの中銀の総裁がインフレを低位に抑えることが格差の是正につながるといった趣旨の話をされ
ていまして、中央銀行としてこういったテーマにどうやって取り組むことができるのか、中央銀行と
格差みたいなテーマでどういったことができるのか、この辺り、ちょっとご意見をお伺いしてみたい
と思います。
【答】
格差に政策的に対応するということでは財政政策の方が本筋の政策だと思うんですけれども、金融
政策に限ってということであれば、直接、格差の是正をターゲットとして金融政策を運営するという
ことは普通ないわけですけれども、おっしゃいましたように、高率のインフレが進行しているという
ようなことになりますと、インフレとともに利回りが上がっていくような資産をあまり持っていない
ような貧困層にとっては非常に苦しい事態になるということが一般的によく知られていますので、そ
ういうことを避けるということのためにも、インフレをインフレ目標の辺りで安定化させるというこ
とが非常に良いことであるという議論は、今回の会合でも複数の方からなされたというふうに覚えて
おります。
以 上