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野口審議委員記者会見(4月18日) [PDF 175KB]

SPEAKER記者会見(4月18日)

PUBLISHED19/04/2024, 00:00:00
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2024年4月19日

日本銀行

野口審議委員記者会見

――2024年4月18日(木)午後2時00分から約35分

於 佐賀市

(問)

二点お伺いします。まず、先ほど開かれた懇談会ではどのようなお話やご意見が挙

がったのか、お聞かせ頂ければと思います。

もう一点ですけれども、佐賀県の経済情勢について、今どのようにご覧になってい

るのか、先行きも含めてお考えを伺えればと思います。

(答)

本日の懇談会では、佐賀県の行政や経済界、金融界を代表する方々から、当地の金

融経済情勢や地域経済が直面する課題などについて、貴重なお話を伺いました。ま

た、日本銀行の金融政策運営に対するご意見も頂戴し、大変有意義な意見交換がで

きたと考えています。この場をお借りして、ご多忙な中で本日ご出席頂いた皆さま

に改めて御礼を申し上げます。本日の金融経済懇談会では、多岐にわたるご意見を

頂きましたので、その全てを網羅的にご紹介することは時間的に難しいですが、席

上で聞かれたお話をいくつか整理して申し上げたいと思います。まず、佐賀県の景

気については、個人消費は堅調ではあるものの、物価上昇を受けて伸びがやや弱め

になっているとのご意見が聞かれました。他方、今年 10 月に開催予定の「国民スポ

ーツ大会」、「全国障害者スポーツ大会」の経済波及効果に期待する声もありまし

た。こうした中で、当地企業の大部分を占める中小企業において、人手不足が深刻

な中で賃上げに取り組まざるを得ないが、原材料費や人件費といったコストの上昇

分を十分に価格転嫁することが難しく、収益環境が厳しくなっているといったお話

がありました。金融機関からは、日本銀行の政策変更が行われた中、経済の好循環

の実現等に貢献するべく、財務・非財務面の両面で取引先企業が抱える各種の課題

解決に向けたサポートに取り組んでいるといったお話がありました。日本銀行の金

融政策運営に関しては、今後、急激な金利上昇が発生した場合、多くの中小企業に

おいて収益の悪化につながり得るため、引き続き地域経済等への影響にも配慮しな

がら慎重に対応してもらいたいといったご要望がありました。また、為替円安を巡

る様々なご意見も頂きました。日本銀行といたしましては、今後も佐賀事務所や福

岡支店を通じて、当地の経済・金融情勢に関するきめ細かいモニタリングを続ける

とともに、当地経済の持続的な成長に向けた取り組みや金融システムの安定性の確

保を後押ししていきたいと考えています。

二番目の佐賀県の経済情勢に関する認識に関するお答えです。佐賀県経済について

は、人流の回復やペントアップ需要などによる個人消費の回復のほか、企業業績の

改善等を背景とした設備投資の増加や雇用・所得環境の改善により、緩やかではあ

りますが回復基調にあります。ただし、足元、個人消費では、節約志向の広がり等

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により回復のテンポに若干の足踏み感がみられます。具体的には、行楽やイベント

関係のほか旅行・観光は堅調な一方、近年の物価上昇の影響から、買い上げ点数や

来店頻度の減少、セール日への需要集中といった慎重な消費行動が広がっています。

福岡県と比べると節約志向がやや強く感じられますが、その一因として、当地にお

ける高齢世帯の割合の高さも影響しているものと考えられます。先行きについては、

足元若干の足踏み感がみられる個人消費についても、企業の値上げの動きがピーク

アウトしつつある中で、消費者マインドが持ち直し、雇用・所得環境の改善が継続

していくもとで、回復テンポの足踏み感は解消していくものとみています。また、

佐賀県では、先ほども申し上げましたが、本年 10 月に「国民スポーツ大会」と「全

国障害者スポーツ大会」が開催される予定にあり、その波及効果も期待されます。

海外の経済・物価動向やその波及、人手不足の影響等、様々なリスクがありますが、

私どもとしては、そうした各種リスク要因が当地の金融経済情勢に及ぼす影響等に

も留意しつつ、今後の佐賀県経済の動向を注意深くみていきたいと考えています。

(問)

足元で円安が進んでいます。加えて中東情勢の混乱で原油価格の先高感みたいなも

のも広がっていて、コストプッシュ型のインフレが再燃するんじゃないかという懸

念も出ていると思いますが、今の状況、まずどうご覧になっているのかっていう点

と、あと実際にそのコストプッシュ型のインフレが再燃した場合に、取り得る選択

肢として何があるのかお考えをお聞かせください。

(答)

まず最初に、円安それから中東情勢を受けた原油等のエネルギー価格上昇、こうい

ったコストプッシュの影響についてでありますが、コストプッシュそれ自身は、特

に輸入価格上昇を起点としたコストプッシュによるインフレ、これはわれわれ、ご

存知とは思いますが、「第一の力」というふうに呼んでいたものであります。コス

トプッシュによるインフレというのは、基本的にはその原因が剥落すれば消えてい

くものであるというふうに思いますので、そういう意味では一時的なものでありま

す。ですから、これは二番目の問いに対するお答えにもつながると思いますけれど

も、基本的にはコストプッシュそれ自身はですね、金融政策によって何か対応する

というよりは、その影響が減衰するというものを見極めるというのが基本的な対応

になるかというふうに思いますが、ただし、今日の午前中の私自身の講演の中でも

お話しさせて頂きましたように、今後、「第一の力」というものが、結果としては

ですね、「第二の力」、つまり賃上げに結びつくと、更にその賃上げが特にサービ

ス価格を中心とした物価の上昇というものに結びつくということになりますと、こ

れは物価の基調的な動きということになりますので、そういったものに関してはで

すね、当然ながらこれは政策で対応していくということになろうかと思います。前

回 3 月での決定会合で政策変更を行ったということの背後にも、この「第二の力」

がまだ完全に 2%の基調には届いておりませんけれども、かなりそれに辿り着くと

いう確度が高まったということで政策変更を行ったわけであります。それは結局、

この「第一の力」が「第二の力」、具体的には賃上げそれからそれを背景とした物

価の上昇、というものに結びついているということから政策変更を行いましたので、

おそらく、今後そういった動きが一層強まれば、それはやはりわれわれ政策を考え

るうえでも、それを十分に配慮していかなければいけない要因にはなるんではない

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かというふうに思っております。

(問)

今日の挨拶の中でもありましたけど、賃金と物価の好循環について伺います。今年

の春闘では、やっぱり高い水準の賃上げも確認されましたけれども、この好循環の

実現には、野口さんご自身どれぐらいの距離感を持っていらっしゃるのか。中小の

賃上げによる価格転嫁の定着とかも含めてですね、まだまだ距離があるとみてらっ

しゃるのか、そこのちょっとご感触、お考えを是非聞かせてください。

(答)

これについてはですね、おそらく、私、他の審議委員の方々でもですね、ある程度

一定の認識の違い、ばらつきっていうのはあるのかなと思いますけれども、私自身

はかなり慎重にその中ではみている方ではないかなというふうに考えております。

それはいくつか理由があるわけでありますが、この価格転嫁がどの程度スムーズに

進むのかというものに対しては、本日のですね、佐賀での皆さまの、経営者の方々

のお話を聞いても、なかなか実情としては厳しいという声が非常に多く上がってま

いりました。それはいろいろな財・サービス、それから中小企業・大企業、そうい

った業態毎にですね、その転嫁というものに対しては非常にタイムラグ [の差 ]が大

きいという事実がございます。例えば、原油とかこういったエネルギーに関しては

非常にスムーズに価格転嫁が進むということでありますけれども、そうでないもの

に対してはかなりタイムラグが非常に大きいと。これは米欧対比でも非常に大きい。

これはやはり、一番大きな理由というのは、 20 年あるいはそれ以上ですね、デフレ

的な経済状況が続いてしまい、賃金と物価のゼロノルム、つまり賃金も物価もなか

なか上がりにくいという状況が続いてきたわけであります。そうしますと、物価が

上がらないということは、転嫁がなかなかしにくくなると。原材料もそうですし、

賃金に関してはますます転嫁がしにくいと。こういう状況ですね。もう確かにこれ

少しずつ進展はしております。進展はしておりますけれども、そこがですね、完全

に解消されるというのには、やはり相当な時間がかかるという認識を私自身は持っ

ておりますので、そこに関しては距離は相応にあるというのが私の個人的な印象で

す。

(問)

二つ伺いたいと思いまして、まずは物価見通しについて伺いたいと思います。 4 月

の決定会合後は基調に近いとされる 26 年度の物価見通しが発表されると思いますが、

野口さんが考える見通しは 2%台に達しますでしょうか。どうした要因が判断材料

になっているのかも併せて伺いたいと思います。

そして、午前中の講演ではバランスシートの縮小について述べられたかと思うんで

すけれども、今後は利上げとどのような順番で進めることになるんでしょうか。

(答)

最初の、物価見通しの数字を具体的にお話しすることは、残念ながらお話はできな

いということになると思いますけれども、方向感としてはですね、私自身も先ほど、

かなり価格転嫁には時間がかかっていると。ですから、賃金と物価の好循環といっ

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てもまだかなり、実現はしつつあるんだけれども、そこに完全に、 2%の基調に達す

るにはそれなりの時間がかかるというふうな見通しは持っております。けれども、

おそらく 25年、 26年というところになればその確度というのは相当高まっている可

能性は十分ある。具体的にその数字を挙げるというわけにはまいりませんが、かな

りですね、そこに近づいていると。 2 年くらいの時間があればですね、さすがに状

況もかなり改善しているんではないかというふうに、個人的には思っております。

それと、次のバランスシートの問題でありますけれども、バランスシートに関して

は、これはなかなかですね、各国の中央銀行の状況をみましても、それぞれ中央銀

行毎に対応が違っているということでありまして。今まさにそれが専門家の間でも

ですね、大きな論議の的になっている点は、バランスシートを縮小するにしても、

じゃあどのくらいのペースでどの点までそれを縮小すればいいのか。最終的には、

一つだけ明らかになっていることは、昔のようにほとんど超過準備を最小にする、

超過準備というのをほとんど無いぐらいまで縮小させるということはおそらくでき

ないだろうと、そこまで逆に言えばする必要はないということについては、大まか

なコンセンサスっていうのは、いろんな中央銀行の間で確立はしていると思うんで

すが、じゃあどのくらい縮小すればいいのか、そのペースはどうするのか、その順

番をどうするのかということについては非常に曖昧、それぞれ、なんていうんです

かね、試行錯誤でやっていくという状況ですので、現時点で日銀がどうするかとい

うのは、先月政策変更したばかりですから、これから議論していくのかなというふ

うには思っております。ただ一つ言えるのは、これは強調しておきたい点でありま

すが、今、日本銀行は基本的には今後の政策変更というのは短期市場金利の引き上

げという、こういう基本的には伝統的な手段を使ってやっていくので、バランスシ

ートを縮小させるにしてもですね、それ自体には政策的な意味はほとんど無いとい

うことだけは、はっきりしているのかなというふうに思っております。

(問)

先ほどサービス価格の上昇とか賃金と物価の好循環のお答えがありましたけれども、

佐賀のような地方でこれが実現するためには何が必要とお考えでしょうか。

(答)

まさにその問題はですね、今日午前中からお昼にかけて、佐賀の経済界を代表され

る方々と議論したところでありますけれども、これはなかなか難しいなと思いまし

たのは、これは特に今、具体的には円安などが長引いていることで、資材が非常に

高くなっていると。円安で恩恵を被る大企業などがかなり恩恵を被って収益も実際

上がっているということはあっても、なかなか佐賀でそういったはっきり恩恵が出

るようなセクターというのがあるのかというと、なかなか難しいということがです

ね、皆さんのいろいろなご意見、お話の中から伺い知ることができた点であります

けれども、私自身はですね、その問題が非常に深刻なのは、要するに、価格転嫁が

なかなかまだ進みにくいところがかなり、こういった地方の中の一部には集中して

いるということかなというふうに思います。例えば、輸入品の価格が上昇したとし

ても、原材料価格が上昇したとしても、それがスムーズに転嫁できればそんなに苦

しいことはないはずだということになるわけですが、しかし、現実にはそれがなか

なか難しいということであります。ですから、そこはやはり大きなタイムラグがど

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うしても生じてしまうので、そこをいかに耐え忍ぶかということになるわけです。

そのタイムラグというのは、先ほどもお話ししましたけれど、要するにわれわれが

ですね、ゼロノルムの世界、デフレあるいはディスインフレ、非常に低いインフレ

の世界に馴染んでしまって、 20 年、 30 年ですね、そこから抜け出す、今非常に過渡

期にある中で、なかなか完全に転嫁をスムーズに行うような意識自身がまだ確立さ

れていない。新しいノルムとしては、まだそういった意識が確立されてないという

ことですが、これはおそらく私は、現実に今いろんなものが動き始めていますので、

賃金も上がり始めているということを背後に、そのノルムというものもだんだん変

わっていくだろうということからすれば、まずは時間を待って耐えるというのが一

つの答えになるかと思うんですが、それだけではやはり不十分かもしれません。幸

いなことに、地方経済にまでまだそこは十分波及してきてはいないかもしれません

が、例えば、この意識という面でみれば、この 2 年くらいの間に、政府それから経

済界、労働界は、例えば賃上げを要求してもなかなか財界は受け入れないというの

がずっと続いてきたんですが、そういった状況が非常に変わってきました。それか

らあと大企業の方、なかなか中小企業、下請けのような企業が価格転嫁をしたいと

思っても、親会社あるいは大企業になかなか受け入れてもらえないという状況もで

すね、少しずつ確かに変わりつつある。これはやはり官民も含めた取り組み、例え

ばパートナーシップ構築宣言みたいな取り組みがあると。それから公正取引委員会

なども非常にその辺を強く意識して、様々な働きかけをされている。そういう一連

の流れというのが出来ているというのも、これも事実であります。ですから、そう

いったことが徐々に今後浸透していけば、こういった地域経済でもですね、かなり

スムーズに価格転嫁して、中小企業の状況が今の世ほど苦しい状況からは、少しず

つ改善されるような状況になるんではないかというふうに思っております。

(問)

追加利上げについて伺います。挨拶の中で、ペースについて主要中央銀行と比較に

ならないほどゆっくりなものと予想していましたが、タイミングについてはどのよ

うな条件が揃えば次の利上げが可能になると考えていらっしゃるのか、ご見解をお

願い致します。

(答)

私自身はかなりゆっくりなものになるであろうというのが基本的なメインシナリオ

だというふうに考えておりますけれども、これは当然データ次第であって、経済状

況次第と。経済状況が予想外に早く進展していくという可能性ももちろんあるわけ

で、その時には柔軟に考えを変えたいと思いますが、じゃあどういう状況に進展す

れば、そういった認識が少しずつ変わっていくのかということについては、私の講

演の中でもお話をさせて頂いたように、一つは「第二の力」の賃金は確かに上がっ

てきたと、今回の春闘でですね。ベアもおそらく 3%を超えるような水準に着地し

そうだということであれば、これが長く続いていく、来年以降も続いていく、定着

していくと。そうであれば、当然、それが今度は賃上げが価格の方に、これまでは

物価が上がったから賃金を上げようねという流れでしたけども、今度は賃上げが価

格の方に転嫁されていくという流れが来る。そこでですね、やはりそれが一番強く

表れるのは、これはやはりサービスであると。というのは、財というのはやはり生

産性の上昇というのがかなり恒常的に起こりやすいセクターですので、それに対し

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てサービスというのは必ずしもそうじゃなくて、もちろんAIとか何かで今後変わ

るかもしれませんが、基本的には技術もかなりもうかっちりと決まっていて、とい

うようなものが多いわけです。かつ労務コストの割合が非常に大きいと。例えば、

理髪なんていうサービスを考えますとですね、床屋さんですが、こういったものを

考えれば非常に明らかなように、賃金の割合というのがコストの中で非常に大きい。

ですから、それは当然そういうサービス業に関しては、賃上げが行われるというこ

とが、当然サービス価格の上昇という形で現れるはずだと。実際、例えば企業向け

サービス価格などではそういった傾向がもう既に現れ始めていますので、それがよ

りはっきりとした形で現れるということが非常に重要だと。これが第一点。第二点

は、もう繰り返しになりますけれど、やはり中小企業も含めた価格転嫁がしっかり

と進むと。この二つが少なくとも確認をすべきポイント、大きなポイントかなとい

うふうに思っております。

(問)

冒頭でもありました為替の動向について、この 4 月になってから、急速な円安が進

んでますけれども、要は物価の上振れリスク、あるいは利上げペースに与える影響

についてはどのように感じてらっしゃいますでしょうか。

(答)

基本は、ずっと円安が続くというのは別ですけれども、円安が起きたとしても、そ

れがそれで終わるんであれば一過性のショックですから、それはやがて浸透してい

けばそれで消えると思うんですが、しかしそうではない可能性は当然あるわけで、

先ほどからお話ししていますように、それが今度は「第二の力」、つまり賃金、そ

れから基調的な物価にまで影響を与えていくということですね。これはある程度円

安というのが長く続きますと、そういった影響っていうのはいろんな形で出てくる

可能性は当然あるわけでありますね。例えば、今いろんな、半導体を含めてですね、

生産が日本の中でかなりまた復活するんではないかと。半導体の工場が日本にまた

国内回帰してくるとかですね、そういうことの中で、地域によってばらつきがあり

ますけれども、非常に地域の中でも人手不足が強くなっているような地域も垣間見

えたりしているわけです。これはもう明らかにですね、これは「第二の力」に寄与

していくということになりますので、そうなれば当然、政策変更する場合にそれを

十分考えていかなきゃいけない要因になるということでありますから、結論として

言えば、為替それ自体にわれわれが金融政策で対応するということはあり得ません

が、その結果として、そういった物価と賃金の好循環といいますか、そういったも

のに影響を与えるということであれば、それは当然それを考えていかなきゃいけな

いと、見極めていかなければいけない影響だというふうに考えております。

(問)

先ほど物価の見通しで基調的な物価が 2%に達するのがおそらく 25、 26 年っていう

ことでしたけれども、その前の段階で、例えば確度が徐々に高まってくる段階で追

加利上げをするという判断もあり得るのか、それとも 25年、 26年になってから、明

らかに確度が高まった段階で追加利上げをするのか、っていう部分をお伺いしたい

ということと。

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あと一点が、 3 月にマイナス金利解除に反対されましたけれども、当時の判断を今

どういうふうにみられてるかという点、お伺いできますでしょうか。

(答)

まず最初のご質問でありますけれども、これはですね、例えば見極めて、完全に

2%の基調的にもう達したという判断が得られなければ政策変更が少しもできないと

いうことになりますと、その時点で非常に急激な政策変更、例えば利上げみたいな

ことを行わなければいけないということになりますので、これはやはりあまりにも

やり方として、なかなかリスクが高い政策変更、やり方になると思いますので、そ

の確度の高まりを見極めながら、その中で少しずつ慎重にやっていくというのがや

はり基本になると。だから 100%もうこれで [2%に ]いったんだ、ということになら

ない限り何もできないというものではないということは言えると思います。

それから二番目の質問に対するお答えでありますが、私が反対した理由は、一つは

今ずっとこれまでお話ししてきた通りですね、賃金と物価の好循環をより慎重に見

極めたいというのが一つであります。これは今でも変わりません。もう一つはです

ね、 3 月の政策決定というのは非常に今までの非伝統的な枠組み、政策の枠組みを、

いわば一挙に転換するという非常にドラスティック、ある意味ではドラスティック

なものだったというふうに思いますので、その影響というのは、ある意味サプライ

ズ的な効果を金融環境にもたらして、かなり例えば長期金利が跳ね上がるとかです

ね、そういったような動きになる可能性はあったんじゃないかと、事前の段階では

私はそういうふうに判断しておりましたけれども、結果としてみると、いろんな要

因があったと思いますけれども、一番大きかったのはやはり春闘で非常に高い賃上

げが、誰も予想していなかったぐらいの賃上げが実現されましたので、そっちの方

が大きなショックであったために、それならあのぐらいの政策変更をやっても当然

だよねっていうですね、逆にそういう受け止め方をされて、結果としてはむしろ一

時的に円安になったりとかですね、その円安は今でも続いてるわけですけれども、

そういうことのきっかけになったりしたということから言えば、非連続的な金融環

境の引き締まりといった、私が危惧していた状況は少なくとも起きていなかったの

かなという点では、安心できる結果であったというふうに言っていいと思います。

(問)

先ほど物価が 2%基調的に上昇するという確度の高まりを見極めるとおっしゃって

ましたが、これ見極めるために、少なくともどれぐらい期間が必要と考えてらっし

ゃるか、教えて頂けますでしょうか。

(答)

これもやはりデータ次第というか、経済状況次第で、これっていうのはなかなか事

前にですね、例えば、見通し期間というのはもちろん設けておりますけれども、見

通し期間中にちゃんと見通した通りになるっていうのは、なかなか実際にはあまり

そううまくはいかないっていうのがほとんどなわけで、逆に言えば相当前倒しされ

る可能性も、もちろんあるわけですね。例えば、先月政策変更を行いましたけれど

も、これも例えば去年とかいう時点ではこれほど早く行われるっていうのは、おそ

らくマーケット関係者もそれほど予想はしていなかったんじゃないかと。それだけ

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賃上げのモメンタムが強かったということがだんだん明らかになってきたというこ

とですね。そういうふうに考えますと、今からどのぐらいのタイミングでっていう

のを、今の時点で、例えば 2 年先のことをですね、一応われわれとしてこういう何

かショックがない限りこういう見通しになるだろうということは言えてもですね、

じゃあショックがないっていうことが言えるかというとそんなことはなくて、もう

予想外のいろんなショック、これはプラスに影響するショックもあればマイナスの

ショックもある、そういうものが起きるということですので、なかなかそこは難し

いなというふうに思っております。

(問)

ちょっとしつこいようですけれども、その点について、利上げのペースですね、か

なりゆっくりなものになるのではないかっていうのがメインシナリオってことです

けども、このゆっくりというのも人によっていろんな定義というか意味合いがある

ので、そこは例えば上手くいけば年内にも追加利上げっていうのは可能になるとみ

ていらっしゃるのかどうか、それがまず一点です。

あともう一点、為替についてなんですが、最近、財界からもですね、足元の円安に

ついて懸念をする声が少し強まっている感じがあります。今の円安、水準について

はコメントされないと思うんですけれども、経済・物価に与える影響について、プ

ラスなのかマイナスなのか、そういったことについてお願いします。

(答)

まず最初ですが、これは追加利上げというのがあるとして、それが今年中なのかそ

うでないのかっていうのは、今年中にないということを言うことはできないという

ことだと思うんですが、あるとももちろん言えないんですが、ないとも言えないと。

それはもう繰り返しになりますけど、経済状況次第で、相当今の状況である種の上

振れ的な、賃上げもですね、相当人手不足感が更に強まるというようなことが起き

る、いろんなケースがあり得るわけですが、そういった形である種上振れ的な状況

が生じる可能性っていうのはいくらでもあると。その場合、それに対してある程度

の調整っていうのは当然行われるというふうに考えておくのは、最も自然ではない

かと思いますので、今年中にやりませんよとかやるつもりはないですよということ

を言うつもりはありません、というのが第一番目です。

それから第二番目の円安についてでありますけれども、これは基本的にはやはり最

大の原因というのは、これはいろんな専門家の方が議論していることがそれほど外

れてはいないと思うんですが、やはりアメリカ経済が予想以上に強い。予想以上に

強いということの反面は、なかなかインフレもですね、ラストワンマイル、 3%前後

ぐらいまでは下がったけどそこから先なかなか下がらないという状況ですから、F

RBもですね、当初は利下げを今年 (注 1) に始めて今年中に 3 回はやると、マーケッ

トの方はもう 6 回 ( 注 2) やるんだというふうに決めつけていたという状況がしばらく

前まであったわけですが、しかしマーケットも含めてですね、もう今年はもしかし

たらやらないんじゃないかとか、あるいは一部の人は利上げをもう一度やるんじゃ

ないかというようなことを言い始める人も出てきたと。これは誰も予想していない

状況だったというふうに思いますので、そういったものがあればですね、当然今ま

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でのドルが非常に強い状況っていうのが、ある種のアメリカの強さというサプライ

ズによって非常にクローズアップされてですね、それがドル高をもたらした。日本

の方は、政策変更をしていてもですね、やはり私が強調していますように、なかな

か物価と賃金の好循環が、どんどんどんどん進むという、さすがにそこまで強気に

はまだなれてない。ということはやはり政策変更もどうしてもゆっくりなものにな

らざるを得ないと。この両方の効果が相まった結果として、今のような状況になっ

ているということかな、というふうに思っております。

(注 1)会見では「今年 6月」と発言しましたが、正しくは「今年」です。

(注 2)会見では「 9回」と発言しましたが、正しくは「 6回」です。

以 上

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