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高田審議委員・田村審議委員就任記者会見(7月25日)要旨 [PDF 309KB]

SPEAKER・田村審議委員就任記者会

PUBLISHED26/07/2022, 00:00:00
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2022年7月26日

日本銀 行

高田審議委員・田村審議委員就任記者会見要旨

―― 2022年7月25日(月)

午後5時から約45分

(問) 最初に質問をお二方にさせて頂きます。まず、審議委員就任にあたっ

ての抱負についてお伺いします。導入から9 年余りになる異次元の金融緩和が

効果を発揮していくために、 これまでのご自身の経験を踏まえて、政策運営上、

どのような役割を発揮していきたいか、お聞かせください。

(高田委員) 本日、辞令交付を受けまして、新たに審議委員になりました高

田と申します。これからどうかよろしくお願いします。私自身は、今から40 年

前に大学を卒業して社会人になり、今年 40 年という節目に当たります。ちょ

うど40 年前に銀行に入り、その後、証券会社、シンクタンクを経て、先日まで

証券会社にいました。その間、多くの期間を、ディーリングルームを中心に市

場業務や金融市場をみるアナリスト、それからストラテジスト、エコノミスト

として従事してまいりました。同時に、日本銀行を中心とした中央銀行ウォッ

チャーとして、外部の目から日本銀行の動向をフォローして きたわけです。

ちょうど今から 40 年程前になりますが、大学時代の頃から中央銀行の動きに

注目してまいりまして、ある面で言いますと、中銀ウォッチャーとしての先駆

け的な面があったのではないかと思います。同時にその間、1970年代以降の半

世紀の状況は、世界が市場化していく、グローバル化していく、その中でも特

に金融の拡大というものがあったわけで、その間私も実務家としてその流れを

体験してきました。同時に、日本はバブル崩壊前後ということでもあるわけで

すが、そのバブル崩壊後の大きな苦境、それからストレス、そういうものにも

金融機関の現場で立ち会ってまいりました。そうした観点からしますと、この

40 年にわたる歴史観を背景に仕事にあたっていきたいと思っていますし、特に、

日本の場合はバブル崩壊以降のきわめてストレスがかかった状況にあった点

を、歴史観としてみていきたいと思っています。単に目先のことだけではなく、

そうした 40 年間の内外情勢、中でもとりわけ日本がかなり異例であったとい

うことを背景にした議論もさせて頂きたいと思っています。ただ、あくまでも

今申し上げた点は、外部のウォッチャーとしての立場であって、日本銀行の一

員として、政策を担う立場というものは自ずとやはり大きく異なるわけです。

それだけに、身が引き締まると同時に、責任の重さというものを痛感していま

す。外部から40 年見続けてきた経験・知識というものをバックに、今後、日本

銀行の中での調査を踏まえ、また同僚と議論しつつ政策に臨んでいきたいと

思っていますし、日本銀行に対する国民的な負託に沿うべく、全身全霊を傾け

ていきたいと思っています。そういう意味では、今申し上げたような日本の特

異性というものが、この9年半に起きた効果にも大きな影響を与えていたとい

う部分がやはりあったのではないかと、私も就任にあたって感じている次第で

す。

(田村委員) 審議委員を拝命しました田村でございます。どうぞよろしくお

願いします。足元、わが国の経済・金融を取り巻く環境が大きく変化している

局面で、この審議委員という職を拝命しまして、その使命の重大さ、責任の重

さを痛感しているところです。誠心誠意、その使命を果たすべく頑張ってまい

りたいと考えています。私は、前職のときに経済調査の仕事をしていた時期も

ありますが、その頃から日本銀行は日本最高レベルの調査・分析機能を有して

いるとずっと思っていまして、これからそういう人たちと一緒に仕事ができる

ことをとても楽しみにしています。私の職歴ですが、民間の銀行に 38 年余り

いました。その中で、よく言われる金融は経済の黒子であるとか、経済の血液

とも呼ばれていますけれども、実体経済を裏から支える重要な役割を持ってい

ると考えています。銀行員生活の中で経営企画的な部署に 20 年間、それから

個人ビジネスの現場に 9年間、それから先ほども言いました経済調査に6年間

携わっていました。経済調査での6 年間の中には、ロンドンに駐在していたこ

と、それから当時の経済企画庁に出向していた時期を含めています。この2000

年前後の金融不安の時代を経営企画で過ごした経験は、金融システムの安定確

保という意味で、日本銀行の責務に貢献できることもあろうかと考えています

し、個人ビジネスの現場の経験は 、消費者の視点で政策委員会の議論にイン

プットしていけるのではないかと考えています。これまでの金融実務家として

の経験・考えを活かしながら、ただ一方で、今後、日本銀行審議委員として得

られる様々な知見というものを、先入観を持つことなく謙虚に吸収して、時々

の状況を丁寧にとらえながら、自らの意見・考えを述べていきたいと考えてい

るところです。

(問) 一点目はお二人にそれぞれ伺いたいのですが、高田委員、田村委員と

もに、市場あるいは銀行・金融部門と、金融政策の波及経路を確保するのに不

可欠なセクターでのご見識がおありと思います。そういう見識を踏まえたうえ

で、今のYCCという政策の持続性またその副作用についての声が高まる中 、

その副作用をどう軽減していくのか、あるいは、やがてはこの政策の出口を模

索しなければいけない局面が近々来るのか、その辺りについて伺いたいと思い

ます。

二点目は、高田委員に是非伺いたい点ですけれども、6 月には長期金

利が急騰しまして、日銀はYCCを維持するために、指値オペ等、様々な手段

で国債を大量に購入しました。再び金利上昇圧力が高まった場合、日銀のこの

YCCは市場の観点からみて持続可能なのでしょうか。例えば 、10 年金利は

0.25 でピン止めできたとしても、イールドカーブの他の年限に歪みが出ると

いった現象が起こりました。こういったことがまた起こる可能性、およびそう

いった歪みについてどのように解消できるのか、その辺りをお願いします。

(高田委員) YCCに関しては、ちょうど昨年の 3 月に、点検で色々な確認

をしていますけれども、その結果として、貸出金利や市場での調達コストの低

下を通じて、緩和的な金融環境が実現できていると理解しています。同時に、

緩和的な金融環境を通じて、企業の収益の動向や労働市場の引き締まりといっ

たマクロ的な改善もあり、その結果として、ある程度賃金が上昇したといった

改善があると思っています。ただ一方で、これはYCCに限らないことだと思

いますが、長期の低金利環境が続く中で、金融機関の利鞘の縮小や国債市場の

機能度への課題があるという点も挙げられているのでないかと思います。

YCCについては、経済・物価へのプラス効果と、色々な面での金融市場への

影響という、この両面を議論していく、その中で適切なイールドカーブ等がど

のような状況になっているのかということを考えていくということだと思い

ます。 昨年3月の点検の作業の中でも、 この色々な議論を行い、 シミュレーショ

ンもしながら、 概ねゼロ%から 0.25%前後という間であれば持続的なのではな

いかとの議論になっていると理解しています。ただ、今後、マーケットの動向

というのは当然変化があるわけであり、私もちょうど本日就任したということ

でもありまして、先々の動向についてはあまり予断を持たず、今後の金融政策

決定会合までに色々と考えたいと思っています。また、一般論としては、市場

の動きに対しては様々なモニタリングを重ねていくこと が基本中の基本であ

ろうと思います。市場の動向に注目し、そこからのメッセージについて見極め

ていきたいと思っています。

(田村委員) 日本銀行の大規模な金融緩和の効果については、今、高田委員

からお話があったように、そのプラス効果で経済が 10 年前と比べれば大きく

改善しているというのは、その通りだと考えています。一般論として、どのよ

うな政策にも効果と副作用というものがあり、効果が政策目的にかなうという

ことであれば、──もちろんその副作用に関して別途の対策が必要な場合もあ

るとは思いますけれども──基本的にはその政策は正当化されると考えてい

ます。そして、効果はあったと思います。ただ、持続的に賃金の上昇を伴うか

たちで、2%の「物価安定の目標」を達成するという好循環が実現しているかと

いう点については、今まさにそれを目指しているところで、ひょっとするとも

うすぐのところに来ているのかもしれないと思います。従って、副作用にも注

意しながら、その好循環が実現していくかをしっかりとみていく必要があると

思っています。 そして、 そういう好循環が実現できれば、 先ほどご質問にもあっ

たような出口戦略が次にあるということで、政策金利の調整や拡大したバラン

スシートの縮小がポイントになると考えています。けれども、そのやり方は、

その時点における経済・物価の状況や金融情勢によって大きく左右されること

になるとも思っています。出口戦略、あるいは金融の正常化と言われたりもし

ますが、それを達成できて初めて、大規模金融緩和という政策が成功・完結と

いうことになると思いますので、今後、執行部からの説明も受けながら、その

時々で適切と考える意見を述べていきたいと考えています。

(高田委員) 出口戦略については、 私の先ほどの回答で言及がなかったため、

付け加えたいと思います。今の時点でどうこういう状況ではないと思っていま

すが、一般論として、出口については常に考えておくべき論点だと思っていま

す。私自身もかつて議論したことがありましたし、これからも様々な議論を進

める局面が出てくるかと思います。

二番目にご質問頂いた今後の金利の状況ですが、あまり仮定に基づい

た議論を今の段階でするのは適切ではないと思っています。ただ、先ほどの議

論と少し重なるところもありますけれども、昨年 3月の点検の作業の中で、概

ね±0.25%という変動幅の中であれば、市場機能をある程度保ちながら、一方

でこれまでの政策的な効果を保てるということであったと思っています。そう

いう観点からは、持続性のある状況と考えてもいいのではないかと思っていま

す。ただ、将来のことについては、繰り返しにはなりますけれども、これから

時間をかけながら、全身全霊を込めて、これまでの知見、これから得られる情

報を踏まえつつ、改めて議論し、またその結果を金融政策決定会合に反映させ

ていこうと思う次第です。

(問) 二点、お二方にお伺いします。まず物価目標についてです。高田さん

は、過去に 2%目標の達成は難しくて、これにこだわれば金融緩和がいつまで

も続くのではないかと指摘されていたと思います。現在、消費者物価の上昇率

は 2%を上回っていますが、日銀が目指す意味での賃金上昇を伴った物価目標

の達成は可能とみているのでしょうか。みていない場合、これを見直す必要は

あるのでしょうか。

もう一点ですけれども、マイナス金利についてです。田村さんは、日

銀がマイナス金利を導入した 2016 年に全銀協の企画委員長に就任されている

と思います。高田さんも、マイナス金利を含めた緩和の長期化が、金融機関の

収益を圧迫しているのではと副作用を指摘しています。マイナス金利政策の導

入から6 年半が経った現在のマイナス金利の効果と、金融機関や市場に与えた

影響をどう考えているのか、なるべく早く見直した方がいいのかを含めて教え

てください。

(高田委員) まず、物価目標ということですが、確かに私もかつてエコノミ

ストだった時に、なかなか 2%の「物価安定の目標」の達成は難しいのではな

いかというような議論をさせて頂いたことがありました。ただ、ちょうど本日

から、日本銀行にこういうかたちで就任させて頂く状況の中で、色々な内外に

おける知見、もしくは情報、色々な議論というものを踏まえながら、これから

改めて実現性などを議論させて頂きたいと思っている次第です。そういう意味

では、これからは、かつての議論とは一線を画させて頂きながらも、当然のこ

とながら日本銀行の使命というものが、2%の「物価安定の目標」を含めて、物

価の安定を通じて日本経済の健全な発展に資するということでもありますの

で、その辺を議論させて頂きたいと思います。ただ、先ほど最初に申し上げた

ところからの議論に立ち返りますと、やはり物価がなかなか上がりにくいとい

うのは、これまでの長い間、物価や賃金が上がりにくいことを前提にした考え

方というか、空気というものが、社会全体に非常に長く根付いてしまったので

はないかと思う次第です。ですから、その転換に予想以上に時間がかかってし

まったということもあるのではないかと思います。 特に、 日本の期待の形成は、

多分に過去の履歴に支配される、いわゆる適合的期待形成というものです。私

も長くエコノミストでいる中で、先ほど 40 年と申し上げましたけれども、バ

ブル崩壊以降と言ってもいいのかもしれませんけれども、そういうストレスと

いうものが、過去のトラウマのような感じとして存在し、そうした状況からの

脱却に予想以上に時間を要してしまったという部分は、やはり大きかったので

はないかと思っています。ただ、そうは言っても、足元の状況を考えてまいり

ますと、物価が持続的に下落するという状況では次第になくなってきたという

点もありますし、今年も含めてベースアップも連続でそれなりに実現してきて

います。また、色々な企業もしくは経済主体のスタンスも変わってきている部

分もあると思いますので、 そういう意味からしますと、 やはり気長にというか、

丹念にというか、持続性を持った対応をしながら、なんとか実現していくとい

うのが正解なのではないかと思っているところです。

それから、二番目にご指摘頂きましたマイナス金利については、ちょ

うど 2016 年からの導入ということで、先ほど申しましたように、金融機関の

収益に対する、やはり利鞘の縮小を通じた影響があるというのも現実ではない

かと思います。ただ、一方で、こうしたマイナス金利も含めた異次元の緩和、

それから「量的・質的金融緩和」、そして様々な金利への対応というものが、

かつての物価や経済環境にある程度の改善をなしてきたというのも、やはり事

実なのではないかと思います。金融機関にとっては、信用コストが低下する部

分も当然あったわけですし、ある程度前向きな動きが企業活動にも出てきたと

いう部分もあるわけです。そういう面からしますと、もちろん一つの副作用と

いうものはあるわけですけれども、先ほどの議論とも同様、バランスをもって

両面を持ちながら議論していくこと、また、その両面をモニタリングしていく

ことが、やはり必要になってくるのではないかと思っています。そういう点も

含めて、丹念に見極めていくことが必要ではないかと思う次第です。

(田村委員) まず一つ目の 2%の「物価安定の目標」についてですが、もと

もと 2%が設定されたのは、皆さんご存知の通り、統計上のバイアスや政策対

応力の確保、グローバルスタンダードということです。それはその通りでしょ

うけれども、一方で、高田委員からもお話がありましたように、わが国社会に

根付く考え方や慣行が、2%の「物価安定の目標」と整合的なのかといったよう

な議論もありますし、逆に、わが国が長く染み渡ったデフレから完全脱却する

ためには、もっと高い目標を、という議論もあると認識しています。更に物価

というものは、金融政策だけではなく、様々な要因で変動するものだと考えて

います。従って、日本銀行審議委員という立場になりましたので、何がベスト

なのか、執行部からの説明も受けながら、丁寧に謙虚に考えていきたいと考え

ています。 先ほど、 私の職務上の経験から個人取引部門を担当していた視点で、

ということを申し上げましたけれども、 例えば、 物価に関して申し上げますと、

やはり日本の消費者もしくは個人は、──欧米のことをそんなに知っているわ

けでもないですけれども ──リスク回避的な行動というのが欧米より強いの

ではないか、それが物価があまり上がらないことにもつながっているのではな

いかと感じていました。例えば、感染症が拡大したときに、米国では外食や旅

行ができない代わりに、百貨店で耐久消費財を買うという動きが割と広がりま

したけれども、日本ではそうはあまりならず、その分貯蓄がどんどん増えてい

くといったようなことになりました。 あるいは、 物価が上昇してくるとなると、

私が銀行で取引していたお客様は、老後の備えのために貯蓄していて、物価が

上がるならもっと貯蓄しなければという動きも出てきました。それから、よく

言われますけれども、賃上げよりも雇用の安定を求める、そういった日本の特

性なども、個人取引を担当していた身からは実感していますので、繰り返しに

なりますけれども、今後、執行部からの説明も受けながら、謙虚に考えていき

たいと考えています。

二つ目のマイナス金利の効果については、全銀協の企画委員長をして

いた頃から私の言っていることは変わっていないつもりですけれども、もちろ

ん効果と副作用があって、そのバランスをしっかりとチェックして、政策を続

けるのかを考えてほしいということを日本銀行に対して申し上げていました。

それは、今でもその通りだと思っています。先ほど来、話が出ている通り、効

果というのはやはり一定程度出ている一方で、マイナス金利がどこまで限界的

に効果があるのか、そういったことも含めて、今後は日本銀行の立場として 、

しっかりみていきたいと考えています。

(問) お二方に伺いたいのですけれども、春頃から急速な円安を伴って、為

替が急変動した局面もあるのですけれども、その為替動向についてどうみられ

ているかというのをお伺いできればと思います。

(高田委員) 為替については、基本的に日本銀行ということよりは、政府の

方で、一つの動きをみているのだと思いますけれども、一方で、日本銀行の政

策や経済全体に関わるところは当然出てくるわけですので、そう いう面から、

やっぱりみていかなければいけないと思います。そして、為替の動きとなりま

すと、当然のことながら様々な要因があるわけですから、金融政策が絡むとこ

ろはあろうかと思いますけれども、為替の動きは相対的なものですから、日本

だけではなくて海外の動き、そうした相対的な環境ということでもあります。

そういう面からしますと、もちろん日本の環境変化というところ以上に、最近

の動きをみていますと、やはり海外、中でも米国であり欧州、もしくはグロー

バルで、大きな環境変化があったという中での状況ということではないかと思

う次第です。為替について一義的に日本銀行がどうかという議論については、

私はコメントを控えたいとは思っています 。ただ、一般論として言いますと、

この為替の大きな変動というのは、当然、先行きに対する不確実性を高めると

いう状況でもありますので、そういう面から、変動というものは、どうしても

やはりある程度安定させていくことが必要だということです。また、そういう

ことに対応しながら、政策全般的な対応を取っていくことが必要になってくる

のではないかと思います。 ですから、 特にまた今後の動きについては、 私自身、

就任してから様々な情報を得たうえで、色々判断させて頂きたいと思う次第で

す。

(田村委員) 今の高田委員のご発言にあまり付け加えることもないのですけ

れども、民間で経営企画をやっていた立場としても、短期間での為替の大幅な

変動は全くもって望ましくなく、為替がファンダメンタルズに沿って安定的に

推移することが望ましいというのは、まさに実感としてそうだと思います。こ

の為替相場は、内外金利差だけではなく、経済・物価情勢の相手国との違いや

国際金融資本市場の動向、輸出入からの需給など、色々な要因によって変動し

ます。先ほど、昔、経済調査を担当していたと言いましたけれども、30年以上

前に担当していた頃、為替相場の担当もしていたのですが、その頃はとにかく

毎月、米国と日本の貿易収支が発表されると為替相場が大きく動くというよう

な時代でした。申し上げたいことは、現在は、市場が金利差、それも実質金利

差ではなくて名目の金利差に注目してこういう動きになっていますけれども、

為替相場の動き、それから何よりも重要なこととして、それが経済や物価にど

のように影響を与えていくのかについては、しっかりと注視していく必要があ

ると考えています。

(問) 足元で新型コロナウイルスがまた急拡大しておりまして、感染者が増

える状況にあります。また、海外経済、欧米を中心に物価高や引締めなどで減

速懸念も強まっていますが、先行きの日本経済について、この辺のリスク要因

が顕在化して日本に与える影響に対して、どのように今、懸念を持たれている

のか、リスクに感じておられるのか、ご見解をお願いします。

(高田委員) やはり色々な意味での不確実性が今は非常に大きいと思ってい

ます。一つは、今ご指摘がありましたコロナの状況です。もう3 年目に入った

わけですが、依然としてこれだけ足元も大きな感染があるという状況です。そ

れなりにこの 2 年半の中での知見とか、色々な意味での医療的な対応というも

のが出てきたとはいいながらも、やはりこれも依然として不確実な面はまだ拭

い去ることができません。そういう意味では、経済へのサポートがやはり必要

ではないかと思います。それから、二番目にご指摘があった欧米を中心とした

動きというか物価高の状況には、ウクライナ紛争等の地政学的な問題、それか

らコロナ後というような状況の中で欧米を中心に物価が非常に上がり、労働市

場も非常に逼迫しているというような、供給面・需要面の両面で大きな不確実

性を抱えているという部分があるのではないかと思います。それを受けて日本

経済の動向ですが、このコロナの動向というものも、確かに足元、非常に感染

の面で不確実性はありますが、経済全体からいえばウィズコロナという方向に

向かってきたという部分もあるわけですから、正常化の方向に向けた一歩を踏

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み出しているという部分もやはりあるのではないかと思います。また、日本経

済も非常に長いトンネルという状況の中で、ようやく企業セクターのマインド

というか、物価の動きもそうですが、こうしたところも基調としてみれば改善

してきている流れもあることを踏まえると、そういう面での改善の動向という

か、そういう基調やトレンドは出てきているのではないかと思う次第です。し

かしながら、 今申し上げたようなコロナにおける不確実性、 それから内外経済、

中でも海外においては急速な金融の引 締めの流れに入っている国もいくつか

出てきているという状況ですから、そうした状況の中で、当然のことながら一

部先行きの海外経済に 減速といった思惑も出てきているということもあるわ

けです。そうした展望を背景にしながら日本経済の動きについてみれば、基調

としては改善の流れにあるということかと思いますが、やはりまだ予断を許さ

ない不確実性を抱えている、そういう脆弱性という部分があるということでは

ないかと思っていますので、そうしたことを背景にしながらの対応がやはり必

要ではないかということです。それから、最初のところで申し上げましたよう

に、この40 年間を考えますと、この 40 年という流れは、先ほど申しましたグ

ローバル化もしくは市場化というものが、やや転換というような動きを迎えて

いる部分もあるわけですから、そういうことも踏まえた歴史観というか、特に

そういう中での日本の立場というか、かなりストレスを抱えていたというよう

な中からの改善であるということも踏まえながらの見方というものも、同時に

必要なのではないかとみている次第です。

(田村委員) 私も日本経済は、基本的には改善していく方向にあると考えて

いますが、今、記者の方がおっしゃられたような例えば感染症の再拡大、ある

いは海外経済の下振れ、それからウクライナがどうなっていくのかという下振

れリスクはやはり抱えていると思います。そのリスクが万が一顕在化してし

まった場合に、どのくらいのインパクトで顕在化するのか次第で日本経済に与

える影響は当然変わってくるわけですが、今の時点でその下振れリスクのイン

パクトがどれくらいかは、 ちょっと予見しがたいので、 しっかりみていく、 しっ

かりみていって果断に対応するということしかないのではないかと考えてい

ます。

(問) 為替について追加で聞かせてください。先ほど、短期間での急激な変

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動は経済にとってマイナスであるという点では、お二人ご意見が一致していた

かと思うのですけれども、為替の急激な変動を予防したりですとか、あるいは

急激な変動が起こったときにそれを緩和させたりですとか、そういった政策の

中で、中央銀行が一定の役割を果たし得るとお考えになるか、この点ご意見を

お伺いできればと思います。

(高田委員) 為替については、先ほど申し上げましたように、当然そうした

動きに対応するというのは、日本銀行の立場で行うということではないと私は

思っていますし、政府の対応ということになるのだろうと思います。ただ、当

然のことながら、為替の変動が経済全般また金融市場にも影響を及ぼすという

ことはあるわけですから、それに対して包括的な意味から、日本銀行で対応し

ていくということは、もちろんあろうかと思います。そういう面から言います

と、経済全体の体温に持続性があるよう緩和姿勢を示しておくということにな

るわけなので、そういう意味では、短期的な動きに対応して、それぞれの動き

をみて日本銀行が対応していくということより、これまでの「量的・質的金融

緩和」の効果によって経済全体の動きを高めていく、もしくは持続性のあるも

のに育てていくというかたちでの対応が中心になっていくのではないかと私

は思っています。ただ、いずれにしましても、今後も当然市場の動きは目を離

すことができない状況かと思いますので、そうした経済に対する支え方自体も、

今後の動きを見ながらというかたちになるのではないかと思います。また、今

後ということになりますと、先ほど申し上げましたように、予断を持って申し

上げるようなことは、今の立場としてはできないわけですので、今後の金融政

策決定会合の場で、改めて私の方でも姿勢を示しながら、またそれまで色々な

知見を情報収集しながら対応させて頂きたいと思う次第であります。

(田村委員) これについても高田委員と基本的な考え方は同じですが、中央

銀行たる日本銀行としては、為替相場の動きを注視して、為替相場の動きが経

済や物価に与える影響に応じて、金融政策をとっていくということに尽きるの

だろうと考えています。

(問) 一般にインフレに許容的だったり、金融緩和スタンスに考え方が近い

場合をハト派、逆にインフレに警戒的であったり金融引締めの考え方に近い場

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合はタカ派と呼ばれたりします。お二人は自分でハト派なのか タカ派なのか、

それとも中立派なのか、考えをお聞かせください。

(高田委員) ハト派かタカ派かどちらなのかということですが、私自身考え

ますと、先ほど申しましたように 40 年間対応してきたということから申しま

すと、局面に応じてタカだった時期も当然ありますし、また一方でハトだった

時期もあると色々考えているところです。今ハトかタカかどちらかということ

を決めるというより、日本銀行が 2%の「物価安定の目標」を定めながら、そ

の局面によって今はこうしたものがいいのではないか、場合によってはタカが

いいのではないか、また状況としてはハトの局面がいいのではないかというよ

うなことを考えながらというのが、今後の私自身のスタンスということではな

いかと心得ています。そういう意味では、どちらかと言われますと、私も困っ

てしまう部分もありますが、 あくまでも、 これから5年間という期間のミッショ

ンを与えられていますので、今申し上げたような中で判断をさせて頂きたいと

思っている次第です。

(田村委員) ハト派、 タカ派、 その定義が何なのかということもありますが、

民間でずっとビジネスをしてきましたので、自分の主義主張を一つに決めて、

いつでもこういう意見であるといったタイプではありません。プロ野球のファ

ン・チームは、物心ついた頃から鷹派ですが、日本銀行審議委員としてはこれ

からの状況を本当に謙虚にとらえて、都度考えていきたいと考えています。

以 上

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