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雨宮副総裁記者会見(7月21日)要旨 [PDF 321KB]

SPEAKER記者会見(7月21日)要

PUBLISHED26/07/2021, 00:00:00
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2021年7月26日

日本銀 行

雨宮 副 総 裁記 者 会 見 要旨

―― 2021年7月21日(水)

午後2時00分から約40分

(新潟市・東京間オンライン開催)

(問) 二点お伺いします。一点目は、今日の懇談会で出席者の方からどんな

声がありましたでしょうか。また、副総裁としてはそういった声をどのように

受け止められましたでしょうか。

もう一点は、今日の懇談会を踏まえまして、副総裁としては、この金

融緩和政策の新潟県における効果、または金融機関の収益等に対するいわゆる

副作用の程度というのをどのようにご評価されていますでしょうか。よろしく

お願いします。

(答) まず、本日の懇談会では、行政や経済、金融面で新潟県を代表する方々

から新潟県経済の現状に関する大変貴重なお話を伺うとともに、日本銀行に関

するご意見もいくつか頂きました。全てを網羅して紹介することはなかなか難

しいので、話題をいくつか整理してお話ししたいと思います。

まず、県内景気の現状については、個人消費面ではやはり新型コロナ

ウイルス感染症の影響から、宿泊、飲食を中心とする対面型サービス業で引き

続き厳しい状況が続いています。一方、個人消費の中でも消費財の一部につい

ては、巣ごもり需要等もあって持ち直しの動きが続いているとの声が聞かれま

した。生産面では、半導体不足や資源価格高騰の影響を懸念する声はありまし

たが、全体としては、海外需要の回復を背景に持ち直しているとの話を伺いま

した。全体としては、対面型サービス業を中心に厳しい状況が続いているもの

の、製造業を中心に持ち直しの動きもあるということで、これは私どもの新潟

支店の判断と軌を一にするものでしたし、おそらく、私どもが判断している日

本全体の状況とも軌を一にする状況ではないかと思いながら伺いました。

同時に、大変印象的だったのは、この足もとの経済状況と並び、むし

ろ先行きのポストコロナを見据えた取り組みについて、行政や企業の方からも

熱心にお話があったことです。 例えば、 ポストコロナに向けた企業体質の強化、

創業支援、デジタル化、高付加価値化支援、脱炭素の取り組み、新商品・サー

ビス開発支援、そして、これは新潟らしいと思いましたのは、食と農のスマー

ト化です。あるいは、首都圏に近いことを反映して、在宅勤務の機会をとらえ

た――地方移住も含めたということでしょうか― ―まちづくり体制の整備な

ど、ポストコロナに向けた色々な試みのご紹介がありました。

行政や金融界の皆様方からは、ワクチン接種の加速や、企業の資金繰

り、消費喚起の面で、様々な施策を通じて今後とも企業や家計を強力にサポー

トしていきたいとのお話がありました。

全体として、新型コロナウイルス感染症の影響が続いているもとで、

今申し上げたような当地関係者の短期、中長期の様々な取り組み、また、ポス

トコロナも見据えた新潟県経済の発展に向けた各種の施策やご意見を伺い、非

常に心強く感じたところです。

それから金融緩和の関連ですが、これはやはり相当色々ご意見が出ま

した。 冒頭申し上げた通り、 対面型の非製造業を中心に依然厳しい状況が続き、

金融面でも厳しい状況が続いているということでした。もっとも、同時に、金

融緩和の効果という点では、私どもの新型コロナウイルス感染症対応金融支援

特別オペが機能しているということもあり、運転資金、設備資金ともに十分な

金額を低利で調達できている、あるいは資金繰りの助けになっているといった

声は私どもの新潟支店からも聞いていますし、本日も企業の方々から随分そう

した声は伺いました。全体としては、私どもの大規模な金融緩和が、資金調達

環境の安定などを通じて経済を支えている、との声が聞かれたと思います。た

だ、冒頭申し上げた通り、対面型サービス業を中心に引き続き厳しい――非常

に厳しいところは非常に厳しい、というと当たり前ですけれども――という指

摘もありました。やはり、対面型のサービス業が中心ですが、企業金融にスト

レスがかかる状況が続いていることを改めて認識しましたので、私どもとして

も、こうした認識を踏まえ、「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」

の期限を半年間延長し、引き続き企業金融を支援していく構えであることを、

私からもご説明しました。

それから、本日の席上、日本銀行に対していくつかご意見等はありま

したが、金融機関から、ご指摘の金融機関収益の話はありませんでした。 ただ、

ご指摘という点で申し上げておくと、今はきわめて一般的なお話ということだ

と思いますが、借りても低利、運用しても低利、という低金利環境が、前向き

な企業努力に却って水を差すという面はあるのではないかというご指摘もあ

りました。私からは二つお答えして、一つは日本銀行としては、経済活動が活

発化し、それに伴って賃金も物価も上がるという好循環を反映して金利が 上

がっていく、という姿を想定してそのために色々努力をしているので、やはり

何といっても、経済の実力を強くしてそれに応じて自然な格好で金利が上昇し

ていくことが大事だろうと思うということを申し上げました。もう一つは、低

金利の問題については、やはり私どもも色々な副作用があることはよく承知し

ているので、金融緩和政策の効果と副作用の両方を比較衡量しながら、適切な

運営をしていく、ということは申し上げました。

金融機関収益の話自体は出ませんでしたが、当然、私どもは効果と副

作用を比較衡量しながら適切な判断をしていくということですし、本年3月に

は、金融仲介機能への影響といった副作用も抑制しながら、より効果的で持続

的な金融緩和を実施するとの観点から、「貸出促進付利制度」を創設するといっ

た必要な政策対応を行ってきています。

(問) 脱炭素経済・脱炭素社会への今後の移行が、新潟県の経済にどのよう

な影響を与えるのかという点につきまして、ご意見・ご所見をお伺いさせて頂

きたいと思います。

(答) 本日の懇談でも、ポストコロナを見据えた中長期的な課題との観点か

らの発言が多くあり、その中にはDX化や創業支援などもありましたが、やは

りサステナビリティや脱炭素の取 り組みに関するご指摘も たくさんありまし

た。もちろん新潟県の企業が脱炭素化に取り組むことは、温室効果ガスの排出

規制や消費者行動の変化といった低炭素社会への移行に伴うリスクに備える

ということもありますし、地域資源を用いた再生可能エネルギーの商業化 や、

脱炭素化による地域の魅力向上といったメリットもあるのだろうと思います。

広く気候変動問題への対応ということを考えると、新潟は古くから自然災害へ

の対応が大きな課題になってきた土地柄ですので、 この間、 様々な対応の知恵、

あるいは施策の方法もある程度蓄積されてきていると思います。そうした点か

らも、新潟県の行政や経済がこの点で取り組みをリードしていくのは良いこと

だろうと思います。本日も脱炭素の話題はたくさん出ましたが、私どもの新潟

支店からも事前に随分勉強させてもらいました。付け焼き刃で恐縮ですが、例

えば、新潟港のカーボンニュートラルに向けた検討、あるいはブルー水素プラ

ントなど、色々な新潟県の取り組みを勉強させてもらいました。新潟港の取り

組みも、日本海側を代表する取り組みとして注目が集まっていますし、様々な

企業毎の取り組み、使用電力を再生可能エネルギーに切り替える、プラスチッ

クの調達を減らすといった個別企業の努力もあるという ことも新潟支店から

聞いています。是非、こうした取り組みでリードしていってほしいと思いまし

た。

(問) 気候変動のためのスキームを、先日、日銀として骨子を公表されまし

て、これまでの金融政策から裾野が拡がっているようにもみえますが、政府は

グリーンのほかにデジタルも成長戦略に入れています。今日公表された6月決

定会合の議事要旨では、一人の委員が、ポストコロナ時代に向けた経済社会構

造の変化を踏まえて、日銀としても様々な工夫を検討していく必要があるので

はと指摘されていました。日銀が、ちょっと気が早いですが、気候変動以外に

こういった構造変化に対応できる措置について、新たな分野に踏み込んだ措置

をとる可能性があるのか、漠然とした質問で恐縮ですが、その辺についての考

え方を教えてください。

また、これに関連しているのですが、最近「貸出促進付利制度」、ま

た、今回の気候変動への取り組みと、日銀の政策がどんどん多様化・複雑化し

てきているように思います。その理由や背景について、副総裁ご自身はどうみ

ていらっしゃるでしょうか。

(答) まず一つ目ですが、マクロ経済政策主体として中央銀行が行うべき金

融政策ということについて、基本的なあり方を考えた場合、いくつか重要な要

件があると思います。一つは、それぞれ国毎に多少違いますし――だいぶ共通

しているところはありますが――、それぞれの中央銀行に課せられたマンデー

トの範囲内で、あるいはマンデートとの整合性を保ちながら行うということで

す。もう一つが、マクロ経済政策主体として、政府・国会から独立性を付与さ

れている以上、個別の資源配分への介入はできるだけ控えるような対応を取る

べきということが基本原則になると思います。ただそのうえで、この原則で綺

麗な万古不易の線引きができるかというと、そう話は単純ではないです。例え

ば中立性といっても、ぴったり中立かというと、例えば世界の中央銀行も、国

民経済に存在するあらゆる全ての金融資産を全部比例的に買っている わけで

はなく、色々な理由で応用を利かせながら買っています。今申し上げたような

マンデートの範囲内で、マンデートと整合的という条件のもとで、それぞれ必

要な経済政策の対応は、時代とともに変わっていきますので、今あるやり方が

全てということではないと思います。ただし、何度も言いますが、中央銀行制

度という民主主義の中で決まった、付託されたマンデートを実現するうえで、

かつその独立性、自主性を持ちながらやるという範囲の中で、やるべき原則と

いうのは維持すべきだろうと思います。その中で、例えば日本銀行も、最近で

は成長基盤強化という、おそらく普通の考え方では、潜在成長力の強化そのも

のは、伝統的な中央銀行の金融政策の目的には入らないわけですが、日本の場

合は「デフレ脱却」という、大きな日本銀行の目的を達成するためには、潜在

成長率を引き上げ、それで自然利子率を引き上げ、金融緩和の力を強めること

が大切だというマンデートの中でこれが必要だということでやっているので、

そうした政策はあり得るのだろうと思います。ただ繰り返し言いますが、マン

デートとの整合性と、できるだけ資源配分に対しては中立であるべきとの原則

のもとで考えていく、ということになろうかと思います。これは世界の中央銀

行でも同じだろうと思います。

それから、多様化・複雑化している背景ですが、それに対しての答え

は、やや矛盾するかもしれない二つの面が思いつきます。一つは、経済がこれ

だけ複雑化し、難しくなり、従って経済政策に求められる要請も、それだけ複

雑に、難しくなっているのだと思います。一時期、中央銀行は「物価の安定」

のみを目的に、例えば資産価格への影響や、金融システムへの影響、あるいは

バブルの可能性などとはいったん切り離して、狭い意味での「物価の安定」の

みに専念すべきだという議論もありました。もっとも、ここ数十年、経済や金

融の動き、現実の動きを踏まえると、おそらく中央銀行が持てる金融政策手段

で対処すべき対象は、より複雑で多様であることが明らかになってきているこ

とがあると思います。それに加えて、実は、皆様方の世代的にはあまりご存知

ないかもしれませんが、日本銀行も 1990 年くらいまで、例えば、輸出促進の割

引手形制度や、中小企業向けの特別な割引制度などを結構持っていました。中

央銀行の目的規定は実は昔から結構色々な議論があり、先ほどの話と繰り返し

になりますが、守らなければならない原則は絶対あると思いますが、そのもと

ではある程度範囲は広いわけで、その意味では実はこれを非常に狭くとらえる

という考え方自身が、ここ数十年の特徴的な考え方だったかもしれないという

気もします。

(問) 今日の副総裁のご挨拶の中にも、気候変動のバックファイナンスに関

するご説明があったと思うのですけれども、懇談の中でこれに関して何か質問

とか意見はありましたでしょうか。

(答) 懇談の中では、一般論として気候変動対応やサステナビリティに対す

る対応は重要であるということで、引き続き日本銀行にも支援を、というよう

な話はありましたが、より具体的な話としては、この政策運営と並び、気候変

動対応やサステナビリティに対する取り組みの方法、あるいは日本や海外の企

業の事例や、政策対応の事例など、サステナビリティ、気候変動対応に関する

企業経営や政策対応に関する知見を、研修、セミナーや論文など色々な形があ

り得ると思いますが、そうした形で民間企業や金融機関とも是非共有してほし

いとの要望がありました。具体的な制度の運用というよりは、むしろそういう

ことでした。これはとても大事なご指摘だと思いますし、私どもも実は、今回

の「気候変動に関する日本銀行の取り組み方針」の中で、金融システムや金融

政策と並び、調査研究を挙げています。これはまだこれから深めていくべき分

野ですので、調査研究を色々な分野で深めていきながら、民間の企業の皆様や

金融機関と知見を共有していくことは当然でありますし、そうしていきたいと

思っており、貴重な指摘を頂いたと思いました。

(問) 財政との協調みたいなテーマで少し伺いたい のですけれども、最近、

安倍前首相が、コロナ対応で政府・日銀の連合軍で対応してきたし、今後も対

応できるのではないかという主旨のご発言をされていると思いますが、秋に補

正予算を組むかもしれないという話もあって、まだここは流動的だとは思いま

すが、政府が動いたときに日銀も更に追加的な政策対応を取られる用意はある

のかどうかということと、日銀としてまだ何か追加でできる余地はあるのかど

うかというところについて、現時点の副総裁のご見解を伺えればと思い ます。

(答) まず、二つご質問があったと思います。三つぐらいお答えすると、一

つ目は、まず一般論として特にこのような経済に対するショックが非常に大き

い時期については、政府と中央銀行が協調しながら対応するということは当然

重要であると思っています。二つ目は、そうはいっても、──政府の補正予算

の検討について私がコメントする立場 にありませんが──何か特定の政府の

政策と日本銀行の政策を一対一で紐付けて考えるのではなく、全体として政策

の運営を、例えばコロナの対応であれば、企業等の資金繰りを円滑にして経済

の回復を支援する、という共通の考え方のもとで政策を企画・立案していくと

いうことなので、何か特定の政策と特定の政策を一対一対応させるということ

ではないと思います。それから三つ目で、追加緩和の余地についてはいつも同

じことを言いますが、世の中に色々な議論があることは承知しておりますけれ

ども、まだまだ私どもは長期金利も短期金利も下げる、あるいは、何か具体的

なということではないですが、この間行ったような様々な企業金融面の支援措

置等々も含めて、状況と必要性に応じて検討していくということになろうと思

います。

(問) 冒頭お話がありました「貸出促進付利制度」でお伺いしたいのですが、

現在、「貸出促進付利制度」ではコロナオペがですね、プラスの付利が適用さ

れておりますが、コロナオペは期限がございまして、期限を迎えたらプラス付

利の適用されている資金供給はなくなるということになると思います。同付利

制度は、利下げ時の副作用を軽減したり、機動的な利下げを行うことを可能と

する狙いもありますが、プラスの付利の資金供給がなくなることによって、機

動的な利下げというものに対して支障をきたす可能性があるのかどうかにつ

いてのお考えをお願いします。

(答) まず基本的な枠組みをご説明申し上げると、金融政策として運営して

いる付利制度と、前回のコロナ対応オペや今回の気候変動対応は、別の政策と

してやっていますので、何か両方セットにしてこちらがへこんだらこっちを増

やしますといった考え方はとっていないということです。コロナもそうですし、

気候変動もそうですし、あるいは成長基盤もそうだったわけですが、これらは

別の政策として考えるということです。従って、例えばコロナオペがいずれ期

限が来て減少したらどうなるかということは、その時の状況次第で、やはり金

融政策上、何か手当てが必要であるということであれば、おそらく考えること

になると思いますが、何かその両方をリンクさせて考えるということはありま

せん。

(問) 気候変動への対応にも絡みますが、最近、金融庁との連携をより意識

されているように思うのですけれども、以前は大手行のストレステストですと

か、検査・考査も含めて、あと最近ですとマネロン対策の話題とかも出ている

と思います。改めて金融庁との連携ですとか協力の必要性、また、そのような

関係の中での日銀の立ち位置、役割を副総裁は現状どのように認識されている

か伺いたいと思います。

(答) もちろん金融庁とは、 以前から色々連携を深めてきています。 それは、

立場はそれぞれで、行政面での責任をお持ちの金融庁は、いわば規制主体であ

り行政面で責任を持っている官庁である一方、私どもは中央銀行としてマクロ

の物価と金融システムの安定に責務を持ち、かつLLRの主体として実際に貸

出を行う立場でのチェック機能が必要という面もあります。それぞれ機能が違

うわけですが、金融システムの安定を確保するためにという共通の目的を違う

角度から点検し、モニタリングを実施していくので、当然協調は必要かと思い

ます。規制監督当局と中央銀行の関係は、それぞれの国によって歴史的な経緯

もあって、制度が大きく異なります。ご案内の通り欧州を中心に完全に中央銀

行が監督権限を持っている国もあれば、米国のように分かれていて、しかも監

督当局の中で非常に細かく分かれているようなところもあり、それぞれ、国に

よってだいぶ仕組みが違います。もちろん違う仕組みを持つのは、歴史的な経

緯があるわけで、違う機能を求められているわけですが、それぞれの主体が協

調しながら対応することが必要という点については、基本的な考え方は一緒だ

と思います。そのうえで大事なことは、協調はしつつも、それぞれの求められ

ている機能や、得意分野があるわけですから、そういうところは大事にしなが

ら協調していくということだろうと思います。

(問) 午前中の講演でワクチン接種が加速すれば経済が想定以上に上振れる

可能性というか、活性化される可能性があるというような言及がありましたけ

れども、改めましてちょっと現況の感染拡大状況と、今後ワクチン接種のスケ

ジュール等も政府から発言がありますけれども、ワクチン接種の加速した場合

の上振れ、活性化の結果の影響といいますか、それによってどういうことが起

こるのかということを想定されながら午前中の講演で話されていたのか、その

辺りの認識をお伺いできればと思います。

(答) 諸外国の例をみても、ワクチン接種の進捗度合いと、特に先ほどから

話題になっていますが、対面型サービス業の復調とは非常に密接な関連があり

ます。今はワクチン接種の進捗は、経済を回復軌道に戻すための非常に大きな

要素になっているというのが、内外共通だと思います。ただ、そう申し上げた

うえで、私どもの経済の基本的な見方をもう一度申し上げますと、ワクチン接

種や経済の正常化に伴って徐々に回復していくというのが 基本シナリオです

が、それには不確実性が非常に大きいです。不確実性の中には当然、下方・上

方両方あるわけで、先日の展望レポートでも申し上げた通り、足もとについて

言えば、短期的には、下方リスクの方を重くみておくべきだろうというのが今

の日本銀行の判断です。ただし、それを除いて来年にかけて、あるいは来年 、

再来年を展望すると、 本日も申し上げた通り、ワクチン接種の進捗度合いに

よっては予想以上に強まる可能性もあるわけで、政策委員会のほぼ合意した見

方でも、 リスク評価としては、 ごく短期的、足もとは下方リスクが強いですが、

それ以降は上下バランスしており、その上下バランスの中には今申し上げたよ

うな要因も入っているとご理解頂ければと思います。

(問) まず、やや漠然としていますが、新潟県経済がこれから成長・活性化

していく上での課題、特に地域として力を入れていくべきことについて、副総

裁から何かご意見があればお願いします。

また、金融機関の再編について、新潟県内では1 月に第四銀行と北越

銀行が合併して新しい銀行が誕生したばかりです。人口減少が進む中で、新潟

県の金融機関は更なる合併・再編といった必要性があるのかという点について、

ご意見をお願いします。

(答) まず、新潟県経済の中長期的な課題については、先ほど申し上げた通

り、実は本日の懇談でも、短期的なコロナ対応以外に、そうした中長期的な課

題は随分議論になりまして、私自身も非常に勉強になりました。この間、新潟

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支店から私が聞いたところも含めて申し上げると、新潟県経済が持っている課

題は当然いくつかありますが、日本経済全体の課題と結構被っているのではと

いう気がします。一つは人口減少で、二つ目は、一つ目の裏返しですが、生産

性を上げるためにデジタル化や高付加価値化をどう進めていくべきか、その際、

新潟県の場合には、県外需要もあるのだろうということですが、県外需要や輸

出も含めた外需をど のように取り込むかが非常に重要な課題であるというこ

とです。それと三つ目は、これも先ほどから話題になっていますが、気候変動

やサステナビリティへの対応が重要というのは、新潟の場合にはこれまで自然

災害に対する対応ということでずっと経験を積まれてきたわけで、これも一つ

の重要な課題です。これも今の日本全体と共有するところがあります。人口減

少への対応や、あるいはDX化、高付加価値化、サステナビリティ対応といっ

た点を含めても、 日本全体と共通する課題が多いように思いました。 もちろん、

それぞれについては、本日も先ほどからご紹介しているような官民挙げての対

応、これも私が聞いたところだと本年3 月、新潟県で「県内産業デジタル化構

想」が作られ、デジタル化の推進や付加価値の高い製品の対外発信の強化とい

うことに努められるということです。先ほども新潟らしいと思ったこととして

ご紹介しましたが、やはり食と農のスマート化を進めるといったことも大事な

課題だと思います。是非こうした取り組みを進めて、新潟県以外にも横展開を

していってほしいと願っています。もう一つ、これは本日は話題には出ていま

せんが、新潟は「新潟ブランド」、農業とお米のブランド力が強過ぎるのです

が、実は新潟にはもっと非常に多様で優秀な製造業の基盤等もあります。例え

ば、最近のコロナに関連する話題で言いますとコロナワクチンの冷凍庫は、新

潟の企業が作っています。そういう格好で、それこそ日本のワクチン接種を進

めるうえで新潟の技術力は大いに貢献してい るぐらいの宣伝をして、「新潟」

というブランド力を高めるという取 り組みがあっても良いのではないかとの

印象を持ちました。

それから、 金融の統合・再編ですが、 これも当然やや長い目でみると、

他の地域と同様、低金利の長期化や人口減少といった構造要因を背景に、様々

な問題、特に収益性の低下ということで地域金融機関の経営環境は厳しさを増

していると考えています。地域経済を支えていくうえでは、地域金融機関の金

融仲介力と経営基盤の強化が非常に重要な課題です。そうした経営強化のため

の具体的な方法として、もちろん経営統合や合併も一つの選択肢だとは思いま

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すが、単独で、あるいは他の業態とのアライアンスを組むといった色々な方法

もあります。どういう方法を取るかはそれぞれの金融機関のご判断だろうと思

います。ただ、当地でいえば、色々な金融機関が例えば店舗の統廃合等に取り

組んでおられることに加えて、本年 1 月には地銀二行が合併して、新銀行が業

務を開始したわけです。こうした取り組みにより、金融仲介力が強化されて将

来にわたって地域経済をしっかりと支えていかれることを強く期待して いま

す。

以上

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