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黒田総裁記者会見要旨(5月20日)
――G7終了後の鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣、黒田総裁 共同記者会見における総裁発言要
旨
2022年5月23日
日本銀行
―― 於・ボン
2022年5月20日(金)
午後3時33分から約30分間(現地時間)
【冒頭発言】
G7の議論の内容については、ただいま鈴木大臣から説明があった通りです。私から二点申し上げ
ます。
まず、ロシアのウクライナ侵略に伴う資源価格、エネルギー価格、食料品価格の上昇により、多く
のG7諸国でインフレ率が数十年ぶりの水準に達しているという認識を共有しました。G7の中央銀
行は、こうした状況を注視し、今後明らかになる経済指標を踏まえて、明確なコミュニケーションを
行いながら、適切に金融政策を運営していくということを確認しました。私からは、わが国の経済・
物価見通しを説明したうえで、日本銀行は、現在のイールドカーブ・コントロールを軸とする強力な
金融緩和を粘り強く続けていくことを説明しました。
次に、気候変動については、今しがた、鈴木大臣から様々な議論の成果についてお話がありました
が、G7の中央銀行は、気候変動やネット・ゼロへの移行がもたらす影響について調査分析に取り込
んでいくことの必要性を認識し、今後、分析面での協力を強化していくことで一致しました。
【問】
黒田総裁に二点お願いします。G7の多くの国ではインフレが数十年ぶりの高水準ということで、
多くの国からはインフレがリスクであるという言及もあったようなんですけれども、日本はまだまだ
インフレ、低い状態が続いていますが、これだけ世界的にインフレの圧力が高まると、やがては日本
に予想以上に波及する可能性があるようにも思われるんですが、その日本への波及というのを今回会
議に参加されてどういうふうにお感じになられているのか、というのが一点目です。
二点目は、そうした中、金融政策の引締めのペースを適切に調整するというのがG7の共同声明に
ありますが、日本はまだまだ強力な緩和を続けるということでしたが、そうした中でもヨーロッパは
もうすぐマイナス金利をやめるだろうというのが、今日の色々な方からの発言からも分かりますし、
日本はまだまだ緩和といっても、マイナス金利をいつまで続けられるのかという議論も出てきそうな
んですけれども、改めてマイナス金利政策というものの整理、どういう効果があったか、日本におい
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てこれが継続される、どこまでも継続していくのか、その辺を今回の議論を踏まえてお考えをお聞か
せください。
【答】
まず、インフレの現状についてはご案内の通りであり、4 月以降、昨年の携帯電話通信料引き下げ
の影響が剥落し、 最近のエネルギー価格の上昇もあって、2%程度になると従来申し上げていました。
展望レポートでも示しました通り、2022 年度の物価上昇の見通しは 1.9%程度、しかし 2023 年度に
は 1.1%程度に低下していくとの見通しになっています。これは一方で国際商品市況の上昇により、
いわば交易条件が悪化していますので、そうした状況での物価の上昇は持続性があまりないというこ
とであり、 現実にも予想物価上昇率は、 短期のものは上がっていますが、 中長期のものはあまり上がっ
ていません。そういう意味で、私どもの見通しの通りに物価動向も動いていますので、そうしたこと
を踏まえて、既に現在のイールドカーブ・コントロールを軸とする強力な金融緩和を続けることを金
融政策決定会合で決めており、今、見通しで申し上げている以上のインフレが日本に波及してくると
いう可能性は薄いと思います。
二点目については、既にインフレ率が非常に高くなっている欧米では、米国は既に金利の引き上げ
を始めていますし、ECBも間もなく金利を引き上げるということを言っておられますが、私どもと
してはこうした物価情勢も踏まえると、現在のイールドカーブ・コントロールを引き続き粘り強く続
けて、コロナ禍からの景気回復をしっかりサポートしていくと、そういう中で徐々に2%の「物価安
定の目標」に向かって物価と賃金が合わせて上昇していくことを期待しています。現時点では、マイ
ナス金利も含めて現在のイールドカーブ・コントロールを続けていくことがやはり適切であるという
ことが金融政策決定会合における決定であり、それは現在も全く変わっていないということです。
【問】
黒田総裁に伺います。コミュニケには、ある意味当たり前と言えば当たり前なのかもしれないんで
すけれども、金融政策の引締めのペースを適切に調整するという文言が入ったと思います。各国の中
央銀行は独立的に金融政策を実行するというのは当然なわけで、こういった文言があえてコミュニケ
に入ったということの意義を教えてください。
【答】
G7のコミュニケにおける金融政策の面については、先ほど申し上げた通り、G7の多くといいま
すか、実際は日本以外のG7諸国──ちなみにG7にはEUの代表も参加していますし、ECBも参
加しているわけですが──、かなりの国で相当な物価上昇率になっているということは事実です。そ
れらの国は、既に金利を引き上げ、引締めを始めた米国もありますし、あるいはBOEも既に金利を
引き上げていますが、ECBも金利を引き上げるということです。それぞれの国の物価上昇率が既に
数十年来の高さになっていますので、それは当然であり、適切であると思います。
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【問】
黒田総裁にお伺いしたいんですけれども、G7の話とはちょっとずれてしまうんですが、20日に発
表された消費者物価指数が 2.1%となり、日銀の 2%目標を超えたんですけれども、それについての
受け止めを教えて頂けますでしょうか。
【答】
最初に申し上げた通り、既に前回の金融政策決定会合においても、4 月以降は携帯電話通信料の引
き下げの効果が剥落し、最近のエネルギー価格上昇等を反映して2%程度になると申し上げており、
その通りになったということです。また、展望レポートでも、2022年度全体でも生鮮食品を除いた消
費者物価は 1.9%の上昇を予測していますが、他方で、2023 年度には1.1%程度に上昇率が低下して
いきます。これは輸入物価の上昇、すなわち交易条件の悪化ですから、それだけをとりますと当然の
ことながら国民所得が流出していくわけですから、経済に対する下押し圧力なので、そのまま2%が
続くということにはならず 1.1%に低下してしまいます。他方、生鮮食品とエネルギーを除いた指数
で見ますと、ある程度着実に上昇してはいくのですが、2024年度でもまだ2%には達しないという状
況です。ですから、私どもとしては、引き続きイールドカーブ・コントロールを中心とした金融緩和
を粘り強く続けていき、2023 年度、あるいは 2024 年度にはまだ 2%になっていない可能性が高いわ
けですけれども、それでも先ほど申し上げたように生鮮食品とエネルギーを除いた指数ではかなり着
実に上昇し、たしか2024年度は1.5%程度の上昇になっていると思います。そういう意味で、足許で
2%になっているのは、基本的にエネルギー価格等の輸入物価が上昇しているということですので、
それで安定的に 2%を達成することにはなりません。もっとも、現在の金融緩和を粘り強く続けてい
くことにより、経済の回復をしっかりサポートし、労働市場も次第に引き締まっていくという過程の
中で、賃金・物価が緩やかに上昇していくという姿を期待していますし、徐々にそちらに向かってい
くという見通しです。
以 上