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総裁記者会見(10月3日) [PDF 245KB]

SPEAKER記者会見(10月3日)

PUBLISHED06/10/2025, 00:00:00
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1

2025年10月6日

日本銀行

総裁記者会見

――2025年10月3日(金)午後2時から約30分

於 大阪市

(問)

二点、お伺いできればと思います。一点目がですね、本日の午前中の懇談会で寄せ

られた意見、要望、様々あったかと思うんですけれど、それに対する所感をお伺い

できればと思います。

併せてですね、関西経済の景気の現状と先行きに対して、どういうお考えをお持ち

なのかという、この二点をお伺いできればと思います。

(答)

まず一点目ですけれども、今日は関西経済を代表する方々から、経済・金融の現状

と課題、あるいは私どもの政策運営に関する、ご意見、ご要望を数多く頂き、有意

義な意見交換ができたと思っております。この場をお借りして改めて御礼申し上げ

ます。いくつか席上で伺ったお話についての印象を申し上げますと、まず経済動向

ですが、全体としてみますと、企業業績や設備投資が堅調さを維持するもとで、経

済は緩やかに回復しているという見方を伺うことができたと思います。特に、これ

までも堅調なインバウンド需要に加えて、大阪・関西万博が活況を呈すもとで、関

西圏全体として賑わいをみせているといったお話が多く聞かれました。また、先行

きについても、「うめきた」をはじめとした各種の都市開発など、更なる成長に向

けた力強さ、躍動感を感じたところです。アメリカの通商政策の影響ですが、日米

間で一定の合意が得られたことを前向きに とらえる声が聞かれた一方で、依然とし

て不確実性が高い状態が続いていて、今後の動向に注意していく必要があるという

ご指摘も多くの方から伺いました。私どもとしても、関西圏の産業構造を踏まえつ

つ、業種や企業規模毎に様々な影響の経路があり得ることに注意しながら、引き続

き丁寧に点検していきたいと考えています。また、雇用と所得面についても、経済

界の皆さまのご尽力のもと、これまで積極的な賃上げが行われてきたことを伺いま

した。それと併せて、人件費の上昇や労働力不足の深刻化について懸念する声や、

継続的な賃上げの必要性、それに向けた付加価値向上の重要性などを指摘する声も

多く聞かれました。皆さまのお話を通じて、改めて当地においても 、業種や企業規

模などにより景況感のばらつきが大きいこと、人手不足の深刻化や生産性の向上な

どがますます喫緊の課題となっていることを感じた次第です。今後ともこうした諸

課題を意識しながら、丹念にフォローしていきたいと思っております。このほかで

すが、企業金融周りで、安定した金融環境への期待と、中小企業に対するイノベー

ション創出や投資促進、スタートアップ支援の必要性、円滑な決済システム構築の

重要性などについてお話を頂きました。いずれも大変重要なご指摘でありますので、

日本銀行としては引き続き適切な政策・業務運営を通じて、それらに貢献していく

考えを申し上げた次第です。

2

続いて、関西経済の景気の現状と先行きについてです。若干ダブりますが、関西経

済の現状については、一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している

と判断しています。輸出や生産は、一部に米国の関税引 き上げに伴う駆け込みとそ

の反動の動きがみられつつも、全体としてみれば、横ばい圏内の動きとなっていま

す。通商政策を巡る不確実[性]が引き続き高い状況にありますが、設備投資は堅調

さを維持しています。省力化投資のほか、 AI、データセンター関連など成長分野

での能力増強投資や、「うめきた」をはじめとする都市再開発やインフラ整備も進

んでいます。個人消費は、物価上昇の影響などから弱めの動きもみられますが、イ

ンバウンドの増加や万博の効果もあって、全体としてみれば堅調に推移しています。

先行きについては、堅調なインバウンド需要や設備投資などを背景に、緩やかな回

復を続けるとみています。もっとも、各国の通商政策等を巡る不確実性は引き続き

高いほか、関西経済との結びつきが強い中国・アジア経済の動向も含め、注意深く

みていく必要があると考えています。

(問)

二点お願いします。一点目が不確実性のことで、4 月には不確実性はきわめて高い、

7 月の関税日米合意後も不確実性は引き続き高いと発言されていましたが、今日は

そういった発言がなかったようにも思いましたが、今も不確実性は高い状況なので

しょうか、というのが一点目です。二点目がですね、チェックポイントの 一つの米

国経済の動向ですが、その雇用情勢や遅れている 関税の転嫁、金融政策の行方など、

この 1 か月で見通せるとも思えないのですが、この引き続き注視や当面は点検とい

うのは、どこまで時間をかけるのでしょうか 。少なくとも数か月はかかる認識なの

でしょうか。考え方も含めて教えてください。

(答)

不確実性、特に通商政策周りの不確実性の推移のようなものですけれども、 4 月の

時点ですと、関税の水準で言うと、どこまで行ってしまうか分からないというよう

な種類の不確実性まであったように思います。それが7月あるいは8月、9月の動き

の中で、日本周りであれば、例えば、概ね 15%ということで、おそらく当面は決着

したということですので、そこは不確実性は低下したということだと思います。た

だし、例えば 15%の関税率、他の国には、大体似たような水準あるいは少し違った

水準で、関税率が大体決まっているわけですが、これがアメリカ経済、そして世界

経済にどういう影響を及ぼしていくのか、その中で日本経済がどういう影響を受け

るのか、この点に関する不確実性は 依然としてかなり大きなものが残っているとい

うふうに判断しています。そのうえで、こうした不確実性のもとでどれくらい情報

を見極めることが、例えば、ご質問はおそらく次の政策判断に必要なのか、という

ことだと思うのですけれども、それは申し上げるまでもなく、全てのハードデータ

がどういうふうに出るかということを全て把握してからということですと、すごい

先になるということは明らかですので、私どもの政策判断に必要な程度の見極めが

できるところまでということになるかと思います。その判断材料としては 、ハード

データもありますし、ヒアリング情報もありますし、様々な人のマクロ経済に対す

る見方のヒアリングもあります、ということになるかと思います。

3

(問)

賃金動向についての質問です。賃金動向についても、このチェックポイントに 挙げ

られているところですけれども、今日の講演内容をみますと、先行き、海外経済や

通商政策等を巡る不透明感が高い状況が続くような場合には、物価上昇を賃金に反

映させる動きは弱まる可能性があるというようなことを指摘されています。今日の

話し合いも踏まえまして、現時点で今後の賃金動向どうなっていくとご覧になって

いるか、あるいは、この差し当たり 10 月会合までにそうした判断が、来春闘含めで

すね、なかなか難しいのかなという ふうにも思うんですけれども、どのような判断

ができるのか、そういったことについて教えてください。

(答)

今年の賃金動向について、ここのところ、ここ数週間とか 1、2 か月で強いネガティ

ブな情報が入ってきたということではありません。その うえで来年の賃金動向につ

いてどうかということになりますと、講演でも申し上げたように、例えばアメリカ

経済が今後どういう経路を辿るか、それが日本経済、日本企業の収益にどういう影

響を与えるかということにも大きく依存しますので、そこについての情報はまだ少

し不足しているというふうにみております。

(問)

今年の秋も食料品などの値上げの動きが広がっています。物価が上振れするリスク

について総裁はどのようにお考えでしょうか。それと併せて、ビハインド・ザ・カ

ーブに陥るリスクについて、以前はそれほど大きくないとおっしゃっていましたが、

その考えに今も変わりはないのか、その辺りについてお願いします。

(答)

食料品価格については、私どもの中心的な見通しとしましては、そもそもここまで

の上昇が、一時的な供給要因によるものであるというふうに みていますので、既に

少し下がり始めた動きが、今後も基本的には継続するというふうに みております。

ただし、インフレ率が下がっていくペースについては、ある程度不確実性があると

いうことでございます。そのうえで、こうした食料品価格のインフレが減速してい

くペースが、まず基調的な見通しとしては減速していって、ちょっと表現があれで

すが、基調的なインフレには大きな影響を与えないという見通しでございます。た

だし、リスクとして減速のペースが想定よりも緩やかになるときに、何らかのメカ

ニズムを通じて基調的インフレ率を少し押し上げるという方向に働くケースも排除

できないですし、逆に、いったんは長続きするということは前提になりますが、そ

れが消費マインドに下押し圧力を加えて、需要サイドから消費が弱含み、それが基

調を少し弱めてしまうというリスクもあるかもしれません。その中で、ビハイン

ド・ザ・カーブになる可能性は、ということですが、これは今申し上げたケースの

中では、食料品価格のディスインフレのペースが遅くて、それが何らかの理由で基

調、あるいはインフレ期待、中長期のインフレ期待を押し上げるという効果を持つ

というケースですけれども、今のところはその可能性は高いとは みていませんが、

もしそういうふうになれば注意を要する現象ですので、引 き続きよくデータを見て

いきたい、あるいは分析をしていきたい、というふうに思っております。

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(問)

米国の経済状況についてお尋ねしますけれども、現在米国ではですね、一部の政府

機関が閉鎖されておりまして、今日予定されております 、9 月の雇用統計の発表も

延期されるということが確実な状況になっています。こうした現在の米国の情勢が

ですね、日銀の利上げ時期の判断を遅らせてしまうというようなリスクについては

どのようにお考えでしょうか。

(答)

特に米国経済のデータが公表される時期が遅れてしまうということについては、な

かなか深刻な問題だなというふうに思っています。私どもの対応としては、なるべ

く早く再開されるということを願うとともに、周辺のデータ、例えば雇用統計です

と、雇用統計そのものでなくても同種のデータがいくつかございますので 、そこか

らある程度類推するという作業とか、あるいは今月後半にワシントンで [世銀・]I

MF[年次]総会が開かれますが、そういう場所で、現地の政策担当者あるいは 金融

機関の方々とお会いして、生の情報を手に入れ、それも追加的な材料として判断し

ていくというような作業を続けていきたいというふうに思っております。

(問)

これまでのところ、9月の決定会合で2人の審議委員が利上げを提案して、その後、

野口委員(注)も利上げのタイミングについてかつてなく近づいているのでは と発言

されました。主な意見でも、物価の上振れリスクについての指摘が多かったんです

が、今日の総裁の講演を拝読すると、やはり米経済のリスクおよび関税が日本経済

にもたらすリスクと、全体的に経済の下振れリスクをより重点を置いて説明されて

いるように感じました。ここから経済の 下振れリスクと、物価が上振れるリスク、

どちらが政策判断上、今大きいとご覧になってるのか、やはり経済を慎重に見極め

てから利上げしないと、早過ぎる利上げのコストが大きいと、そちらをより重視さ

れているのか、そのバランスについて教えてください。

(答)

バランスと申しますか、重要そうなリスクを様々に みたうえで、最終的には物価の

見通しにそれらが影響するかどうか、そしてその見通しの周りのリスクがどういう

ものであるか、という判断につなげるということだと思います。経済のリスクにつ

いて、余計なことかもしれませんけれども、アメリカ経済を みますと、ここまでの

データを見る限り、労働市場以外は割と堅調に推移しているということかと思いま

す。従って、いろんな機関の標準的な見通しをアメリカ経済が 上振れて着地する、

期間は難しいですけれども、というリスクもゼロではないかと思います。そういう

ことも含めて様々なリスクを点検していきたいと思います。

(問)

短観についてちょっとお伺いしたいんですけれども、今回の短観の結果というのは、

これまで少しずつ確度というのは高まっているという日銀の 見方だったと思うんで

すけれど、今回の短観の結果というのはその見方を後押しする要因の一つとなった

のかどうか。まずそこが一点。

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あと、先ほどのフォローアップなのですけれども、このアメリカの政府機関の閉鎖

によってデータが出てこない、その一方でいろんな努力をされて情報を収集される

ということですが、そういう意味では、データが出ないとしても政策判断というの

はまだできる可能性はあるというふうに考えていらっしゃる、ということでよろし

いんでしょうか。

(答)

まず短観の評価ですけれども、午前中も申し上げましたように、企業の 業況判断と

か設備投資計画等をみますと、一言で言えば良好ないし堅調であるということで す

ので、足元までの経済についての企業の判断という点で言うと、 われわれの見通し

通り、あるいは見通しが実現する確度が高まっている、ということだとは思います

けれども、ここから先をみた場合に、先ほどのアメリカの関税政策の影響が分から

ないというところについて、むしろ関税政策の予想された影響は顕在化していない

部分が非常に多いというところについて、今回の短観が強い何かインフォメーショ

ンを持っているかというと、必ずしもそうではないです。従って、先行きに関する

重要な不透明性、不確実性は残るというふうに判断しております。

それから、アメリカの政府シャットダウンについて、ご質問の趣旨は、10 月の例え

ば決定会合までずっと閉鎖されたままだった場合に、それ でも何か判断ができるか

ということでしょうか。それは、その状況に直面してみないと分 かりませんけれど

も、いずれにせよ、先ほど申し上げたような様々な方法で、情報を収集した うえで

判断するということにならざるを得ないと思います。

(問)

日銀が次回利上げした場合、政策金利を0.75%にすると、政策金利としては30年ぶ

りの高さになりますが、総裁としては今の日本経済にとってこの 0.75[%]というの

はやはり非常に大きな数字でその利上げ判断というのは 、より慎重に行っていかな

ければならないとお考えなのでしょうか 。それとも実質金利の低さから考えると、

0.75[%]に利上げしても、いわゆる緩和的な金融環境は変わらないので、この辺の

水準感はあまり気になさらないんでしょうか。

(答)

これまで現状はある程度の緩和環境にあるということを申し上げてきましたし、一

方で、そのうえで中立金利の水準についてはかなりの不確定性があるということも

申し上げてきました。もしも近い将来どこかの時点で 0.75%に金利が上がる、金利

を上げるという判断をするということに至った場合には、そういうことに至る根拠

となった経済・物価の見通しというものが当然あるはずで、それとともに、こうし

た中立金利に対する見方と、今と大差ないかもしれませんけれども、改めてご説明

申し上げるということになると思います。

(問)

本日の講演の中で次の政策判断に必要な三つの点検ポイントっていうのを挙げて 頂

きました。この三つのポイントの中で、現在 総裁としてどこのポイントが利上げに

とって、結構条件を満たしていて、 どこがちょっと出遅れているのか 、あとそれぞ

れ次の政策変更までに必要な距離感として 、どれくらいの距離があるのか、かつて

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ワンノッチという様な表現をされて 距離感をおっしゃって頂いたこともあると思う

んですが、ちょっとその距離感が今どれくらいなのかということをまずお聞かせく

ださい。

あともう一つちょっと話はまた変わるんですが 、明日、自民党の方で新しい総裁が

決まります。次の総理が決まるのはまた少し先になると思うんですが、日銀と政府

で経済・金融政策について連携する必要は当然あると思いますので 、総理が決まる

までまだちょっと時間があり、かつその 10 月末には次の決定会合が控えている中で、

新しい総理が決まるまでまだ少し時間があることで政策判断に与える影響みたいな

のがあれば教えてください。

(答)

私が申し上げた三つの点検ポイントのそれぞれどれくらいの 、それがOKになるた

めには距離感でどれが重要かというようなご質問だと思いますけれども、 それは何

とも申し上げにくいと言いますか、それぞれ重要な点として、確認の必要がある三

つのポイントですし、それぞれについて何か追加的な情報が得られた場合 に、その

一つのポイントについて得られた情報だけで判断するわけではなくて、他の二つに

ついて、どういうことが起こっているかということを合わせて、総合的に私どもの

経済・物価見通しの確度が上がったと言えるかどうか、ということで判断していく

のだと思います。ですので、この三つのそれぞれから、見通しの 確度のところの関

数関係がきちっと、易しく申し上げられるかというと、そこはちょっと総合判断的

なものにならざるを得ないと申し上げさせてください。

それから、次の総理がもうすぐ決まるけれどもちょっと時間がかかる、という中で

どうかというご質問だったかと思いますが、ここは私どもの姿勢は一貫していまし

て、どういう方が総理になられるにしても、日本銀行としては十分な意思疎通を図

っていきたいということですし、 金融政策は経済・物価見通しに基づき、持続的な

2%のインフレを安定的に達成するために適正な政策を行うということでございます。

(問)

冒頭の質問で、関西経済の見通しについて回答されて いましたけれども、インバウ

ンドや設備投資が堅調ということで、他にもこれまで万博がプラスに 寄与してきた

部分っていうのは大きいと思うんですけれども、 万博の閉幕の影響っていうのは関

西経済の見通しにどのように影響しますでしょうか。

(答)

もちろん万博それだけを目当てにという観光客の方もある程度いらっしゃったと思

いますが、万博以前から関西地域はインバウンド需要がかなり高水準で増加を続け

ていたというトレンドは維持されるというふうにみていますし、それから、都市再

開発に関連して、例えばIR事業とか、いろいろ進行中のものもありますので、万

博終了で経済に大きな下押し圧力がかかるというふうには、私どもとしてはみてお

りません。

(問)

7

10 月で総裁就任されてから 2 年半になります。これまでの歩みを振り返ってのご所

感と、この実質金利がきわめて低い水準にある中での任期後半に向けた抱負という

ものを教えてください。

(答)

これまでですけれども、いろいろ至らない点もありましたけれども、一応は大規模

緩和からの出口をある程度進めていくことができたかな 、というふうに思っており

ます。難しい至らなかった点としましては、やはり消費者物価総合の動きが、 われ

われが基調と呼ぶインフレ率を、長い期間、大きく上回り続けて、コミュニケーシ

ョン上の問題をいろいろなところで発生させたということがあるかと思います。こ

こは引き続き努力していくしかないかな、というふうに思っています。その うえで、

任期後半の課題、目標としましては、これは申し上げるまでもないと思いますが、

2%のインフレ率を持続的・安定的に達成するという状態に少しでも近づけていくこ

とになるかなというふうに思います。

(注)会見では「高田委員」と発言しましたが、実際は「野口委員」です。

以 上

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