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2023年8月3日
日本銀行
内田副総裁記者会見
――2023年8月2日(水)午後2時から約40分
於 千葉市
(問)
私からは地元ということでローカルな視点で二 問ほどお伺いしたいと思います。ま
ず一点目は今日の議論の内容についてです。金融経済懇談会、千葉県では 8 年ぶり
の開催ということですけども、今日の会ではどのようなお話、話題が議論されたの
かということが一点です。
二点目は、千葉県の景気情勢について伺いたいと思います。千葉県の景気情勢につ
いて、日銀としては一体どういう認識を持っておられるのか、また先行きについて
はどう見通されているのか、その辺のお考えを聞かせて頂ければと思います。
(答)
本日の金融経済懇談会では、行政・経済・金融の各界を 代表する皆さまから千葉県
経済に関する貴重なお話、それから、日本銀行の政策運営に関するご意見・ご要望
を数多く頂きました。大変有意義な意見交換ができたと思っております。ご参加さ
れた方々に改めて御礼申し上げたいと思います。話題はかなり多岐にわたりました
ので全てをご紹介することはできませんが、いくつかの点に整理して申し上げたい
と思います。まず千葉県の景気についてですが、複数の参加者の 皆さまから、持ち
直し、ないしは、緩やかに回復しているという趣旨のお話を 頂きました。具体的に
は、新型コロナの感染症法上の位置 付けの変更もあってサービス消費を中心にペン
トアップ需要が顕在化している、あるいはインバウンド需要の回復、こういったこ
とを指摘する声が多かったと思います。企業の収益性に関しても、緩やかな改善傾
向がみられるというお話を頂きました。一方で、先行きの不確実性に関するご指摘
もいくつか頂いております。例えば、物価高が家計に与える影響、それが個人消費
にどう影響するかということを含めてですが、 更には原材料・光熱費のコストが企
業業績に及ぼす影響、これも価格転嫁ができるところとそうでないところがやはり
あるので、そういったところを含めてお話がございました。また、これはほとんど
の方が言及されたテーマですが、人手不足が大変厳しい状況にあるということで、
そのもとでの賃金あるいは価格設定行動の特徴、変化の兆し、そういったお話もあ
りました。この春の賃上げにつきましては、業種間でばらつきはかなりありますけ
れども、全体として高水準になったというふうに伺ったところでございます。それ
から、金融政策につきましては、需要の下支え のほか、企業の成長投資を後押しす
るという観点からも、緩和的な金融環境を維持して ほしいというご意見を頂きまし
た。併せて、副作用についての配慮をお願いするというご意見も同時にあったとい
うことでございます。このほか、金利それから為替の急激な変動というのは、企業
の経営計画を混乱させるため、市場の安定化に注力して ほしいというご意見も複数
頂きました。更に、今回、多角的レビューの趣旨でもお願いしておりまして、いく
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つかのご意見を頂戴しました。1990 年代以降の金融緩和は企業の設備投資などを通
じて地域経済の下支えに前向きな効 果を発揮したと評価頂いたご意見がありました。
一方で、様々な副作用、例えば金融機関の貸出金収入の下押し、あるいは有価証券
運用面での影響、こういったご指摘もあったところです。最近の輸入コストの上昇
が中小企業等の収益の下押し圧力となっているということもご指摘がありまして、
そういったことも踏まえた適切な政策運営をお願いしたいというご意見も 頂いたと
ころです。多分全部を取り込めていないというふうに思いますけれども、このよう
にたくさんのご意見を頂いたということで大変ありがたく思っております。私ども
のレビューにも、活かしていきたいというふうに思います。
景気ですけれども、千葉県の景気については、基本的にはわが国経済全体と同じく
緩やかに回復しているというふうにみております。個人消費は、新型コロナの感染
症法上の位置付け変更等を背景に、外食、それから当地の場合、観光などサービス
消費が好調で、緩やかなペースで着実に増加しているというふうに伺いました。ま
た、企業の支出の面でも、当地は物流センターそれからデータセンターなど大型投
資のほか、人手不足の強まりに対応した省人化あるいは効率化投資、こういったも
のも幅広くみられております。京葉臨海工業地帯に集積する企業 、鉄鋼とか化学、
石油等ですけれども、[これら]を中心に、脱炭素化関連の設備投資、それから研究
開発投資も継続的に行われています。労働需給が引き締まる中で賃金も改善してい
るという動きに広がりがみられていると思っています。 こうした動きに支えられて、
千葉県の経済は先行き緩やかな回復を続けるというふうにみております。もっとも、
当地は製造業のウエイトが比較的高いということもありますので、海外経済の回復
ペースの鈍化の影響が素材あるいは資本財の生産面で一部みられています。そのほ
か、これは全国的な話ですが、物価上昇による消費者の生活防衛意識を懸念する声
も強いというふうに聞いております。こうしたリスク要因には引き続き注意が必要
だというふうに思っていますが、基本的には緩やかな回復が続いていく可能性が高
いというふうに評価しております。
(問)
先日の決定会合でのイールドカーブ・コントロールの修正についてお伺いします。
今回の修正がですね、実体経済に与える影響についてどのようにお考えかというと
ころをお伺いできればと思います。一定程度の金利上昇を認めるということは貸出
金利の上昇とかですね、金融引き締めに繋がるという面もあるかなと思います。こ
のあたりの影響をどうみてらっしゃるかというところをお伺いしたい。
関連して、植田総裁が先日の会見で、上限の 1.0%まで上昇するってことは想定さ
れてないとおっしゃっていました。この点についてですね、非常に高い上限 を設け
ることでそのYCCのある意味の形骸化につながるのではないかという指摘があり
ます。この修正後のYCCの意義について、どのようにお考えかという点も併せて
お願いします。
(答)
今日の講演でも述べましたけれども、今回の柔軟化の趣旨というのは、経済・物価
を巡る不確実性がきわめて高い中で上下双方向のリスクに機動的に対応しつつ、粘
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り強く金融緩和を続けていくために行ったということです。現時点で 2%の持続
的・安定的な実現を見通せる状況には至っていないわけですから、当然この枠組み
は維持しますし、それから今日、三つに分けて説明しましたが、マイナス金利の扱
いというのはまだ先の話だというふうに思っています。そういう意味で出口を意識
したものではないということでございます。今 、物価で上振れの動きが出てきてい
るわけですけれども、今後も上振れ方向の動きが続いた場合に、昨年暮れに起きた
ような債券市場の機能、あるいは為替市場を含めて金融市場のボラティリティに影
響を与える、こういったことが起きる恐れがありますので、この段階で 予めそれを
和らげていこうという趣旨で行ったものでありまして、重ねて言いますが、 出口を
意識したというようなものではないということでございます。
二つ目のご質問、1%ですが、これは念のための上限キャップということで考えてセ
ットしたものです。総裁が申し上げた通り 、そこに向かって上がっていくというこ
とを想定しているわけではないというもので、あくまで念のためということでござ
います。そういう意味で、現状の経済・物価の情勢が大きく変わらないのであれば、
金利が大きく上昇するということは想定していないということです。もちろん必 要
があれば、過度な上昇を抑えるということで今回の仕組みをとったわけですので、
これが経済を抑えるようなものにつながるとは考えておりません。
(問)
先ほどの挨拶の中で、副総裁は金利の上限を 0.5%に厳格に抑えようとすると、為
替市場を含めてほかの市場の変動に影響を与えたりするといったお話があったんで
すけれども、今回の政策修正の中で、この為替市場についてどの程度意識されたの
かをまず伺えますでしょうか。
もう一点はですね、今回の政策修正に踏み切った後でも円相場が円安に振れていま
して、一時 143 円台をつけております。円相場の動きをある程度予測されていたの
か、受け止めをお聞かせ頂けますでしょうか。
(答)
まず大前提として、日々の市場の動きにコメントすることは差し控えたいと思いま
す。これはいつもそうです。その うえで、今回の措置というのは、基本的には今後
も物価面での上振れ方向の動きが続いた場合に起こり 得る副作用を防ぐという趣旨
で事前に行ったということですので、[昨年]12 月前後に起きたことを思い出して頂
ければ、起きたことの一つは、債券市場を中心に機能に影響を及ぼした歪みその 他、
もう一つは、金利の市場で上限があることに伴って 、為替市場を含めた金融市場の
ボラティリティに影響を与えてしまったということだろうと思います。ですから、
そういったことが起こらないようにしたという意味で、今回の措置において為替市
場を含めた金融市場のボラティリティというのは重要な要素であったということに
なります。
そのうえで為替相場ですけれども、これもいつも申し上げていることですが重要な
ことなので繰り返しますが、為替相場については経済・金融のファンダメンタルズ
を反映して安定的に推移することが きわめて重要だというふうに思っております。
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為替相場というのは経済・物価に対して大きな影響を及ぼす重要なファクターだと
いうふうに思っています。引き続き政府とも緊密に連携しつつ、金融・為替市場の
動向と、それがわが国経済・物価に及ぼす影響について十分注視していきたいとい
うふうに思います。
(問)
金融政策決定会合の影響に関してはノーコメントということでよろしいですか。為
替相場に関して。
(答)
日々の[市場の]動きについてはコメントしません。それはいつもそうです。
(問)
物価についてお伺いさせてください。街中を みてもかなり飲食店も賑わっておりま
して、レジャー施設もかなり賑わっておりまして、物価上昇に対する感覚的には個
人の需要の強さっていうのを印象として感じているところですけれども、そ れゆえ
に企業も値上げに対して積極的に動かれてい るような印象を受けています。この間、
議事要旨も6月分ですが、公開された中で政策委員の間でも2%下回らないという意
見も出てきています。そのうえでなんですけれども、物価上昇について消費者の需
要要因が強まってきたというふうに考えていらっしゃるかどうかという ところが一
点目。
それに関連してですね、物価が想定以上に上振れしている中で、金融政策の修正が
遅れ、そしてインフレを抑えられなくなるリスクはないと考えていらっしゃるかど
うか、この点について改めてお伺いさせてください。
(答)
現在、物価は 3%を超えているわけで、3.3%というのが直近ですが、家計に大きな
負担になっていることは十分に認識しています。特に上がっているものというのが
食料品それから日用品、こういったものの価格上昇が大きいので、消費者の皆さん
にとっては日々実感されているということかと思います。特に 、これらの消費ウエ
イトが大きい相対的に所得の低い家計ほど影響が大きいという性質のものかと思い
ます。実際、今日も挨拶で述べましたが、スーパー等では買い上げ点数を減らすと
か低価格商品にシフトするといった生活防衛意識の強まりを示すような事案も出て
きているということかと思います。一方で、個人消費が比較的堅調である、着実に
増加していることの背景には、この春の賃上げあるいはこの後の期待を含めてとい
うことになると思いますが、家計の所得が比較的安定している、あるいはこの後 、
強まっていくのではないかという期待があるわけです。こ の期待を崩さないように
しないといけませんから、私どもは来年も賃上げできるような環境を整えていきた
いというふうに思います。そういう意味で需要要因という意味で言えば、この辺が
本当に強まってくるのか、つまり賃金と物価、その相対関係において個人消費が十
分に持続的に増加していけるのかというところを注目してみていきたいというふう
に思いますし、何よりも賃金が大事だなというふうに思っております。
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それからリスクですけれども、今日も述べましたがリスクは常に上も下もある、そ
れは当然なのですけれども、現時点においては下方向のリ スクの方が大きいという
ふうに判断しているわけで、まだ、2%を実現できなくなってしまう、慌てて引き締
めをすることによってですね、そのリスクの方が大きい。引き締めが遅れて 2%を
超える状況が長く続いてしまうという上方向のリスクは 、それに比べればまだそこ
まで大きくはないというふうに判断していますので、従って 、そのリスクマネジメ
ント・アプローチの考え方から言って、粘り強く金融緩和を続けていくべき局面に
引き続きある、その中で企業が賃金を来年も上げられる環境を整えていきたいとい
うふうに思います。
(問)
二点あるんですけれども、コストとベネフィットの比較 衡量で政策、YCCの枠組
みは変えなくても、修正が可能であるということで、先週、そのような措置をとら
れたと思うんですが、今後もそのバランス次第ではまた同じような修正を施してい
くっていう可能性があるのかどうか、その場合重要なポイントというのはどの辺に
なってくるのかっていうのが一点目です。
二点目は、新しく設けた 1%という上限と 10 年金利ターゲットの関係なんですけれ
ども、マイナス金利の撤廃というのは、まだちょっと先だということはおっしゃっ
ているんですが、この 10 年金利ターゲットそのものをゼロ%程度、これを引き上げ
ていくというのは可能性があるのか、それとも 1%という上限を設けたので、こち
らを動かしていくっていうのが今後より可能性としてあるのか、 ゼロ%のターゲッ
トと新しく作った1%の上限の関係性について教えてください。
(答)
まず今回三つに分けてご説明した通り 、YCC、イールドカーブ・コントロールの
枠の中での調整というのは、これはイールドカーブ・コントロールという仕組みを
うまく続けていくためには必要なものです。ただ 、それが、次回もあるのかという
ことについては、今は想定してないのは明白ですし。終わったばかりですから。1%
という基準というのは、少なくとも今の状況においてはかなり高いところに設定し
ていますので、今の段階でそういうことは念頭には置いてはいません。
そのうえで、枠組みとしてマイナス金利と 10 年のところをどう考えるかということ
については、YCCの枠組み自体はコミットメントに沿って、少なくとも 、という
意味ですが、そこまでは継続していくということは約束しているわけですから、当
然そのようにしていきます。物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続
するために必要な時点まで継続するという約束をしているわけですから、それまで
の間、粘り強く継続していきたいというふうに思いますし、その中身としては 、当
然、短期金利と長期金利どちらも、コントロールの仕方は今回のように変わること
はあるにしても、コントロールは続けるということだと思っています。従って 、枠
組みとしては維持します。
(問)
二点お願い致します。午前の講演でYCCのメカニズムにつきまして、インフレの
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期待が高まる場合、金利上昇の抑制によって緩和効果が強まる一方、市場機能度へ
の副作用も大きくなるというご説明されました。今回YCCを柔軟化して長期金利
の上昇を一定程度容認されたわけですけれども、これは金利抑制による緩和効果の
強まりよりも副作用への配慮を優先した、言い方を変えれば 、ここからの金利上昇
を抑えることは効果よりも副作用の方が大きいというふうに判断しておられるのか、
ということが一点目です。
二点目なんですが、先ほどの為替の質問とちょっとかぶってしまうんですけども、
今回の修正によって為替市場を含めてボラティリティを抑えていくということなん
ですが、これYCCによって為替の変動が大きくなってると判断された場合は更な
るYCCの修正、柔軟化を検討するということもあり得るんでしょうか。
(答)
前者につきましては、これまで申し上げている通りですが、予想物価上昇率が上昇
することに伴って緩和効果は強まる、一方で 、副作用の可能性も強まるということ
を意味するわけです。そのバランスをとっていくということですので、タイミング
という意味ではギリギリまで粘るほど 、今日も言った通りですが、緩和の効果を引
き出しやすい一方で問題が起こってから対応する方が難しいのでそのタイミングを
選んでいるということです。当然のことながら名目金利が上がろうとする力を一定
程度抑えながら、だけど完全に抑えるわけではないことに、この効果自体の本領が
あるわけですから、そこはバランスを取りながら金融緩和を維持していくし、これ
からもそうしていくということです。
その副作用の一つとして今おっしゃった点はあるわけであって 、為替市場を含めて、
これは含めてと言うべきですが、他の市場のボラティリティに与える影響、それか
らその前に挙げていますが債券市場の機能そのもの、そういったものを一方に置き、
もう一方に金融緩和の効果という ものを置きながら適切なバランスをとっていくと
いう態度はこれからも変わりません。
(問)
コミュニケーションの関係で、今日の副総裁の講演でも緩和を長続きさせるもので
出口を意識したものではないということですけれども、例えば昨日、自民党の世耕
参院幹事長が緩和を続けるというふうに約束していたのに今回の政策決定について
は疑問に感じるといったような発言があ ったんですけれども、そういうふうな政策
のちょっと複雑さっていうところもあるかと思うんですけれども、どのようにコミ
ュニケーションされていくのかその考えを教えてください。
(答)
ご発言について、コメントするのは差し控えさせて 頂きたいと思います。詳細を存
じ上げているわけでもありませんので、一般論としてお答えさせて 頂きますが、今
回の柔軟化の趣旨は、今日もご説明した通り、緩和の持続性を高める、つまり粘り
強く緩和を続けていくため、それをうまく続けていくための備えだということでご
ざいます。ただ、おっしゃるようにこの仕組みというのは、複雑な面がありますし 、
その一つ一つの評価というのは、伝えていくことが大変難しいものの一つだと 。皆
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さまにもそういう意味では、ご協力頂きながら、われわれが粘り強く緩和を続けて
いくという趣旨が広く国民の皆さまに伝わるようにしたいと思いますし、私どもの
コミュニケーションにおいても、努力は続けていきたいというふうに思います。重
ねて言いますが、この柔軟化の趣旨はあくまで緩和をうまく続けていく、粘り強く
続けていくために行ったということでございます。
(問)
7月の会合での修正なんですけれども、ボラティリティという意味では今後8月です
とか結構市場は海外とかのバケーション期間に入られてボラ ティリティは高まると
思うんですけども、その辺のところをどのようにみてるかというのを一つお伺いし
たいです。
もう一つは、出口ではないということはもちろん今回お話されてると思いますけれ
ども、やっぱり世の中の注目としては次 、そのマイナス金利をどう扱うかというと
ころが注目されるところだと思います。まだもちろん距離があるというふうには認
識してるんですけれども、その際どういったところを今後見ていくかというのを教
えて頂けますでしょうか。お願いします。
(答)
まず前者は、市場の状況にコメントするような話になりますので、具体的にコメン
トすることは適切ではないというふうに思っています。市場は、もちろん流動性の
多いとき、そうでないときっていうのはあるわけですけれども 、その中でいろんな
ことをこなしながら動いているわけですので 、これだけ大きなマーケットの中にお
いては、時期であるとか、そういったことが大きな要素になるということは、日々
の動きということではなく考えるのであれば、あまりないであろうというふうに思
います。
それからマイナス金利については今日も割と詳しくお話したわけですが、マイナス
金利を解除して例えばゼロにする場合にはというふうに書きましたが、0.1[%]の分
だけ引き上げるということを意味します。ここは長期金利のところとは違って私ど
もは完全にコントロールができるわけですので、意図的に引き上げるということを
意味するわけです。従って、言ってみれば実体経済面で需要を抑えることで物価が
上がらないようにするということですので 、そういった判断になるときにやるとい
うことです。これも言いましたが、先ほどのリスクマネジメント・アプローチで上
方向と下方向が、マイナス 0.1[%]で維持することによって、むしろ引き締めが遅
れて 2%を超える状況が続いてしまう、そちらの方がより心配だという状況になっ
て初めて議論になり得るということだと思いますので、現在の状況からみ るとまだ
大きな距離があるというふうに思っています。
(問)
先ほど、長期金利は 1%に到達しないというふうなお話があったかと思うのですが、
実際 1%に近づく前にオペとかで止めに行くのかどうかについて教えてください。
今の想定しているレンジみたいのがあればそれもお願いします。
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(答)
先ほど申し上げたのは、今回の対応というのはこの後、物価あるいは予想物価上昇
率に上振れ方向の動きが更に続いた場合には、何度も申し上げたような様々な副作
用が生じる恐れがあるので、この段階で対応したということを申し上げたわけです。
従って、今の状況において長期金利が大きく上昇するとは考えていないというふう
に申し上げたわけです。そのうえで、状況によって 0.5[%]を超えて動くというこ
とはあるわけですけれども、その場合には長期金利の水準とか変化のスピードに応
じて、各種オペを駆使して機動的 に対応していくということです。当然のことなが
らこの段階で、0.何%をみてますということが何か念頭にあるということでは今の
段階ではないです。あっても言わないですけど。
(問)
1%をつける前にオペで止めにいくかどうかについてはどうですか。
(答)
それは当然止めにいくでしょうね、スピードによっては。今 、要するに 1[%]は必
ず止めると言ってるわけですから 。それ以外の手段は 1[%]に向けたときには使っ
ていくのは当然でしょうけれども 。将来の話としておっしゃるのであればそうです。
(問)
住宅金利ローンについてちょっと お伺いしたくてですね。先週の政策の修正で早速
長期金利が0.6[%]ぐらいまで上がりましたけれども、足元8月の住宅ローン固定金
利も上がっていて 9 月も上がることが見込まれるなど、ちょっと影響は出ているか
なと思うんですけれども、回り始めたその景気の好循環に水を差すようなことには
ならないのかなど、政策修正の影響に関しての所感を教えてください。
(答)
ファクトとして申し上げますが、住宅ローン の大半を占める変動型については今回
短期金利を維持していますので、これは影響はないということにな ります。それか
ら既に組んでいる固定金利は当然 [影響は]ありませんが、新規の固定金利型につき
ましては、これは長期金利と一定程度連動する面があるということです。もっとも 、
先ほど申し上げた通り、過度な長期金利の上昇は抑制するということで対応を行い
ますので、長期金利が大きく上昇することは考えていないということでございます。
いずれにしても、住宅ローンを含めた家計や企業の状況については注意深くみ てい
きたいというふうに思います。現時点では 、今のようなふうに考えているというこ
とです。
(問)
YCCの運用柔軟化の措置は現時点ではどの程度持続的なものと考えていらっしゃ
るのか、来年春闘とか物価・経済の情勢によってかなり変化し 得るものだとは思う
んですけれども、半年や 1 年など期間やその変化の兆しが変化と判断できる局面な
ど何か具体的なイメージがあれば教えてください。
(答)
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私どもの政策は、そのときの経済・物価・金融の情勢を 、MPMのサイクルで言え
ば年に 8 回みていきながらやっていくので、半年後 1 年後どうだろうっていうのを
考えながら、もちろん考えながらやるんですけれども 、何かスケジュールを持ちな
がらやるっていう性質のものではないんですね。それが一つ金融政策というものが
持つ機動性であり、特色なんだろうというふうに思います。そういう意味で何かあ
る種のカレンダーを僕らが持ってやっているということはありません。ただ、今回
この対応をしたことに伴って、この後もちろん経済・物価の情勢が変わっていくこ
とで対応が変わってくることはありますけれども 、今の状況が大きく変わらないの
であれば、金利が大きく上昇するということではないということですので、これは
今の変更後の枠組みというのは、それなりに ロバスト、堅牢であろうというふうに
は思っています。
(問)
10 年前の異次元緩和が始まったときの議事録が先日公開されましたが、その当時の
会合にも、内田副総裁は当時のお立場で参加されたと思うんですけども、その当時
の議論をご覧になって今振り返ると、どのような所感を持たれるか なというのが一
点。
あと、2 年で 2%という目標をそのとき掲げたわけですけれども、具体的なその精緻
な根拠がないっていうことが改めて示されたという指摘があります。このときにそ
の議論は正しかった正しくなかったと言えるものなのかどうかわからないですけど
も、適切だったのかどうかっていうのをちょっと振り返っていただきたい。
あと、エコノミストの中には、結局2%の物価目標を2年で達成できなければ追加的
なことを次々と要求されていって緩和の期間がズルズルと長引いてしまう。結果 10
年緩和を続けているわけですけれども、またそれ で日銀が物価目標を達成できない
っていうことを来年にでも認めるっていうのではないかという見立てを出されてる
エコノミストの方もいらっしゃいます。こういった指摘についての 反論というのは
どんなものがございますでしょうか。三点お願い致します。
(答)
10 年前の金融政策決定会合の議論、これは議事録というかたちでフルのバージョン
で公表されたということですので 、私から追加的にコメントすることは適切ではな
いというふうに思いますので差し控えたいと思います。あの通りの議論がされたわ
けですから、それを評価されるのは外の方であるべきだというふうに私は思います。
そのうえで、2 年程度の期間を念頭においてというふうにしたことについてですけ
れども、これは当時ですね、質・量ともに思い切った緩和を行う、その中で明確な
メッセージを出すということでと られた措置というふうに私は理解 をしています。
達成できなかったではないかというのはおっしゃる通りですけれども 、その原因の
一つは、もちろん、いわゆるデフレ期に定着したノルムというものが 、あるいはデ
フレマインドと言ってもいいかもしれませんが 、非常に強固であったということ 。
もう一つは、2年の根拠と重なるんですけれども、普通の金融政策は2年程度のラグ
で効いてくるものなのですが、金利がゼロに突き当たった中で非伝統的政策をやっ
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ていたということですので、効果の出方あるいは金融政策のラグというものについ
て不確実性があったということかというふうに思います。 その二点によって達成で
きなかったっていうのが、起きたことだというふうに思います。
三点目については、2%を目指してこれまで様々な政策をやってきて、ようやく企業
の、今申し上げた企業のデフレマインドが、あるいは人々のデフレマインドが変わ
りつつあるように感じます。まだ、兆しであり芽であるわけですけれども 、これを
育てていくことで 2%は実現できるというふうに思っていますし、実現したうえで 、
政策というのはその先を考えていくということだと思っていますので 、それがまだ
見通せていないこの段階においては、粘り強く緩和を続けて 、この芽を、せっかく
出てきたこの芽を育てていきたい。講演でも言いましたけれども、日本経済がよう
やく変わりつつあるように思えますのでこの芽をつぶしてはいけない、これを育て
ていきたい、そのための粘り強い緩和であるというふうに申し上げたいと思います。
以 上