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金融政策決定会合議事要旨(6月15、16日開催分)

SPEAKER) 高田 創 ( 〃

PUBLISHED04/08/2026, 23:50:00
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2026.8.5

日本銀 行

政策委員会

金融政策決定会合

議事要旨

(2026年6月15、16日開催分)

本議事要旨は、日本銀行法第 20 条

第1項に定める 「議事の概要を記載し

た書類」 として、2026 年7月 30、31 日

開催の政策委員会・金融政策決定会合

で 承 認 さ れ た も の で あ る 。

公表時間

8月5日 (水) 8時50分

本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合(引用は

含まれません)は、予め日本銀行政策委員会室までご相談ください。

引用・転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

1

(開催要領)

1.開催日時: 2026 年 6 月 15 日(14:00~15:57)

6 月 16 日( 9:00 ~12:12)

2.場 所:日本銀行本店

3.出席委員:

議長 氷見野良三 (副 総 裁)(注)

内田眞一 ( 〃 )

中川順子 (審議委員)

高田 創 ( 〃 )

田村直樹 ( 〃 )

小枝淳子 ( 〃 )

増 一行 ( 〃 )

浅田統一郎 ( 〃 )

(注)植田委員(総裁)は会合を欠席したため、日本銀行法第 16 条第5項

の規定に基づき、 氷見野委員が議長の職務を代理した。植田委員からは、

政策委員会議事規則第5条第2項に基づき、議長を通じて、書面により

意見が提出された。

4.政府からの出席者:

財務省 前田 努 大臣官房総括審議官(15 日)

中谷真一 財務副大臣(16 日)

内閣府 林 幸宏 内閣府審議官(15 日)

水田 豊 大臣官房審議官 (経済財政運営担当) (16日 9:00~9:05)

城内 実 経済財政政策担当大臣(16 日 9:06~12:12)

(執行部からの報告者)

理事 神山一成

理事 諏訪園健司

理事 正木一博

理事 中村康治

企画局長 奥野聡雄

企画局 政策企画課長 井出穣治

金融機構局長 鈴木公一郎

金融市場局長 峯岸 誠

調査統計局長 川本卓司

調査統計局 参事役 須合智広

国際局長 近田 健

(事務局)

政策委員会室長 福田英司

政策委員会室企画役 三浦幸大

企画局企画役 八木智之

企画局企画役 福島駿介

2

Ⅰ.金融経済情勢 に関する執行部からの報告の概要

1.最近の金融市場調節の運営実績

金融市場調節については、前回会合( 4月 27、28 日)で決定された

金融市場調節方針 (注)に従って運営し、 無担保コールレート (オーバー

ナイト物)は、 0.726~0.728%のレンジで推移した。

この間、長期国債の買入れについては、 2025 年6月の会合で決定さ

れた減額計画に沿って、月間 2.7 兆円程度の買入れを行った。

2.金融・為替市場動向

短期金融市場では、翌日物金利のうち、無担保コールレートは

0.75 %程度で推移した。GCレポレートは、無担保コールレート並み

の水準で推移した。ターム物金利をみると、短国レート(3か月物)

は、 上昇した 。

わが国の株価(TOPIX)は、 米欧 の株価に連れて上昇した 。長

期金利( 10 年物国債金利)は、中東情勢 を受けた インフレ圧力 や、不

確実性を意識した投資家の様子見姿勢などから、上昇した 。国債市場

の流動性指標をみると、総じてみれば、改善方向の動きが継続してい

る。為替相場をみると、円の対ドル相場 は、円高になる 場面 もみられ

たが、期間を通じてみれば、概ね横ばいとなった。 円の対ユーロ相場

は、 ユーロが対ドルで減価したことから、円高方向の動きと なった。

3.海外金融経済情勢

海外経済は、 中東情勢の影響もあって 一部に弱めの動きもみられる

が、総じてみれば緩やかに成長している。米国経済は、一部に弱めの

動きもみられるが、総じてみれば堅調な成長を維持している。欧州経

済は、一部に弱 めの動きもみられるが 、内需を中心に底堅さ を維持し

ている。中国経済は、 消費に力強さを欠きつつも 、輸出の増加などに

支えられて 、このところ持ち直して いる。中国以外の新興国・資源国

経済は、 一部に弱めの動きもみられるが、 総じてみれば緩やかに改善

している。

先行きの海外経済は、 当面、 中東情勢 等の影響が下押し圧力となる

ものの 、その後は、 中東情勢の影響が和らぐとの前提のもとで 、 グロー

バルなAI関連需要にも支えられて 、緩やかな成長を続ける と考えら

(注)「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.75%程度で推移するよう促す。」

3

れる。先行きの見通しを巡っては、当面、中東情勢の今後の展開と、

それが国際金融市場や世界経済に与える影響について注意が必要な

ほか 、引き続きAI関連のグローバルな需要動向 や各国の通商政策の

影響 などについて、不確実性が高い。

海外の金融市場をみると、中東情勢 を巡る不確実性が引き続き意識

され ているものの 、AI関連企業の好調さもあり 、市場センチメント

は改善 している。米 欧の株価は、 中東情勢を巡る不透明感が続いてい

るものの、AI関連企業の好調さなどから、期間を通じてみれば、上

昇した 。米国の長期金利は、中東情勢 による インフレ圧力 の高まりや

堅調な経済指標を受け、利上げ 織り込み が進展したことから、 上昇し

た。欧州の長期金利は、 概ね横ばいとなった 。この間、新興国通貨は、

総じてみれば横ばい圏内で推移 した。原油価格は、 前回会合時対比で

みれば米国・イラン間の交渉の進展期待から下落したものの 、事実上

のホルムズ海峡封鎖が続く中で、引き続き高値圏で推移 した。

4.国内金融経済情勢

(1)実体経済

わが国の景気は、 中東情勢の影響もあって 一部に弱めの動きもみら

れるが、緩やかに回復している。先行きについては、 当面は、グロー

バルなAI関連需要の堅調さや政府による各種施策が下支えとなる

ものの、エネルギー・原材料価格の高騰による交易条件悪化が下押し

に作用することから 、景気はいったん減速すると見込まれる 。

輸出は、 中東情勢による下押しの影響とグローバルなAI関連需要

による押し上げの影響が相殺し、 基調としては横ばい圏内の動きを続

けている。先行きは、グローバルなAI関連需要の堅調さは情報関連

や資本財を中心に押し上げ要因となる 一方 、中東情勢 を受けた 中東向

けの自動車輸出の減少 や素材産業の稼働率低下が下押し方向に作用

することから 、当面は 、横ばい圏内の動きを続けると考えられる。

鉱工業生産は、やや長い目でみれば、横ばい圏内の動きを続けてい

る。先行きは、グローバルなAI関連需要の堅調さや経済対策にも支

えられた 設備投資 需要の底堅さ は下支え 要因となるものの、中東情勢

を受けた 素材産業 等の生産調整が下押し要因として作用することか

ら、全体としては横ばい圏内の動きを続けると見込まれる。

企業収益は、 グローバルなAI関連需要の堅調な増加を背景に、 高

水準 で推移している 。こうしたもとで、設備投資は 、緩やかな増加傾

向にある。先行きの設備投資は、 既往の投資案件の 受注残 を解消 する

4

動き が下支えに作用するものの、エネルギー・ 原材料 価格上昇 や建設

コストの上昇 による 下押し圧力 が強まってくることから、増勢は徐々

に鈍化していく可能性が高い 。

個人消費は、 家計マインドに弱さがみられるものの 、雇用・所得環

境の改善を背景に底堅く推移している。消費活動指数(実質・旅行収

支調整済)をみると、 1~3月に増加した あと 、4月の 1~3 月対比

も、耐久財を中心に 大きめの 増加 となって いる。企業からの聞き取り

調査や業界統計、高頻度データに基づくと、 5月以降の個人消費は、

増勢を維持して いるとみられる。消費者マインドは、 不安定な中東情

勢やガソリン価格上昇を受けて急激に悪化していたが 、足もとでは、

家計の物価見通しの若干の低下に伴い、悪化に歯止めがかかっている。

先行きの個人消費は、当面は、 既往の経済対策や政府によるエネル

ギー負担緩和策は下支えとなるものの、財価格を中心とした物価上昇

による実質購買力の低下を主因に、減速する可能性が高い 。

労働需給は、引き締まった状態が続いている。そうしたもとで、 雇

用・所得環境は、緩やかに改善している。就業者数は、 足もとでは 前

年比 1%程度までプラス幅が拡大している 。一人当たり名目賃金は、

振れを伴いつつも、 着実な上昇を続けている。 先行きの雇用者所得は、

振れを伴いつつも、当面、現状程度のペースで着実な増加を続けると

見込まれる。

物価面について、商品市況をみると、原油価格は、中東情勢の 不安

定化を背景に 急激かつ 大幅に上昇し たあと 、足もとにかけて低下して

いるが、依然として高値圏で揉み合いとなっている 。銅価格 は、中東

情勢の影響を受けつつも、 はっきりと した 上昇 傾向にある 。この間、

食料の市況価格は 、足もとでは小幅ながら上昇に転じている 。国内企

業物価の前年比は、 中東情勢の影響を受けた石油・石炭製品や化学製

品の大幅な上昇が押し上げ要因となるもとで、グローバルなAI関連

需要の増加による非鉄金属や機械類の上昇も加わり、上昇率がはっき

りと高まっている 。企業向けサービス価格(除く国際運輸)の前年比

は、人件費上昇等を背景に高めの伸びを続けているが、前年度にみら

れた値上げの一巡などから上昇率が低下傾向にあり、足もとでは2%

台半ばとなっている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金

上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上

昇の影響もあって2%を上回って推移してきたが、足もとでは、政府

によるエネルギー負担緩和策の効果などから、 1%台半ばとなって い

る。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。先行きの消費者物価

の前年比は、 目先は政府によるエネル ギー負担緩和策は下押し要因と

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なるものの、中東情勢等を受けたエネルギー・原材料価格の上昇の影

響が財価格を中心に波及していくのに伴い、 再びプラス幅を拡大して

いくとみられる。

(2)金融環境

わが国の金融環境は、緩和した状態にある。

実質金利は、マイナスで推移している。企業の資金調達コストは、

上昇している。資金需要面をみると、経済活動の回復や企業買収の動

きなどを背景に、増加している。資金供給面では、企業からみた金融

機関の貸出態度は、緩和した状態にある。 CP・社債市場では、良好

な発行環境となっている。 こうした中、 銀行貸出残高の前年比は、 6%

台前半 となっている。CP・社債計の発行残高の前年比は、 8%程度

となっている。企業の資金繰りは、良好である。企業倒産は、横ばい

圏内で推移している。

この間、マネーストックの前年比は、 2%台 半ば となっている。

Ⅱ.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要

1.経済・物価情勢

国際金融資本市場 について、委員は、 中東情勢を巡る不確実性が引

き続き意識され ているものの 、AI関連企業の好調さもあり、市場セ

ンチメントは改善している との見方を共有した。 ある 委員は、 AI 関

連需要を背景とした 設備 投資 の拡大 によって 、世界的に企業業績の 改

善が展望 され ており、これが 原油価格上昇 に伴う 交易条件の悪化 を緩

和する方向に作用 していることなどから 、多くの国で 株価が史上最高

値を更新していると 述べた 。

海外経済 について、委員は、 中東情勢の影響も あって一部に弱めの

動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している との認識を共

有した。 先行きについて、委員は、 当面、中東情勢等の影響が下押し

圧力となるものの、その後は、中東情勢の影響が和らぐとの前提のも

とで、グローバルなAI関連需要にも支えられて、緩やかな成長を続

ける との見方で一致した 。ある委員は、 エネルギーの中東依存度 が高

いNIEs・ASEANを含め、サプライチェーンに大きな混乱は生

じておらず、中東情勢を受けた大幅な景気悪化懸念は一頃より低下し

ている 一方、原油価格の高止まりを念頭に、多くの国で物価上昇リス

クが意識されている との認識を示した 。

6

米国経済について、委員は、 一部に弱めの動きもみられるが、総じ

てみれば堅調な成長を維持している との認識で一致した 。ある委員は、

AI 関連 需要 の拡大 や減税 による経済の押し上げ 効果 もあって 成長

率が上昇している ほか、最近では雇用も回復に向かっており 、経済成

長の底上げが続いているとの見方を示した 。

欧州経済について、委員は、 一部に弱めの動きもみられるが、内需

を中心に底堅さを維持している との認識を共有した。

中国経済について、委員は、 消費に力強さを欠きつつも、輸出の増

加などに支えられて、このところ持ち直している との見方を共有した。

中国以外の新興国・資源国経済について、委員は、 一部に弱めの動

きもみられるが、総じてみれば緩やかに改善している との認識を共有

した。 ある委員は、 中東情勢 の影響 度合い やAI関連需要 拡大の 恩恵

の受け方 は新興 国の中でも 区々である ことから 、個別の動向をしっか

りとみていく必要があると指摘した 。

以上のような海外の金融経済情勢を踏まえて、 わが国の経済情勢 に

関する議論が行われた。

わが国の景気 について、委員は、 中東情勢の影響もあって一部に弱

めの動きもみられるが、緩やかに回復している との見方を共有した 。

多く の委員は、AI関連需要の強さなどを背景とした好調な企業収益、

賃金のしっかりとした上昇、政府による各種施策や原材料の代替調達

の進展など から 、これまでのところ、 経済が大きく 下振れ るリスクは

顕在化していない との認識を示した。そのうえで、何人かの委員は 、

わが国経済は、減速はするものの前向きの循環は途切れないという 、

4月の 展望レポートの 中心的な 見通しに 概ね 沿って推移していると

の見解を示した。 ある委員は、世界的なAI需要拡大によるディマン

ドショックで海外経済が上振れるもと、原油価格上昇に伴う交易条件

悪化は緩和され、景気減速懸念は後退していると 述べた 。

景気の先行き について、委員は、 ①原油価格上昇 に伴う 交易条件の

悪化など から、 成長ペースは減速する ものの、 企業部門 における 高水

準の収益 や政府による各種施策 、緩和的な金融環境などが経済を下支

えするため、 わが国経済は 緩やかな成長を続ける 、②その後は、原油

高のマイナスの影響が減衰し、所得から支出への前向きな循環メカニ

ズムが徐々に強まっていくことから、成長率を緩やかに高めていく と

の認識を共有した。 大方 の委員は、 前回会合以降、 官民の 様々な 努力

によって、 中東依存度の高い 原材料の代替調達が進んで いることを踏

まえると 、供給制約が強まり 、わが国 企業 の生産活動に大きな影響 が

7

生じる 可能性 は低下しているとの認識を示した。このうちのある委員

は、将来の調達に 対する 不確実性 から 、一部では高値で購入して 在庫

を増やす動きもみられている が、そうした動きは 、塗料など 調達力の

弱い 品目 に限られ ており 、景気全般に影響する 可能性は 小さい との 見

解を示した。

輸出 や鉱工業生産について、委員は、 基調としては横ばい圏内の動

きを続けている との認識を共有した。 ある委員は、 好調 なAI関連需

要を背景に 、情報関連が足もとの生産を牽引しているほか、 米国やア

ジア向け輸出が底堅く推移している と指摘 した。

設備投資について、委員は、 企業収益 が、グローバルなAI関連需

要の増加を背景に高水準で推移している もとで、 緩やかな増加傾向に

ある との認識 を共有 した。

個人消費について、 委員は、家計マインドに弱さがみられるものの、

雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している との認識で一致し

た。何人か の委員は、 良好な 企業業績 を背景とする 安定した雇用・賃

金環境と 、政府の エネルギー負担緩和策 などによる 家計への 所得移転

効果 が、物価上昇のもとでも個人消費を支えていると指摘した。 この

うちの 一人の 委員は、LNG価格の値上がりに伴 う今後の 電力価格上

昇に対しても 、政府による補助 が予定されており、 消費意欲の減退は

避けられ ると の見方 を示した。

雇用・所得環境について、委員は、 緩やかに改善している との見方

を共有した。 多くの委員は、企業収益が高水準で推移するもとで、本

年の春季労使交渉 (春闘) では、大企業だけでなく、相対的に規模が

小さい企業でも賃上げ率は5%程度となっており、3年連続でしっか

りとした賃上げが実現しているとの認識を示した。このうちのある委

員は、 中小企業については、 中東情勢 の影響により 賃上げに 慎重 にな

るのではないかと 懸念 していたが、 春闘の結果をみると、予想に 反し

て足もとでも 底堅い回答が続いている と付け加えた 。こうした 点に関

し、一人の委員は、賃 金改定 にあたって 最も重視する要素として 自社

の収益動向を 挙げる企業が多い こと を踏まえると 、今後とも 、原油高

によ る企業収益 の下押し が、賃上げのモメンタムに及ぼす影響 を丁寧

に確認 していく 必要 があると 指摘した 。また 、この委員は、 賃上げに

際しては、 人手 の確保という要素も重視されて いるため 、人手不足 を

理由とする Ⅿ& Aや廃業の実態、転職を伴う賃上げ の動向 など、 企業

活動や 賃金の設定状況を 多面的に みていく ことが重要である と述べ

た。

8

物価面 について、委員は、 消費者物価(除く生鮮食品)の前年比 は、

賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価

格上昇の影響もあって2%を上回って推移してきたが、足もとでは、

政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、1%台半ばとなっ

ている との認識で一致した。 ある委員は、 足もとでは 食料品価格 は落

ち着 いてきている が、最近の値上げ品目の増加等を踏まえると、 全体

として、 4月の展望レポートの 見通しに 概ね 沿った動き であるとの見

方を示した 。何人か の委員は、 消費者物価は、 政府による各種施策の

影響を除くと2%台で推移していると指摘し たうえで 、こうした 施策

は、特定の財・サービスの価格水準を調整することによって家計の実

感に働きかける効果があるが、基調的な物価上昇率を 把握する うえで

は、その 要因を除 いてみる 必要があるとの認識を示した。 このうちの

一人の委員は、1%台半ば という 物価上昇率は、家計の 実感 に近いの

かもしれないが 、一方で、補助金の対象外の品目の価格は、 かなり高

い伸びを 続けていることも 意識 する必要がある と述べた 。そのうえで、

この委員は、 最近の 企業間 取引の価格上昇などを踏まえると、1%台

半ばという数字が、 胎動する物価上昇の実態を覆い隠している面もあ

ると指摘した。

企業間 取引の 価格動向 について 、大方の委員は、 足もとの国内 企業

物価 は前年比6%を超え る高い伸び率となっており、 川上や川中段階

では 、原油 高を起点に 価格転嫁がやや 速いスピードで進んでいるとの

認識 で一致した 。このうちのある委員は、 最近の 企業物価指数 の動き

をみると、4月 にナフサやエチレンなど 川上 の基礎化学品の価格が 急

騰した あと 、5月は、合成樹脂やプラスチック 製品 など川中の素材・

加工品での価格上昇 が目立っており、原油 高の直接的な 影響がはっき

りと表れていると指摘した。 別の一人の委員は、 川上企業の決算発表

やヒアリング情報をみると、今次局面では、過去の仕入価格上昇 時に

比べ、販売価格改定までの期間が短期化している との認識を示した。

ある 委員は、 エネルギーや食料品以外の財についても、 既に川下段階

での価格上昇がみられているが、 これは 、最近の 円安 を受けた 価格 転

嫁を相応に映じたものである との見方を示した。

この間 、予想物価上昇率について、委員は、緩やかに上昇している

との 見方 で一致した。 ある委員は、市場参加者のインフレ期待を示す

ブレーク・イーブン・インフレ率 は2%を超える水準まで上昇してき

ているほか、長短金利差も拡大するなど、 中長期の予想 物価 上昇率 に

動意がみられると指摘し た。一人の委員は、企業や家計の予想物価上

昇率は、既に2%程度まで高まってきているとの認識を示した。 別の

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ある 委員は、 各種 の政策 効果 などから 足もとの消費者物価の上昇 率が

1%台半ば で推移していることが 、人々の 予想物価上昇率 の上昇 を抑

えている面があるが 、今後の動向 は注視していく必要が ある と述べた 。

物価の先行き について、委員は、 消費者物価(除く生鮮食品)の前

年比は、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きが続くもとで、原油価格

上昇が、エネルギー価格や財価格を中心に押し上げ方向に作用するこ

とから、2%をはっきりと上回る水準まで伸び率を高めていくと予想

され 、その後は、原油高の影響が減衰していくもとで、2%程度に向

けてプラス幅を縮小していくと予想される との認識を共有した。また、

委員は 、この間、人手不足感の強い状況が続く 中で、賃金と物価が相

互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、中長

期的な予想物価上昇率は上昇していく との見方で一致した。そのうえ

で、大方の委員は、 消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まって

いくと予想され、 2026 年度後半から 2027 年度にかけて「物価安定の

目標」と概ね整合的な水準となり、その後も同程度で推移すると考え

られる との認識を共有した 。これに対して、 ある委員 は、基調的な物

価上昇率 を含め、消費者物価は既に概ね「物価安定の目標」に達する

水準にあるとの認識を示した。また、別のある委員は、 基調的な物価

上昇率は2%の「物価安定の目標」と既に概ね整合的な水準で推移し

ている との見解を示した。

消費者物価の見通しについて、 大方の委員は、 原油 価格上昇 を起点

に企業間取引における価格転嫁がやや速いスピードで進んで おり、こ

れが、 今後、 消費者段階に おける幅広い品目の価格上昇に波及してい

く可能性がある との認識を示した 。複数の 委員は、 最近の 値上げ報道

や企業ヒアリング の情報 等を踏まえると、 夏頃には 川下の消費者段階

でも値上げ品目の増加が見込まれ、 今年度後半にかけて 消費者物価は

相応に押し上げられる 可能性が高い との見解を示した。 ある委員は、

企業業績や株価がある程度堅調さを保てば、その効果が波及するかた

ちで値上げの動きが継続し、物価上昇圧力が持続すると考えていると

述べた。 この間、 一人の 委員は、 今後、 中東における戦闘が終結し 、

原油価格が下落し たとしても、 代替調達に伴って輸送 ・保管 コスト 等

が上昇していることを踏まえると、 物価上昇圧力 は残存する との見 方

を示した 。また、 別の ある 委員は、 戦闘終結後もホルムズ海峡の安全

な通行が完全に確保されるまでには時間を要すると思われるほか、 将

来に亘って原油調達先が米国などに分散される と考えられる ため 、原

油の調達コストは高止まりするとの認識を示した。

経済・物価の見通しのリスク要因 として 、委員は、当面は、今後の

10

中東情勢の展開が、金融・為替市場やわが国の経済・物価に及ぼす影

響をとくに注視する必要があるとの認識で一致した。 中東情勢につい

て、委員は、 米国およびイラン双方が戦闘終結等に関する覚書に合意

した旨を発表するなど、様々な動きがみられているものの、今後の物

流の回復ペースなどを含め、依然として不透明な状況が続いていると

の見方を共有した 。

そのうえで 、中東情勢がわが国 の経済に及ぼす影響について、 大方

の委員は、 これまでの原油価格上昇は景気の下押し要因となっている

ものの、高水準の企業収益 など が経済を下支えする方向に作用 してい

ることに加え 、政府による各種施策の効果 が今後も見込まれること や、

中東依存度の高い 原材料の代替調達 が進展 していること など を踏ま

えると、 経済 が大きく 下振れ るリスクは 一頃 よりも 低下 している との

認識 で一致した 。一人の 委員は、 4月の決定会合時点と比べ、 原油や

ナフサなどの代替調達の進展 がデータでも確認できるようになって

いるほか、戦闘終結に向けた合意など もあり、原材料の 供給 制約が 大

幅に 強ま るリスクは 低下していると指摘した。

中東情勢が わが国の 物価に及ぼす影響について 、大方の 委員は、 原

油高を起点に 企業間取引における価格転嫁が やや速いスピードで進

んでおり、これが、今後 、消費者段階における幅広い品目の価格上昇

に波及していく可能性がある 中、中長期の 予想物価上昇率 が引き続き

上昇 していること も踏まえると、基調的な物価上昇率が2% の「物価

安定の目標」 を超えて上振れていくリスクがあるとの 認識で一致した 。

多くの 委員は、原油価格上昇の影響が、 既に 川中の企業物価にまで波

及する中、企業の価格設定行動が積極化していることを踏まえると、

今後、物価上昇につながるリスクをより懸念する状況にあるとの認識

を示した。 何人か の委員は、企業の 賃金・ 価格設定行動が積極化する

中、原油高によるコスト上昇分だけではなく、 これまでの 人件費や輸

送費の上昇 分を価格転嫁する動きが 広がり 、消費者段階の価格上昇が

上振れるリスクが高まっているとの見解を示した 。このうちの一人の

委員は、足もとの企業向けサービス価格指数 のうち 、自動車貨物輸送

が大きく上昇して いる ことを 指摘したうえで、こうした 物流費の上昇

は物価に広く波及するものである ため 、基調的な物価上昇率に影響す

るおそれ があると指摘した。 別の一人の委員は、 原油高を受けた 包装

資材の価格上昇 をきっかけとして 、仕入コストの上昇分以上に販売価

格を引き上げる 動きにつながるかどうかに 注目する必要があると指

摘した。 ある 委員は、 ロシアによるウクライナ侵攻 後の資源価格高騰

時と比べると、 雇用・所得環境の改善、 企業・家計のインフレ予想の

11

高まり、企業の 価格設定行動の積極化 といった変化が生じており、 労

働需給がマクロ的な 需給ギャップ 以上に引き締まっていること など

も踏まえると、 足もとの 物価の上振れリスクは、当時よりもかなり大

きい との認識 を示した 。その うえで、 この委員は、欧米と異なり、 わ

が国では 中長期の予想物価上昇率が2% 程度に アンカーされてい な

いため、 先行き、 これが 2%を超えて大きく上振れ るリスクも あると

付け加えた 。

この間、 物価上昇の賃金への波及について、 複数 の委員は、 わが国

の労使関係を踏まえると、賃金と物価がスパイラル的に急上昇する可

能性は高くないと 指摘した 。そのうえで、 このうちのある委員は、 二

桁のインフレを心配する必要は今のところないが、 企業ヒアリングに

よれば、 中東情勢 の影響により業績が悪化したとしても、人材の確保

や人的投資の観点から、来春もしっかりとした賃上げを行う という 企

業が多いことから 、物価から 賃金 への 二次的波及が 一定程度 生じる可

能性 はあると の見方を示した 。

こうした議論を踏まえ、 大方 の委員は、 中東情勢の影響は景気には

下押し、 物価には上押しの効果を持つが、 足もとの状況を踏まえれば、

物価上振れのリスクをより重視する 必要がある との見解を示した。こ

れに対して、ある委員は、中東紛争が終結で合意したとはいえ、紛争

に起因する供給ショックは、物価の上振れリスクよりも生産・雇用の

下振れリスクの方が大きいとの認識を示したうえで、生産・雇用の下

振れリスクは、賃金と物価の好循環を阻み、最悪の場合、長期のデフ

レから脱却してインフレ期に移行したようにみえる日本経済を再び

デフレに逆戻りさせる可能性があると 指摘した 。

この ほか 、委員は、中東情勢以外の主なリスク要因として、グロー

バルなAI関連需要の動向や今後の為替相場の変動が、わが国の経

済・物価に及ぼす影響にも留意が必要であるとの認識で一致した。 複

数の委員は、グローバルなAI関連需要が、想定以上に経済・物価を

上押ししている 可能性がある との認識を示した 。このうちのある委員

は、今後、原油価格が 下落する にしても、AI関連を中心とした海外

発のディマンドショックに伴い、半導体メモリや 銅などの需給がひっ

迫するもとで、 石油関連以外も含め物価上振れに 広がり が生じる 蓋然

性が高い との見方を示した 。

2.金融面の動向

わが国の金融環境 について、委員は、 緩和した状態にある との認識

で一致した。 多くの 委員は、実質金利は短中期ゾーンを中心にマイナ

12

スとなって いるほか 、企業等の資金需要は増加して おり 、CP・社債

市場でも良好な発行環境が続いていると指摘した。 このうちのある委

員は、 インフレ期待に動意がみられる中、 実質金利マイナスによる貸

出やCP発行の増加、資産価格上昇の連鎖が生じていると述べた。何

人かの 委員は、これまで の利上げによっても、 企業の資金繰りや金融

機関の貸出態度に変化はな いほか 、銀行貸出は、経済活動の回復に伴

う資金需要 の全般的 な増加 や旺盛な企業買収 に伴う 資金ニーズの高

まり などから 、一段と伸びを高めていると指摘した。このうちのある

委員は、銀行貸出は、 コロナ 禍などの 特殊な時期を 除くと 2000 年以

降で 最も 高い伸び率となって いると指摘したうえで、不動産向けを含

め、 貸出増加の 背景 を丁寧に 把握していく必要がある と述べた 。

Ⅲ.長期国債の買入れ計画に関する執行部説明

執行部は、まず、国債市場の動向や機能度の評価について、以下の

とおり説明した。

⚫ 国債買入れの減額が進捗するもとで、債券市場サーベイにおける

機能度判断DI は、直近の5月調査 において マイナス幅がはっき

りと縮小しており、米国の関税政策発表をきっかけにマイナス幅

が大きく拡大する前のピークである 2025 年2月調査時点と概ね

同程度まで改善している。現物国債市場のディーラー間取引高も、

増加基調を辿っている 。現物新発債 のビッド・アスク・スプレッ

ドの動きをみると、 10 年金利の変動が比較的大きかった中にあっ

ても、目立って拡大することがなかった。

⚫ 既発債についても、市場機能度の改善がみられている。イールド

カーブをみると、 以前は、 日本銀行の国債保有比率がとくに 高かっ

た7~ 10 年ゾーンの金利が下方に凹んでいたが、国債補完供給に

かかる減額措置の実施等が市中流通量の増加に寄与したことなど

から、最近では、こうした歪みも概ね解消している。国債市場に

おける日本銀行のプレゼンスが、新発債だけでなく既発債でも低

下する中、 国債補完供給の利用も、 最近では低水準となっている。

⚫ これらの点を 踏まえると、国債買入れの減額が進捗するもとで、

国債市場の機能度は着実に改善しているとの評価が可能である。

次に、執行部は、5月 21、22 日に開催した債券市場参加者会合に

おいて聞かれた国債市場の動向や機能度および長期国債の買入れ計

画に関する市場参加者の意見を報告した。

⚫ 国債市場の動向 については、金利先高観などを背景とした投資家

13

の慎重な投資スタンスなどから、需給が緩和しているといった評

価があった 。もっとも 、そうした中にあっても、国債市場の機能

度は改善傾向を 辿っているとの 意見 が多く、その背景として、日

本銀行の国債買入れの減額や国債補完供給に関する各種措置が奏

功したことが指摘されている。

⚫ 現行の長期国債買入れの減額計画 については、修正を求める声は

ほとんど聞かれなかった。

⚫ 2027 年4月以降の長期国債の買入れ については、 「減額を停止す

べき」 と「減額を継続すべき」 の両方の 意見があった。 「減額を停

止すべき」とする意見は、 昨年時点ではほとんど聞かれなかった

が、今年は、 多数派 とはいえないものの 相応にみられ た。 そこで

は、減額を停止したとしても、日本銀行の国債保有残高や当座預

金残高は 着実に減少して いくことが 意識 されているほか、 減額を

継続した場合の 国債需給に及ぼす影響も 指摘 され た。一方、「減額

を継続すべき」 との意見の中には、来年4月以降も 現在の 減額ペー

スを維持すべきとの意見や、減額ペース を緩和することが適当と

の意見がみられたほか、少数ではあるが、最終的には買入れ額を

ゼロにすることを目指すべきとの意見もあった 。

⚫ このほか、 国債買入れの運営面 では、これまでと同様、 定期的な

点検を行うことが適当との 声が聞かれた一方、 従来のような 中間

評価は不要であり、よりオートパイロット的な運用への移行を求

める声もあった。この間、必要に応じて臨時オペ等の機動的な対

応を求める意見も、引き続き聞かれ た。

そのうえで、執行部は、こうした国債市場の動向や機能度および市

場参加者の意見などを踏まえると、長期国債の買入れ計画については、

以下の とおり とすることが考えられるとの説明を行った。

⚫ 長期金利は金融市場において形成されることが基本であり、日本

銀行による長期国債の買入れは、国債市場の安定に配慮するため

の柔軟性を確保しつつ、予見可能なかたちで行っていくことが適

切である。

⚫ 国債買入れの減額が進捗するもとで、国債市場の機能度は着実に

改善しており、一頃に比べ、買入れの減額を通じて、市場機能の

更なる改善を進めていく必要性は次第に小さくなってきている。

⚫ 一方、日本銀行の国債保有が減少すれば、その分、市場参加者が

保有する国債が増加する。銀行や個人といった本邦投資家が、国

債保有を無理なく増やしていくためには、ある程度の時間が必要

14

であり、従来と同様の減額を継続した場合、市場の安定に不測の

影響を及ぼす可能性がある。

⚫ こうした観点からは、以下のような制度設計が考えられる。

· 減額幅・買入れペース は、2027 年1~3月までは従来の減額計

画を維持し、原則として毎四半期 2,000 億円程度ずつ減額する。

2027 年4月以降は、 月間 2兆円程度の買入れを行う。

· 残存期間別の買入れ額 は、金融市場局が国債市場の動向を踏ま

えつつ適宜設定する。

· 長期金利が急激に上昇する場合 には、毎月の買入れ予定額にか

かわらず、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資

金供給オペなどを実施する。

· 今後、長期国債の買入れ計画の中間評価は実施しないが、国債

買入れの基本的な考え方や国債市場の動向等を踏まえ、必要な

場合には、金融政策決定会合において、買入れのペースを見直

すこともあり 得る。

Ⅳ.金融政策運営に関する委員会の検討の概要

以上のような金融経済情勢に関する認識と 長期国債の買入れ計画

に関する執行部説明 を踏まえ、委員は、金融政策運営に関する議論を

行った。

まず、委員は、 次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針 につ

いて、議論した。

大方の委員は、金融経済情勢に関する討議を踏まえると、わが国経

済は、4月の展望レポートで示した中心的な見通しに概ね沿って推移

しているほか、物価面では、基調的な物価上昇率が2%の「物価安定

の目標」を超えて上振 れていくリスクがあるとの認識を共有した。す

なわち、実体経済面では、大方の委員は、原油価格上昇は景気の下押

し要因となっているものの、高水準の企業収益や雇用・所得環境の改

善が経済を下支えする方向に作用しているほか、政府によるエネル

ギー負担緩和策等の効果や中東依存度の高い原材料の代替調達の進

展から、経済が大きく下振れるリスクは一頃よりも低下しているとの

認識を共有した。物価面では、大方の委員は、原油高を起点に企業間

取引における価格転嫁がやや速いスピードで進んでおり、これが、今

後、消費者段階における幅広い品目の価格上 昇に波及していく可能性

があることに加え、中長期の予想物価上昇率が引き続き上昇している

15

ことも踏まえると、基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」

を超えて上振れていくリスクがあるとの見方で一致した。 こうした認

識を共有したうえで、 ある委員は、前回会合以降、代替調達の進展に

加え、戦闘終結に向けた合意もあり、供給制約が高まるリスクは緩和

した ものの 、中東情勢の帰趨 を巡る 不確実性と物流への影響 が続いて

いる 中、物価上昇リスク があること を踏まえると、今回、政策金利を

調整することが適当であるとの見解を示した。一人の委員は、為替要

因からも輸入価格が上昇していると指摘したうえで、こうした物価上

昇が経営負担増となる企業は中小零細を含め相応にあるとみており、

緩和度合いの調整は以前より適切となっていると 付け加えた 。別のあ

る委員は、 日本の実質金利は 世界の中でも突出して低い一方、 更なる

物価上振れが懸念される ことから 、実質金利の水準を調整することが

必要 であるとの認識を示した。

以上の議論を踏まえ、大方の委員は、2%の「物価安定の目標」の

持続的・安定的な実現という観点から、今回の会合で政策金利を

0.25%引き上げ、 1.0%程度とすることが適当であるとの認識を共有

した。これらの委員は、①この方針を実現するため、補完当座預金制

度の適用利率を 1.0%とする、②基準貸付利率についても、 0.25%引

き上げ 1.25%とすることが適切である、との認識を共有した。

そのうえで、 大方の委員は、 今回の会合で政策金利を引き上げても、

緩和的な金融環境は維持されるとの認識を共有した。 何人かの委員は、

政策金利 引き上げ後 の実質金利 の水準や 企業や家計の資金調達環境

など も踏まえると、 今回の利上げは 緩和の範囲内の調整であ り、引き

続き、わが国経済をしっかりとサポートしていくと考えられるとの見

解を示した。このうちのある委員は、政策金利を少しずつ中立的な水

準に近づけていくことは、長い目で みて 経済と物価の安定につながる

と指摘した。そのうえで、複数の委員は、政策金利の変更後も緩和的

な金融環境は維持されるとはいえ、 利上げによるマイナスの影響を指

摘する声もある中、引き続き、金利の上昇とともに 金融環境がどのよ

うに変化していくかを丁寧に確認していく必要があると 述べた 。この

うちの 一人の 委員は、住宅ローンを抱える世帯の大半は現役世代であ

り、その半数程度 が子育て世代 である と指摘したうえで、 家計に対す

る利上げの影響を考える際には、こうした属性の違いに加え、預金金

利の上昇や 教育無償化等の 施策の効果なども併せて 、全体的に 評価す

る必要 があると指摘した 。この間、 複数の委員は、このところの長期

金利の上昇は、中東情勢の影響などを受けたインフレ懸念の高まりが

主因であることを踏まえると、 物価の安定を目的とする 政策金利 の引

16

き上げは、長期金利の安定にもつながるとの認識を示した。

一方、別の一人の委員は、中東情勢の影響について、物価の上振れ

リスクよりも生産・雇用の下振れリスクの方が大き いと考えられる 中

にあって、 政策金利の引き上げは、企業の設備投資抑制を通じて総需

要を抑制し、インフレ率の低下と生産・雇用の低下を同時に誘発する

可能性があるため、現時点では見送るべきであるとの見解を示した。

先行きの金融政策運営 について、委員は、基調的な物価上昇率が

2%に近づいている中、現在の金融環境が緩和的であることを踏まえ

ると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、

金融緩和の度合いを調整していくことが適当であるとの認識で一致

した。そのうえで、調整のタイミングやペースについては、中東情勢

の展開がわが国経済・物価に及ぼす影響を注視したうえで、経済・物

価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら、検討し

ていく ことが重要であるとの認識 を共有した。何人かの委員は、今回

の政策金利の引き上げ後も、金融環境は引き続き緩和的であると考え

られるため、経済・物価が見通し通りに推移すれば、利上げを進めて

いくというこれまでの方針を維持すべきであるとの見解を示した。一

人の委員は、米欧と異なり、わが国の政策金利は中立金利の推計レン

ジを下回っているが、上下両睨みで機動的な政策判断が行えるよう、

可能な限り早く中立金利に近 づけていく必要があるとの認識を示し

た。別のある委員は、 将来時点で 急激・大幅な利上げを避けるには、

政策金利を中立金利に早めに近づけるべきであると 述べた。そのうえ

で、この委員は、 わが国の 中立金利は2% 程度と考えられ、これを念

頭に数か月に一度のペースで、経済・物価・金融情勢を確認しつつ、

都度、利上げを検討していくことが望ましいとの見解を示した。この

間、 公表文 の中の 先行きの金融政策運営 に関する 一部記述について、

ある委員は、従来の「実質金利がきわめて低い水準にある」という表

現は、今回の政策金利の調整と、中立金利の推計のばらつきなどを踏

まえると、修正することが適当であると指摘した。この点に関し、別

の一人の委員は、金融緩和度合いの評価は、実質金利の水準だけでな

く、金融環境に関連する幅広い指標を点検して行っていることを踏ま

えると、当該表現は「現在の金融環境が緩和的である」に変更した方

が説得的である と述べた。

次に、委員は、 長期国債の買入れ計画 について議論した。

委員は、長期金利は金融市場において形成されることが基本であり、

日本銀行による長期国債の買入れは、国債市場の安定に配慮するため

の柔軟性を確保しつつ、予見可能な かたち で行っていくことが適切で

17

あるとの認識で一致した。そのうえで、委員は、先行きの予見可能性

に配慮する観点から、 2027 年3月までの月間の買入れ予定額に加え

て、2027 年4月以降の国債買入れ額を示すことが適当であるとの認識

を共有した。また、柔軟性を確保する観点から、従来同様、 長期金利

が急激に上昇する場合には、毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動

的に、買入れ額の増額等を実施し得る とすることが適切であるとの認

識で一致した。

続いて、委員は、具体的な国債買入れ額について検討した。 まず、

2027 年3月までの取 り扱いについて、 委員は、 従来の減額計画を維持

し、原則として毎四半期 2,000 億円程度ずつ減額し ていく ことが適切

であるとの見解で一致した。何人かの委員は、この間、長期金利が上

昇する中にあっても、大多数の 市場参加者は従来の計画 を維持 するこ

とを支持しており、予見可能性を重視する観点からも、これを変更す

る理由はない との認識を示した。

次に、委員は、市場機能の改善と国債市場の安定という二つの要素

を考慮しつつ、 2027 年4月以降の取扱いについて 議論した。 大方の委

員は、 日本銀行による国債買入れの減額が進捗するもとで、国債市場

の機能度は着実に改善しており、一頃に比べ、買入れの減額を通じて

市場機能の更なる改善を進めていく必要性は次第に小さくなってき

ている と指摘した。また、大方の委員は、日本銀行の国債保有が減少

すれば、 その分、 市場参加者が保有する国債が増加することになるが、

銀行や個人といった本邦投資家が国債保有を無理なく増やしていく

ためには、ある程度の時間が必要であることを踏まえると、従来と同

様の減額を継続した場合、市場の安定に不測の影響を及ぼす可能性が

あるとの認識を共有した。そのうえで、これらの委員は、 2027 年4月

以降は 国債買入れの減額を停止し、月間2兆円程度の買入れを行うこ

とが適当であるとの 見解 を示した。 このうちの ある委員は、国債買入

れの減額を停止したとしても、日本銀行による買入れ額は国債発行額

の2割以下になることから、 「長期金利は市場で自由に決まる」とい

う市場機能を阻害することはないと考えられるとの見解を示した。そ

のうえで、この委員は、 非伝統 的な金融政策が採られていなかった

リーマン・ショック 以前 の買入れ額が、国債発行額対比で2割弱で

あったことを踏まえると、買入れ額は平常ペースに戻るとも言えると

述べた。一人の委員は、日本銀行の買入れ減額により、国債市場に歴

史的な供給圧力が生じていると指摘したうえで、市場機能も急速に回

復し、長期・超長期ゾーンの実質金利も海外並みとなる中、来年4月

以降の減額停止が妥当であるとの見解を示した。別のある委員は、 日

18

本銀行の国債保有に伴う ストック効果を通じた長期金利の押し下げ

効果をなるべく維持する観点 から 、減額停止が妥当であるとの認識を

示した。別の一人の委員は、現在の買入れ減額のスキームは今年度末

で取り止め、来年度以降は、 一頃よりは縮小した買入れ規模を保ちつ

つ保有国債の償還を安定的に進めるフェーズに入ってよいとの認識

を示したうえで、この場合も、今後数年間は、償還額が買入れ額の2

倍はある状況が続くと指摘した。この点に関し、ある委員は、国債買

入れの減額を停止しても、買入れる国債の平均年限等が変わらない場

合、発行残高に対する日本銀行の国債保有比率は、いずれ満期償還に

よりかなりの水準まで圧縮されると述べた。そのうえで、多くの委員

は、減額を停止した場合でも、日本銀行のバランスシートが着実に縮

小していく点は、対外的にしっかりと説明すること が望ましいと指摘

した。

これらの議論に対し、 ある委員は、 長期金利の形成は市場と市場参

加者に委ねるべきであり、可能な限り早く日本銀行の国債保有残高の

水準を正常化すべきであるとして、 2028 年1~3月まで、 原則として

毎四半期 2,000 億円程度ずつ減額していくことが適切であるとの意見

を述べた。この委員は、かつての大規模な国債買入れの目的は金融緩

和であり、 現在の環境でその必要はないと 指摘したうえで 、国債市場

に混乱は生じておらず、買入れ額の減額を停止すべき理由は全くない

との認識を示した 。また、この委員は、 国債買入れの狙いが財政ファ

イナンスや長期金利の引き下げと市場に受け取られると、市場にバイ

アスを与え、日本銀行の信認に悪影響を及ぼすことになりかねないと

付け加えた 。この点に関し、何人かの委員は、 国債買入れの減額停止

は、国債市場が不安定化し、経済にマイナスの影響を及ぼす事態を避

けるための措置であり、財政に対する配慮ではないことはしっかりと

説明する必要があるとの認識を示した。 また、一人の委員は、 市場安

定への配慮 が必要である といっても、 国債買入れの 具体的な ペースは、

大規模緩和終了に伴う激変緩和という視点で検討すべきであり、長期

金利やイールドカーブの操作が目的ではないことは、明確にすべきと

の見解を示した。

この間、 複数の委員は、現時点で買入れのペースを見直すことは想

定されないが、将来的には、市場の動向や市場参加者の意見などを踏

まえ たうえで 、買入れペースを見直す可能性があることについては、

予め示しておくことが望ましいとの意見を述べた。こうした 議論 を踏

まえ、 委員は、 予見可能性と柔軟性のバランスを考慮し、 今後、長期

国債の買入れ計画の中間評価は実施しないが、国債買入れの基本的な

19

考え方や国債市場の動向等を 勘案し 、必要な場合には、金融政策決定

会合において、買入れのペースを見直すこともあり 得る とする ことが

適切であるとの認識で一致した。

このほか、委員は、日本銀行のバランスシートのあり方についても

議論した。 ある 委員 は、大き過ぎるバランスシートの問題点として、

海外では、過剰なマネーの供給、国債を購入し続けることに伴う財政

との関係の曖昧化、中央銀行が負担する金利リスクの大きさなどが指

摘されており、こうした観点からも、 着実に バランスシートを縮小し

ていくことが 重要 である との認識を示した。 一人の委員 は、規制強化

やデジタル化などの環境変化から、金融システム が必要 とする 準備預

金額が かつて に比べて増加している可能性があると述べ、将来的には、

その時点の金融経済情勢等を踏まえ、適切な準備預金額の規模 を探っ

ていく必要がある と述べた 。別の一人の委員は、 今後、 日本銀行の準

備預金の水準が減少していけば、 その過程で、 短期金融市場に及ぼす

影響を含め、最適なバランスシートの規模に 関する具体的な 分析を深

めていくことができるとの認識を示した。 別の ある委員は、成長経済

においては、日本銀行 の国債保有額が 概ね妥当と考えられる水準まで

低下した あと は、バランスシートの規模 を名目GDPの成長率に概ね

比例的な かたち で増加させていく ことが適当で あると の見解を示し

た。このほか、 複数の 委員 は、日本銀行の 国債買入れ については、 こ

れまでのところ 、主にその規模が論点になっているが、将来の バラン

スシートへの影響という 点では、先行き、 買入れ年限のあり方がより

重要になってくると 指摘した。 こうした議論を経て、 何人かの委員は、

将来的に望ましいバランスシートの規模や資産・負債の構成について

は、今後の国債保有残高の推移や経済・金融環境の変化を踏まえなが

ら、この先、 時間をかけて検討 していく必要があるとの認識を示した。

Ⅴ.政府からの出席者の発言

以上の議論を踏まえ、政府からの出席者から、会議の一時中断の申

し出があった。議長はこれを承諾した (11 時 12 分中断、 11 時 29 分

再開) 。

内閣府の出席者から、以下の趣旨の発言があった。

⚫ 日本経済は、緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視す

る必要がある。

⚫ 今回の利上げにつき説明責任を果たすとともに、 過度な景気変動

が生じた場合には主体的かつ適切な対応が重要である。 今後の成長

20

型経済への変化が重要であり、 マクロの需給動向と物価の関係の慎

重な確認が必要である。

⚫ 国債買入れについては、 バランスシート縮小がもたらすマクロ的

な影響の確認、市場安定のための適切な対応が必要である。

⚫ 以上を含め、高市内閣が進める危機管理投資・成長投資等の取組

につき理解の上で適切な政策運営を期待する。

また、財務省の出席者から、以下の趣旨の発言があった。

⚫ 日本銀行には、政府との緊密な連携のもと、2%の物価安定目標

の持続的・安定的な実現に向けた適切な金融政策運営を期待する。

⚫ ご提案については本会合で適切にご判断いただきたいが、 政策金

利の変更については、市場等に丁寧に政策趣旨を説明し、今回の変

更が経済・物価に与える影響等を丁寧に点検していただきたい。国

債買入れについては、市場動向を注視し、必要に応じて機動的な対

応をお願いしたい。

Ⅵ.採決

1.金融市場調節方針

以上の議論を踏まえ、 議長 から、委員の多数意見を取りまとめるか

たちで、金融市場調節方針について、以下の議案が提出され、採決に

付された。

採決の結果、賛成多数で決定された。

金融市場調節方針に関する議案(議長案)

次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりと

すること。

無担保コールレート(オーバーナイト物)を、1.0%程度で推

移するよう促す。

採決の結果

賛成:氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、田村委員、

小枝委員、増委員

21

反対: 浅田委員

欠席: 植田委員

── 浅田委員 は、中東情勢の影響について、物価の上振れリスク

よりも生産・雇用の下振れリスクの方が大きく、金融市場調節

方針を据え置くことが望ましいとして反対した。

2.補完当座預金制度の適用利率の変更等

議長 から、委員の多数意見を取りまとめるかたちで、補完当座預金

制度の適用利率の変更等について、以下の議案が提出され、採決に付

された。

採決の結果、 賛成多数 で決定され、「補完当座預金制度基本要領」の

一部改正については、会合終了後、速やかに公表することとされた。

補完当座預金制度の適用利率の変更等に関する議案(議長案)

補完当座預金制度の適用利率を下記のとおりとし、 「補完当座預

金制度基本要領」を一部改正すること。

補完当座預金制度の適用利率 年1.0%

採決の結果

賛成:氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、田村委員、

小枝委員、増委員

反対: 浅田委員

欠席: 植田委員

── 浅田委員 は、金融市場調節方針と同様の理由で反対した。

3.基準割引率および基準貸付利率の変更

議長 から、委員の多数意見を取りまとめるかたちで、基準割引率お

よび基準貸付利率の変更について、以下の議案が提出され、採決に付

された。

採決の結果、 賛成多数 で決定された。

22

基準割引率および基準貸付利率の変更に関する議案(議長案)

日本銀行法第33条第1項第1号の手形の割引に係る基準となる

べき割引率(以下「基準割引率」という。 )および同項第2号の貸

付けに係る基準となるべき貸付利率(以下「基準貸付利率」とい

う。 )を、下記のとおりとすること。

基準割引率および基準貸付利率 年1.25%

採決の結果

賛成:氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、田村委員、

小枝委員、増委員

反対: 浅田委員

欠席: 植田委員

── 浅田委員 は、金融市場調節方針と同様の理由で反対した。

4.長期国債の買入れ計画

議長 から、 委員の多数意見を取りまとめるかたちで、 長期国債の買

入れ計画を 別紙2 のとおりの内容とする旨 の議案が提出された。

これに対して、 田村委員 からは、長期金利の形成は市場と市場参加

者に委ねるべきであるとして、 2028 年1~3月まで月間の買入れ予定

額を原則として毎四半期 2,000 億円程度ずつ減額することを内容とす

る議案が提出された。

議長 から提出された議案および 田村委員 から提出された議案が、田

村委員案、議長案の順に採決に付された。

長期国債の買入れ計画 に関する田村委員案は、採決の結果、反対多

数で否決された。

採決の結果

賛成:田村委員

反対: 氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、小枝委員、

増委員、浅田委員

欠席: 植田委員

23

長期国債の買入れ計画 に関する議長案は、採決の結果、賛成多数で

決定された。

採決の結果

賛成: 氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、小枝委員、

増委員、浅田委員

反対: 田村委員

欠席: 植田委員

5.対外公表文(「金融市場調節方針の変更について」、「長期国債の

買入れ計画について」)

以上の議論を踏まえ、 二つの対外公表文が検討された。このうち、

金融市場調節方針の変更に関する対外公表文における物価見通しの

記述について、高田委員からは、基調的な物価上昇率を含め、消費者

物価は既に概ね「物価安定の目標」に達する水準にあるとして、田村

委員からは、基調的な物価上昇率は「物価安定の目標」と既に概ね整

合的な水準で推移しているとして、反対するとの意見が表明された。

こうした検討を経て、 議長 からは、高田委員と田村委員が一部記述

について反対する旨を脚注に記載した金融市場調節方針の変更に関

する対外公表文( 「金融市場調節方針の変更について」<別紙1>)お

よび長期国債の買入れに関する対外公表文( 「長期国債の買入れ計画

について」<別紙2>)が提案され、採決に付された。採決の結果、

何れも全員一致で決定され、 会合終了後、直ちに公表することとされ

た。

Ⅶ.議事要旨の承認

議事要旨( 2026 年4月 27、28 日開催分)が全員一致で承認され、

6月 19 日に公表することと された 。

以 上

24

2026年6月16日

日本銀行

金融市場調節方針の変更について

1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定

会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成7反対

1)(注)。

無担保コールレート(オーバーナイト物)を、1.0%程度で推移するよう

促す1。

2.上記の金融市場調節方針の変更に伴い、以下のとおり、各種制度の適用利率の変

更を決定した2(賛成7反対1)(注)。

(1)補完当座預金制度の適用利率

補完当座預金制度の適用利率 (日本銀行当座預金<所要準備額相当部分を除

く>への付利金利)については、1.0%とする3。

(2)基準貸付利率4

補完貸付制度については、その適用金利である基準貸付利率を1.25%と

する。

3.わが国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩や

かに回復している(別紙) 。すなわち、原油価格上昇は景気の下押し要因となってい

るものの、高水準の企業収益や雇用・所得環境の改善などが、経済を下支えする方

向に作用している。この間、政府によるエネルギー負担緩和策をはじめとする各種

施策の効果が今後も見込まれることに加え、中東依存度の高い原材料の代替調達が

進展していることなどから、経済が大きく下振れるリスクは一頃よりも低下してい

ると考えられる。こうしたもとで、わが国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やか

な成長を続けるという中心的な見通しに概ね沿って推移している。

1 新たな金融市場調節方針は、翌営業日(6月17日)から適用する。

2 補完当座預金制度の適用利率および基準貸付利率は、翌営業日(6月17日)から適用する。

3 被災地金融機関支援オペ、気候変動対応オペの貸付利率は、引き続き、補完当座預金制度の適

用利率となる。

4 日本銀行法第15条第1項第2号に規定する 「基準となるべき貸付利率」 。 なお、 同第1号の 「基

準となるべき割引率」も1.25%とする(手形割引の取り扱いは現在停止中) 。

別紙1

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物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、政府によるエネルギー負

担緩和策の効果などから、足もとで2%を下回る水準となっているものの、原油価

格上昇を起点に企業間取引における価格転嫁がやや速いスピードで進んでおり、こ

れが、今後、消費者段階における幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性があ

る。こうしたなか、中長期の予想物価上昇率が引き続き上昇していることも踏まえ

ると、消費者物価の基調的な上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上振れて

いくリスクがある。

わが国の金融環境は、緩和した状態にある。実質金利は短中期ゾーンを中心にマ

イナスとなっている。企業等の資金需要は増加しており、CP・社債市場でも良好

な発行環境が続いている。

こうした経済・物価・金融情勢を踏まえ、2%の「物価安定の目標」の持続的・

安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判

断した。政策金利の変更後も、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済

活動をしっかりとサポートしていくと考えている。

4. 今後の金融政策運営については、 基調的な物価上昇率が2%に近づいているなか、

現在の金融環境が緩和的であることを踏まえると、 経済・物価・金融情勢に応じて、

引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考え

ている。そのうえで、調整のタイミングやペースについては、中東情勢の展開がわ

が国経済・物価に及ぼす影響を注視したうえで、経済・物価の中心的な見通しが実

現する確度やリスクを点検しながら、検討していく方針である。日本銀行は、2%

の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、適切

に金融政策を運営していく。

以 上

(注)賛成:氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、田村委員、小枝委員、増委員。反対:浅

田委員。欠席:植田委員。浅田委員は、中東情勢の影響について、物価の上振れリスクよりも

生産・雇用の下振れリスクの方が大きく、金融市場調節方針を据え置くことが望ましいとして

反対した。

26

(別 紙)

経済・物価の現状と見通し

1.わが国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩や

かに回復している。海外経済は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩

やかに成長している。輸出や鉱工業生産は、基調としては横ばい圏内の動きを続け

ている。企業収益は、グローバルなAI関連需要の堅調な増加を背景に、高水準で

推移している。 こうしたもとで、 設備投資は緩やかな増加傾向にある。 個人消費は、

家計マインドに弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移

している。一方、住宅投資は減少傾向にある。公共投資は横ばい圏内の動きを続け

ている。この間、労働需給は、引き締まった状態が続いている。わが国の金融環境

は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみ

ると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇

の影響もあって2%を上回って推移してきたが、足もとでは、政府によるエネル

ギー負担緩和策の効果などから、1%台半ばとなっている。予想物価上昇率は、緩

やかに上昇している。

2.先行きのわが国経済を展望すると、中東情勢の影響を受けた原油価格上昇が、交

易条件の悪化などを通じて企業収益や家計の実質所得に対する下押し要因となる

ことから、成長ペースは減速すると考えられる。もっとも、企業部門で高水準の収

益が続いてきたことなどに加え、政府による各種施策や緩和的な金融環境などが経

済を下支えするため、わが国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やかな成長を続け

るとみられる。その後は、原油高のマイナスの影響が減衰し、所得から支出への前

向きな循環メカニズムが徐々に強まっていくことから、わが国経済は成長率を緩や

かに高めていくと考えられる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇

を販売価格に転嫁する動きが続くもとで、原油価格上昇が、エネルギー価格や財価

格を中心に押し上げ方向に作用することから、2%をはっきりと上回る水準まで伸

び率を高めていくと予想される。その後は、原油高の影響が減衰していくもとで、

2%程度に向けてプラス幅を縮小していくと予想される。この間、人手不足感の強

い状況が続くなかで、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカ

ニズムは維持され、中長期的な予想物価上昇率は上昇していくと見込まれる。こう

したもとで、 消費者物価の基調的な上昇率は、 徐々に高まっていくと予想され、2026

年度後半から2027 年度にかけて「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となり、そ

の後も同程度で推移すると考えられる(注)。

27

3.リスク要因としては様々なものがあるが、当面は、今後の中東情勢の展開が、金

融・為替市場やわが国の経済・物価に及ぼす影響をとくに注視する必要がある。こ

のほか、グローバルなAI関連需要の動向や今後の為替相場の変動が、わが国の経

済・物価に及ぼす影響にも留意が必要である。

以 上

(注)物価の見通しについて、高田委員は、基調的な物価上昇率を含め、消費者物価は既に概ね「物

価安定の目標」に達する水準にあるとして、田村委員は、基調的な物価上昇率は「物価安定の

目標」と既に概ね整合的な水準で推移しているとして、反対した。

28

2026年6月16日

日本銀行

長期国債の買入れ計画について

日本銀行は、本日開催された政策委員会・金融政策決定会合において、国債市場の

動向や機能度を点検したうえで、今後の国債買入れのあり方について検討した。

長期金利は金融市場において形成されることが基本であり、日本銀行による長期国

債の買入れは、国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能な形

で行っていくことが適切である。

こうした考え方のもと、市場機能の改善や市場の安定確保といった観点から、長期

国債の買入れについて、以下のとおり運営することを決定した(賛成7反対1 )(注)。

1.月間の長期国債の買入れ予定額を、2027 年1~3月までは原則として毎四半期

2,000億円程度ずつ減額し、2027 年4月以降は月間2兆円程度の買入れを行う(詳

細は、別紙) 。

2.長期金利が急激に上昇する場合には、毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動的

に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する。

3.今後、長期国債の買入れ計画の中間評価は実施しないが、国債買入れの基本的な

考え方や国債市場の動向等を踏まえ、 必要な場合には、 金融政策決定会合において、

買入れのペースを見直すこともありうる。

以 上

(注)賛成:氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、小枝委員、増委員、浅田委員。反対:田

村委員。欠席:植田委員。田村委員は、長期金利の形成は市場と市場参加者に委ねるべきであ

るとして、2028 年1~3月まで月間の買入れ予定額を原則として毎四半期2,000 億円程度ず

つ減額する議案を提出し、反対多数で否決された。

別紙2

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(別 紙)

月間の長期国債の買入れ予定額

月間の長期国債の買入れ予定額

2026 年4~6月 2.7 兆円程度

2026 年7~9月 2.5 兆円程度

2026 年 10~12 月 2.3 兆円程度

2027 年1~3月 2.1 兆円程度

2027 年4月以降 2兆円程度

(注)残存期間別等の1回当たりのオファー金額や日程等の予定については、従来

同様、 「長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定」で公表する。

(参考)日本銀行の国債保有残高の見通し

国債保有残高

2024 年6月末比

(減額前比の減少率)

2027 年3月末 480 兆円程度 ▲17%程度

2028 年3月末 430~440 兆円程度 ▲24~25%程度

2029 年3月末 390~400 兆円程度 ▲31~32%程度

2030 年3月末 350~370 兆円程度 ▲36~39%程度

(注1)仮に月間2兆円程度の買入れを維持した場合の試算値。額面ベース。

(注2)残存期間別等の買入れ額の構成比率については、現状と概ね同程度になる

と仮定。

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