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若田部副総裁記者会見(2月2日) [PDF 316KB]

SPEAKER記者会見(2月2日) [

PUBLISHED03/02/2023, 00:00:00
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2023年2月3日

日本銀行

若田部副総裁記者会見

――2023年2月2日(木)午後2時から約35分

於 静岡市

(問)

幹事社からまず二つ質問させて頂きます。まず一点目です。午前中に地元の人と、

静岡の人と懇談会があったと思うんですが、この中でどのような議論があったのか、

どのような要望が出されたのか、この懇談会の内容について教えてください。

二点目です。静岡県の経済についてなんですが、午前中の挨拶でですね、副総裁の

方から「基調としては持ち直している」というお話もあったんですが、今の静岡県

の経済について副総裁どのような見解をお持ちでしょうか。二点質問 致します。よ

ろしくお願いします。

(答)

本日の懇談会では、静岡県の行政や金融・経済界を代表する方々から、当地の金融

経済情勢や地域経済が直面する課題について、大変貴重なお話を伺 いました。また、

日本銀行の金融政策運営に関する率直なご意見、ご要望もお伺いし、大変有意義な

意見交換ができたと考えています。ご多忙の中、本日ご出席頂いた皆さまに、本席

をお借りして改めて御礼申し上げます。懇談会での話題は非常に多岐に わたるもの

でございましたので、全てを網羅することはできませんが、席上で伺った話を私な

りに整理して申し上げたいと思います。先ほどお話があったように、まず 足元の静

岡県の景気ですけれども、これにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響

が尾を引いているほか、半導体の供給制約や原材料・燃料価格の高騰の影響を受け

ているものの、雇用情勢が回復傾向にあるなど、全体としては持ち直し基調が続い

ているとの見方が聞かれました。ただし、特に中小零細企業では価格転嫁の遅れに

より収益が大きく下押しされていること、また 、対面型サービス業ではコロナ禍か

らの回復過程において人手不足が深刻化しており、需要を 取り込みきれていないこ

となど、様々な経営課題に直面している状況を指摘する声も 多く聞かれました。こ

の間、当地では、行政、経済界、金融機関が相互に連携しながら、中小企業のコス

ト負担軽減策や、事業継続支援に努めているとのお話を伺 いました。また、やや長

い目でみて、ポストコロナ禍での持続的な経済成長と地域活性化に向け、関係者が

一丸となってデジタル化と脱炭素化の取り組みを加速させているとのお話を伺い、

大変心強く感じた次第です。デジタル化におきましては、首都圏の情報技術関連企

業との商談会やイノベーション拠点の設置などにより、企業誘致や地元企業とのマ

ッチング、人材育成を積極化しているとの声が多くありました。また、脱炭素化で

は、中小企業への啓発活動や設備導入支援のほか、 自動車産業の電動化に向け、企

業間連携による製品開発の強化といった取り組みも進めていると伺ったところです。

また、金融界の方からは、この先いわゆるゼロゼロ融資の返済が本格化する中、

個々の取引先毎に、きめ細やかな資金繰り支援や経営改善支援が きわめて大切にな

2

るとのお話を伺いました。加えて、企業の持続可能なビジネスモデルの育成が地域

の活性化につながるとの強い信念のもと、ポジティブ・インパクト・ファイナンス

や近隣他県との広域連携にも注力していると伺いました。要望につきましてですけ

れども、日本銀行に対しましては、世界経済や国内の物価動向、市場環境など先行

きの不確実性が高まっている中、中小零細企業の実態に十分配慮した うえで、企業

のチャレンジ意欲を後押しできるよう、賃金上昇を伴う緩やかな物価上昇を目指し

た適切な政策運営をお願いしたいとご意見を伺いました。 私どもとしては、本日頂

いたご意見も踏まえつつ、静岡県経済を支えておられる関係者のご努力が大きな成

果につながっていくよう、中央銀行業務を通じて 、しっかりとサポートしていきた

いと考えます。

続きまして、第二問の当地の金融経済情勢についての認識でございますが、本日講

演で、挨拶で述べさせて頂いたことと重なる部分があるかとございますが、まず最

初に、先ほど述べましたように、静岡県経済につきましては、感染症の影響を受け

て、2020 年上期に製造業・非製造業ともに大きく悪化したあと、一進一退の感染状

況や半導体不足などの影響を受けてきましたが、 足元はこれらの影響が和らぐ中で、

基調としては持ち直しているというふうに認識しております。ただし、 懇談会の席

上でも聞かれましたように、各種コスト上昇や人材不足が県内企業の業況回復の足

かせとなっており、先行きに対する慎重な見方も少なくないという印象を受けまし

た。これらが静岡県経済全体に及ぼす影響については、今後も注意してみていく必

要があります。中長期的な話に関しましては、静岡県も他の地方と同様に、人口減

少への対応が大きな課題となっております。人口 減少の負の影響は、やや過大評価

されているという気もしますが、しかし、やはり人口減少が逆風というか向かい風

であることは事実でございます。そのもとで 更なる飛躍を遂げるためには、経済成

長の源泉である資本、労働そして知識 、技術力などを含む広い意味での知識といっ

たものに磨きをかけていくことが重要だと考えています。本日の懇談会でも、そう

した観点から注目される取り組みを 三点お話させて頂いたところです。まず資本に

ついては、インフラの整備やそれを活用した産業振興の取り組みとして、例えば 、

清水港では、効率的で競争力の高い物流環境の整備を進めながら、食料品等の輸出

振興に取り組んでいます。また、伊豆半島でも道路網の整備が進むもとで 、観光振

興、温泉を核としたヘルスケア産業の創出等に注力しています。また 、知識の活用

に向けた新産業の創出という意味では、自動車産業の集積する県西部を中心に産学

官が連携し、次世代自動車の技術ニーズをフォローしながら中小企業の新たなビジ

ネス展開を包括的に支援しています。起業家やベンチャー ・スタートアップ企業の

育成支援に取り組む地域金融機関が増えている点も印象的です。最後の点は 、働き

やすさ・暮らしやすさを意識した魅力的な地域づくりです。過去 5 年間の人口変化

率がプラスであった長泉町や袋井市では、積極的な企業誘致により多様な働く場を

創出したり、子育てや教育環境の整備へ手厚い財政支援を行っています。魅力ある

生活空間の創出が地域の更なる活性化につながることを期待しています。私からは

以上です。

(問)

昨年 12 月に政策修正に踏み切ってから、市場では追加の政策修正観測がくすぶって

います。現時点で若田部副総裁は、例えば緩和の持続性を強化させるような追加の

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政策修正の必要性についてどのようにお考えでしょうか。

併せて、例えば長期金利の変動幅を 0.75%程度に、例えば拡大した場合、それは事

実上の利上げに当たるのかどうかについてのお考えもお願いします。

(答)

現時点で 12 月に修正して以来、市場環境を丁寧にみてまいっておりますけれども、

市場機能の改善ということについては、やや 時間がかかっているなという印象では

あります。これはやはり緩和の持続性を強化するという意味では必要な措置であっ

たとは思いますけれども、一方でその部分だけを取り上げてみると 、やはり緩和に

ついてはそれを弱める効果もあったということだと思 います。一方で、全体として

物価が上昇し、インフレ予想も上昇しつつあるという中では、実質金利を通じ た緩

和の効果は十分に維持されているんじゃないかと思います。そのうえで、更に持続

性を強化するために行うかというのが、その 時々の判断にはなりますけれども、私

自身の考えとしては、やはり修正ということで緩和効果が損なわれてはいけないわ

けですので、そのバランスをとりながら進めるしかないだろうというふうに思って

おります。

それが二番目の質問に関わってくるわけですけ れども、事実上の利上げかどうかは

ともかくとして、やはり変動幅を広げていくという ようなことになると、いずれに

しても、その部分だけを取り上げてみると 、やはり緩和効果との兼ね合いというの

が問題になるかと思いますので、そういうことについては慎重な 上にも慎重に判断

しなければいけないのではないかというふうに考えております。

(問)

10 年間の大規模な金融緩和政策の総括についてお聞きします。先ほどの挨拶要旨の

方にもですね、経済成長の復活や雇用の増加など様々な面で成果があったとありま

した。一方で、日銀が多額の国債を保有することによる市場機能の歪みですとか、

中央銀行による財政ファイナンスなのではないかという指摘もあります。この点に

ついての副総裁のお考えをお願い致します。

(答)

先ほどの質問とも関わりますけれども、緩和を行っていると、それで成果も得てい

ると。ただ緩和に伴う様々な、いわゆる副作用なるものがやっぱりあるのではない

かという声があることは十分承知しておりますし、市場機能という観点でいうと 12

月に微修正を加えたように、時としてそれまでも そういう変動幅を拡大するという

こともやっていますし、その時々に応じていわゆる副作用みたいなものについての

手当てというのもやりながら、緩和を続けてきたということだと思 います。その意

味では、色々なご意見があって、市場機能の歪みであるとかいうことは承知してお

りますけれども、緩和ということについていうと、全体としては効果が副作用を 上

回っていて、だからこそ長期の大規模金融緩和を続けて いるんだということだと思

います。財政ファイナンスであるかどうか というのは、これはやはりどういう目的

でもって政策を運営しているかということに関わるわけで、挨拶でも述べましたよ

うに、やはり中央銀行の責務で一番重要なのは物価の安定であって、もちろん金融

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システムの安定も大事ではあります けれども、物価の安定ということを考えるとき

には 2%の物価安定の目標を掲げるということが大事で、そのもとで政策を運営し

ていくのだということが、誤解のない金融政策運営に必要ではないかと思 います。

その限りにおいては、財政ファイナンスという色々なご批判があることは、ご指摘

があることは承知しておりますけれども、 われわれはあくまで中央銀行の責務であ

る物価安定の目標、現状では 2%というこの物価安定の目標を追求している、そ の

うえで政策を行っていると、そういうことでございます。

(問)

インフレ目標について伺います。講演ではやっぱり曖昧な目標にするのは望ましく

ないということだと思うんですが、インフレ目標のすごく大きな効果の柱である、

予想インフレへの働きかけ、人々のインフレ期待に働きかける効果、これについて

QQEをずっと 2013 年以降やっていて、どのように考察されていらっしゃるのか、

やはりこれが有効に働かなかった部分がなかなか緩和で 2%を達成できなかった一

つの要因だと思いますので、そのQQE、異次元緩和以降の日銀の緩和政策が予想

インフレに働きかけることができたのかどうか、この点について伺 いたいのと、今

後の金融政策を考えるうえでも非常に重要な論点となると思うんですが、実際今ど

ういう要因でっていうのとは別として、物価が上がっていて、予想インフレも上が

っていて、そういう中においては、今後むしろインフレ目標の期待への影響 という

のがより強力に出てくると望むことができるのか、日本でついにノルムを変えるこ

とができるのか、その先行きについても是非お願いします。

(答)

まず予想インフレが金融政策にとってきわめて重要であるというのは、現代の金融

政策において本当に基本的なことだと思います。ただそれで、2013 年以降の様々な

経験から分かったことは、確かに物価安定の目標 2%を掲げるということは、予想

インフレを引き上げるという効果はあったわけですけれども、やはり長きにわたっ

てデフレマインドみたいのが蔓延している中においては、それから後 の様々な外的

ショック、挨拶で挙げたような色々な外的ショックがあった中で、適合的期待とい

うような、その時々の物価の情勢に応じて予想インフレ率が変わってしまうという

ことが起きてしまって、その限りにおいて 2%の物価安定の目標を安定的・持続的

に達成できなかったということは事実であろ うかと思います。もっとも、それが全

く、何というか物価安定の目標が なければどうだったかということに関していうと、

色々な外部的なショックを考えてみても、シミュレーションなどを みたときに、お

そらく大規模な金融緩和がなければデフレが続いていた だろうというふうには思い

ますので、その限りでは予想インフレ率もその分だけは上昇させるのに効果があっ

たかなというふうには考えています。先行きの話というのは、まさにそこが重要な

ところで、デフレマインドといわれていたような、ここまで 90 年代半ばから続いて

いたようなところで形成された期待のあり方、それに伴って賃上げであるとか価格

の形成であるとかについて、今まで起きて いた慣行・ノルムが変わるのかどうかと

いうところがまさに焦点だと思います。今回は挨拶で「今回は違うのか」というこ

とを何回か述べさせて頂きましたけ れども、変わり得るポジティブな、ポジティブ

なというか、少なくとも 2%に向かっていくという意味での動きは出てきてはいる

のですけれども、しかしそれが確かにそのようになるというところまでの確信が持

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てる状態かというと、現時点ではまだないなというかたちです。その確信を持つた

めには、先ほど来、話が出ている予想インフレ率の動向、これも単純に短期だけで

なくて中長期の予想インフレ率の動向であったり、あるいはそういった経済の拡大

というのを国民各層が果実として享受できるためには賃金が 上がっていくと、そし

て賃上げと価格の引き上げという循環が安定的・持続的に行われていくというよう

なかたちになっていくのかというのが、まさに問われている段階で、その限りにお

いて今は非常に重要な時期であると。だけれども、上下双方向に、どちらかという

と、まだ下方向に戻るような力もまだ強いので、ここは安心できないなというふう

に思います。

(問)

続けてインフレ目標のところをお伺い致します。午前の挨拶の中で、物価安定の目

標を曖昧にするというのは、政策が 追求すべき目標を曖昧にしてしまうなどとおっ

しゃっていたと思いますが、これ具体的にどこをどうすれば曖昧で、あるいは一方

でクリアなのかというところについて、若田部副総裁のご見解を教えてください。

あと、もう一点お願いします。日本の 2%の目標というのは、除く生鮮のコア CP

Iでやってると思うんですけども、この除く生鮮というのは日本でかなり独特であ

って、諸外国とは違うと思うんです けども、今後これについて見直したりだったり

とか、今後これをどう改良していくといいますか、今後そのようにする余地などと

いうのは、若田部副総裁はどのようにお考えでしょうか。

(答)

一番目の話は、ここでは注でも触れたんですけれども、注だと 11 になりますかね。

日本銀行の金融研究所の海外顧問であられるオルファニデス教授という方がおられ

ます。その教授が日銀の国際カンファレンスで出した論文というのが、2013 年以前

と比較した場合、[2013 年以前は]物価安定の定義が曖昧であったと。例えば、 2%

の物価安定の目標ということ自体が曖昧 だったということとの対比で、まずは考え

ております。なので、私自身は、2013 年以降の物価安定の目標というのは十分に明

確であるというふうに考えております。

その次の問題として、CPIでどれをみるかというのはなかなか難しい問題で、講

演でも強調しましたけど、まさに各種の施策であったり、あとは今回だけでなくて

も各種の特殊要因などが色々と働く世界においては、どの CPIをみていくかとい

うことについてあまり決め打ちをすることは難しいなと思って います。歴史的にみ

て、コアCPIというのが重視されてきたという背景は、エネルギーの方の価格と

いうのは、以前においてはそれほど変動していなかったということだと思うんです

けれども、今やエネルギーのところも変動があるということを考えると、やはりい

わゆるコアコアといわれるようなエネルギーと生鮮を除くものというのが必 要であ

るかもしれないし、実際にそういうのも みつつ、展望レポートなどでも参考値では

ありますけれども、委員がそういう見通しを出すということをしておりますし、そ

れと、もしも米国版のコアということで いうならば、米国版のコアというのは生鮮

食品だけでなくて食料品も全部除外するということをやると 。その場合、デメリッ

トは当然かなりの部分が今度は外れてしまうので、人々の生活実感と合ったような

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物価なのかという問題があります けれども、ある種の今の段階において、例えば米

国版のコアが持つ一つの利点みたいなものが、現状で起きている物価高というのが

大半がエネルギーと食料品の資源価格の上昇で起きているので、そういった影響を

除くことができるんじゃないかと。それから、その刈込平均値とか、最頻値である

とか、様々な更に加工したようなものとか などはあるんですけれども、コアCPI

そのものが指標として有用ではないということではなくて、こういう状況において

は、おそらく色々なものをみていくしかないなと。その限りでは、やはりコアCP

Iの情報量というのは依然として有用であるというふうに考えております。

(問)

インフレ目標に関して、関連で質問なんですけれども、 先日の有識者でつくる令和

臨調の方が、政府日銀の共同声明における 2%目標を長期的な目標に位置づけ直す

べきだという提言をされたんですが、これについて若田部副総裁の声明を見直す必

要があるのかどうか受け止めをお願いします。

また、共同声明を含めてですね、23 年度で持続的な物価上昇に届かなかった場合、

この 10年続いた大規模緩和の検証が必要かどうかについても併せてお願いします。

(答)

まず令和臨調がどういう提言をしているかということについては、私も承知はして

おりますけれども、個別の提言に対してコメントすることは差し控えたいと思 いま

す。そのうえで、この講演でも強調したのは、2013 年以降の物価安定の目標 2%を

掲げるというところ。それで先ほどのオルファニデスさんの話でいうと、曖昧さを

なくすかたちで目標を定義するというと ころから始まったと。そして、それには成

果があったということは踏まえなければいけないというふうに考 えます。だからど

のような議論をされるかというのは、人によってそれぞれ だと思いますけれども、

事実の問題として 2013 年以降の金融緩和政策に効果はあったと、少なくともここで

示しているようなかたちでの効果はあったという事実を踏まえたうえ での議論がな

されるべきだというふうに考えます。

それと二番目のところで、10 年経っていても 2%の物価安定の目標が持続的・安定

的に達成されていないんじゃないかと。それについて検証が必要なのかということ

については、これはその時々の判断にはなると思いますけ れども、私自身は現状に

おいて、やはり先ほど来、話しているように、まずそのエネルギー、資源価格、食

料価格が上がって、それを起点として、それでもって物価が上がっているというと

ころの帰趨というのがまだ色々な方向に行き得るなということを考えていますので、

私自身としてはそういったことの検証云々よりも、まずはやはり足元の政策をきち

んと遂行するということをしなければいけないというふうに考えております。

(問)

二つお伺い致します。一点目は賃上げについてです。春闘が始まりました。この春

闘の結果に大きな着目が集まっているというのは もう自明なことではありますけれ

ども、では実際、現状のその春闘をどのような結果が出るというふうに分析してい

らっしゃるのか、あるいは所感をお聞かせ頂きたいです。利上げするだけの賃上げ

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ができるのか、もしあるいは利上げするためには、どれぐらいの賃上げが必要なの

か、その辺のところ細かく、分析・ご意見をお聞かせ 頂ければというふうに思いま

す。

二点目につきましては、日本銀行正副総裁人事について、世間の注目が集まってお

ります。若田部副総裁も 3 月に任期を終えられるわけなんですけれども、今後です

ね、総裁がどのような方がなるべきなのか、あるいはそれが難しければ、どういう

金融政策を行っていく新たな正副総裁にするべきなのか、ご 所感をお聞かせ頂けれ

ばと思います。

(答)

まず賃上げの動向ですけれども、確かにおっしゃるように、今回の春闘には注目が

集まっております。そう申し上げたうえで、それがどれぐらいのレベルに 達するの

かとかいうこと、あるいはどれぐらいならば更に先に政策の変更になるものがある

のかということについては、コメントを差し控えたいと思います。私の考えでは、

持続的・安定的に 2%を達成するためには、1 回のところの春闘というだけでは、や

はり情報量が足りないのではないかというふうに思います。これはそれなりに賃上

げの機運が今高まっているのは事実ですけれども、本日、 例えば懇談会の席上でも

聞かれたように、これは本当に業種や企業によって様々で、ベースアップで対応で

きるというところもあれば、あるいは一時金みたいなもので対応したいというと こ

ろもあれば、そうではなくて賃上げということ自体がなかなか難しいんじゃないか

というようなところも区々あるという事実を踏まえると、今回の春闘だけでもって

何か決め打ちできるというわけではないん じゃないかというふうに思います。大事

なことは、今回の春闘だけじゃなくて、やはりそこから先がまた次の問題があって、

それからその賃上げ、そして価格の引き上げみたいなところからの 2%の経路への

安定的な着地というようなことを考えたときには、今回の春闘には注目が集まりま

すけれども、しかしそれだけでちょっと決め打ちするのは難しいんじゃないかとい

うふうに思っています。

二番目の話は、正副総裁の人事についてはコメントできないので、コメントを差し

控えさせて頂きます。どういう金融政策が望ましいのかということについてもコメ

ントは差し控えるべきだと思いますけれども、ただ一般論として日本銀行がやって

いるのは中央銀行として、物価の安定 と、そして金融システムの安定ということで

すので、やっぱりこのマンデートをしっかりと実現するということに尽きるんだと

いうふうに思います。それから先、それを実現するためにはどういう要件が必要な

のかというのは、人それぞれ色々と議論があると思いますけれども、マクロ経済政

策の安定化の要である日本銀行というのがマクロ経済政策をきちんと実施するのだ

と、そして金融システムの安定にも目を配るのだというこ と、ここに基本的には日

本銀行の役職員の基本的な使命があるというふうに考えております。

(問)

静岡県の経済成長に関してのアドバイスを一つお願いしたいんですが、三つ頂きま

してですね、インフラとか、知識、あと魅力的な 地域づくりというのがあったんで

すけれども、二つ目の新産業創出や知識の活用についてなんですが、自動車産業の

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強い県でもありますので、製造業がベースになっ ている県だとは思うんですが、こ

の知識の活用のところでですね、静岡県が成長に向けてどういったことが必要か、

産業振興の観点から教えてください。

(答)

事実の問題として、確かに自動車産業を中心として、製造業がかなり強い県である

という印象を持っております。ただ、知識というときには、当然まさにそこの部分

も重要ですけど、それに限らず、様々なかたちでの知識の活用が必要だろうという

ふうに思っています。産業の振興という意味では、なかなかこれというのを申し上

げるのは難しいところではあるのですけれども、一つ申し上げると、これは懇談会

の席や企業視察などでも伺った点ですけど、やはり 今、昨年AI活用元年と言われ

て、飛躍的に例えばAIの能力が向上していると。そういうことも踏まえて、デー

タをいかに活用するかというのは、これは業種を問わず、非常に幅広いと ころに影

響することだというふうに思います。なので、別に製造業に限らず、農業において

もデータを活用するというようなことは可能であるわけだし、これまで、言ってみ

れば、サービス業においても、あまり革新が行われてこなかったようなと ころでも、

データをてこにして何らかの革新をすることはできるということですので、必ずし

もこれまでの強みであった製造業だけに限らず、そういった意味での成長可能性と

いうのは、かなり広範に、広い範囲で 開かれてるんじゃないかというふうに感じま

す。

(問)

静岡の経済のことなんですが、今回の懇談会の中で出席された方々、中小企業の経

済団体とか、そこに資金繰りをしている金融機関の方が多かったと思うんですが、

具体的な発言として、おそらく日米の金利差拡大で、いわゆるコスト高とか、かな

り厳しいものがあると思うんですけれども、具体的に 、日銀の政策に関する、足元

の中小零細企業の声を踏まえた、具体的な求めと要望というのをもう少し具体的に

教えて頂けますでしょうか。

(答)

おそらく二つあると思います。やはり資源高、エネルギー価格の上昇ということが、

中小零細企業の方々に対して、大変なやはりご苦労 をかけていると。ご苦労が寄せ

られているということで、そういったことに日本銀行としても、できるだけ配慮し

てほしいという話がございました。それと、もう一つは企業の資金繰り、これはや

はりゼロゼロ融資の返済という段階に入って まいりますので、そこから先、きちん

とそういった企業の資金繰りが滞りないように進めていくということについても、

私どもとしては注意深く見守るつもりですけれども、そういうことについても、ご

要望があったという次第でございます。

(問)

先ほど、金融政策はですね、効果と副作用の バランスをみながらと、そういうご指

摘をされたわけですけども、就任以来、副総裁は必要なら追加緩和も辞さないと 、

そういう姿勢を貫いてこられたと思います。これまで物価目標が実現できて ない中

でも、利下げといったですね、利下げなど明確な追加緩和という手段 がこれまでと

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られてこなかったんですけれども、やはり大規模緩和が長期化する中で、金融緩和 、

手段も含めた限界、こういったものを副総裁は感じながらやられてきた面はあるの

でしょうか。

また、追加緩和が必要だなというふうに感じた局面 というのはこれまであったかど

うか、その辺をお願いします。

(答)

手段の限界ということは、さっき のコスト・ベネフィットでいつも考えなければい

けないので、だから限界というよりも、むしろ手段の効果とそのコストみたいなも

のですよね。これは、その時々だけというか常に考えなければいけないと ころで、

追加緩和がオプションではないかということも当然あり得たというふう には思いま

す。

二番目の質問に関わりますけれども、では具体的にそういうことを考えたのかと言

われましたら、これはちょっとこの場では申し上げないということですので、コメ

ントは差し控えさせて頂きます。た だ私自身は、やはり全体として 2%の物価安定

の目標が、私の在任中の 5 年間で持続的・安定的には達成されてこなかったという

ことは反省材料というより反省しておりますし、そのために何が できたのかという

のは、日々反省している次第ではあります。

以 上

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