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総裁記者会見(11月18日) [PDF 276KB]

SPEAKER記者会見(11月18日)

PUBLISHED19/11/2024, 00:00:00
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2024年11月19日

日本銀行

総裁記者会見

――2024年11月18日(月)午後1時45分から約30分

於 名古屋市

(問)

地元幹事社から大きく二点、まとめて伺います。まず一点目なんですが、午前中の

金融経済懇談会についてであります 。植田総裁のご挨拶の中で、特に力を置かれた

部分についてお聞かせ頂きたいのと、地元代表者・出席者から出された意見に対す

る感想についてそれぞれお願いします。

二点目なんですが、当地の経済についてのご認識をお願いします。足元の為替は対

ドルで 150 円台半ばの円安水準で推移しておりまして、エネルギーコストの上昇な

ども企業業績の懸念材料にあります。一方で当地では、10 月末にスタートアップ支

援拠点のSTATION Aiが開業するなど、新しい産業を生み出そうとする動き

も活発になっています。こうした中の 当地区の経済の現状に対する評価、今後の見

通しについてお聞かせ頂きたいと思います。

(答)

まず一点目ですけれども、本日の懇談会では、最新の私どもの展望レポートの内容

を紹介致しました。その際、海外経済が本当に緩やかな成長経路を 辿っていくかど

うか、そして国内で賃金の上昇が続いて物価との好循環が引き続き強まっていくか

という二点について、時間を割いてお話し致しました。また、日本銀行の政策運営

の基本的な考え方についても、改めてですが説明させて頂きました。懇談会では当

地の経済界、金融界を代表する方々から、地域経済の動向、日本銀行の政策運営に

対する貴重なご意見を承りました。大変有益かつ示唆に富む 、かつ幅広い問題につ

いてのご意見を伺えたことについて 、感謝申し上げたいと思います。いろいろご意

見頂きましたけれども、いくつか紹介させて 頂きますと、まず二問目とちょっと重

なってしまいますが、当地の景気については、総じてみれば緩やかに回復している

という見方が多く聞かれました。製造業ですが、主力の自動車関連における生産停

止の影響が解消している点に加えまして、半導体需要も回復しているというご指摘

がありました。非製造業ですが、こちらもインバウンドや人流の増加によって、そ

こそこ活発化しているという話が聞かれました。という ことで、当地では、製造業、

非製造業ともに回復の動きがみられることを改めて認識致しました。それから、賃

上げの進展が個人消費の増加につながるというプラス面についてのご指摘もありま

した。一方で、中小企業を中心に 、価格転嫁が必ずしも容易ではなくて業況の改善

が伴わない中でも、人材確保のため賃上げをしている先もあるというふうにも伺い

ました。今後こうした話を受けて、賃上げの動向については、業種や企業規模など

の違いを含めて丹念に点検する必要があると改めて感じた次第です。それから、海

外経済、アメリカや中国等、不透明感や、ウクライナや中東を巡る地政学的リスク

の高まりが懸念材料という声も多かったかと思います。あと、リニア中央新幹線の

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開業に対する期待が示されましたし、東海 3 県の中小企業を対象に、企業間のノウ

ハウ共有を促し、生産性を向上させるための取り組みを行っているというお話も 頂

きました。GXやDX投資、それからM&Aなど、企業の前向きな投資活動を後押

しすることが当地の金融機関にとって重要とのご指摘も頂いています。様々な課題

の解決に向けた関係者の方々のご尽力に対し、深く敬意を表するとともに、こうし

た取り組みが当地経済の発展につながることを期待しています。この問いへの答え

の最後としまして、今後とも適切な金融政策運営を期待したいとの言葉を 頂きまし

た。私どもとしても、中央銀行としての立場から、2%の物価安定目標を持続的・安

定的に実現していくことを通じて、当地経済に貢献してまいりたいと思っておりま

す。

それから二番目のご質問ですけれども、先ほども申し上げましたが、足元の当地景

気については、緩やかに回復していると私どもも判断しております。生産・輸出が

増加基調にあるほか、個人消費も、所得環境の改善もあって、サービスを中心に増

加基調が緩やかながらもはっきりとしてきたとみています。それから、中長期的な

視点からみますと、講演でも触れましたように、当地経済は、自動車関連を中心に、

強固なサプライチェーンを有するものづくり産業の集積地として、これまで様々な

イノベーションを通じてわが国をリードし続けてきたと認識しています。今日の話

の中で、先ほどご指摘頂いたSTATION Aiに関する話もいろいろ出まして、

その開設を通じて、スタートアップと既存産業・学術機関の協業によって、イノベ

ーションの推進が加速するなど、スタートアップの成長が地域全体の生産性にプラ

スの影響を与える可能性を感じています。こうした産学官金の連携による取り組み

で当地経済、あるいはわが国経済がますます発展することを期待しています。 更に

今日お話をいろいろ伺ってみますと、当地でこのプロジェクトに直接 、間接に関係

していらっしゃる方々のある種本気度合いといいますか、そういうものがひしひし

と感じられまして、私も期待感を強めたところですし、話では パリに

STATION Fという同じような組織があるそうで、そこを参考に作られつつあ

る、パリのこちらの組織STATION Fの方は非常に成功をしている、というこ

とですので、ますます期待してみているところですし、私も時間があれば、現地を

視察してみたいなと思った次第でございます。

(問)

アメリカ経済の先行き、様々なリスクがあると、点検していく必要性があると説明

されていますけれども、点検には一定の時間がかかるというご認識でしょうか 。ト

ランプ氏が大統領に着任するのは来年 1 月になりますが、経済・物価に及ぼす影響、

どれぐらい時間をかけて見極めたいとお考えか教えてください 。また、講演の中で、

毎回のMPMで金融緩和の度合いを調整するか検討していくとおっしゃられてます

が、来月にもMPMありますが、次回会合でも利上げの可能性はあるということか

教えてください。

(答)

アメリカ経済を含めまして不確実な点とか、あるいは今後変動がいろいろ予想され

るというような、変動を確かめたいというような点は、ある意味無数にありまして、

それを全部待ってて、それから政策をするということではなくて、毎回の金融政策

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決定会合で、そこまでに入ってきましたデータ、それからその他の情報ですね、こ

れを毎回毎回点検し、それに対応して適切な政策を行っていくという 、これまでの

基本姿勢に現在でも変わりはございませんとお答え致します。

(問)

このところ為替市場で円安圧力が再び強まってます 。最近の円安がですね、輸入イ

ンフレを上昇させて、国内物価を上振れさせるリスクは強まらないのか。特に 7 月

はですね、国内物価の上振れリスクが 利上げの一因になったと思います。当時の状

況と現状は違うのか、また似たようなところがあるのか 。この辺りについてお願い

します。

(答)

いつものことで申し訳ないですけど、為替レートの短期的な動向にはコメントしな

いことにしております。ただ、いずれにせよ、為替を動かしている背後の経済要因

を含めて、私どもの物価・経済見通しにどういう影響があるか、あるいは中心的な

見通しの周りのリスクにどういう影響があるかということを日々分析をし、 毎回の

決定会合でそれを積み重ねて、その うえで、各会合で判断していくという姿勢でご

ざいます。

(問)

今日午前の講演でですね、金融政策運営のところで 、金融緩和の度合いを少しずつ

調整していくことは、息の長い成長を支え、物価安定目標を持続的・安定的に実現

することに資するとご発言されました。この息の長い成長というのはどういうもの

をイメージされているのか、もう少し具体的にご説明頂きたい。

あと、金融緩和の度合いを判断する上で 、その先行きの見通しというのは、海外経

済と賃金と物価の好循環の二つがポイントというふうにおっしゃいましたが、この

息の長い成長というのを実現するためには、これもですね、その判断時期ですとか、

ポイントになってくるのか、その点について教えてください。

(答)

息の長い成長と申し上げたのは、足 元金融緩和度合いが、例えば実質金利等でみて、

かなり強いということとの関係で申し上げたわけですけれども、適宜その度合い、

金融緩和度合いを私どもの見通しに応じて調整していかなかった場合には、場合に

よってはですけれども、どこかでインフレ率が急に加速するとかいうことが発生し

て、急速な金利の引き上げを迫られるという可能性もゼロではないわけです。そう

いうことがないような経済パス、あるいは政策運営を行うことによって、例えば 、

今 1%前後の成長が当面見込まれるという見通しを出していますが、これが長続き

する可能性が出てくるというような意味合いで使っております。

それから、後半のご質問はちょっと聞き取れなかったんですが。

(問)

今の説明で何となく理解できたんですけれども、要するにタイミングを誤らずにや

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りたいということで、その判断の鍵となるその見通し というのは、海外経済と賃金

物価の好循環、これを見極めていくということに変わりはないということでよろし

いでしょうか。

(答)

はい。海外経済、賃金動向、そしてその他にもいろいろな要因がありますが、こう

いうことが物価・経済にどういう影響を及ぼしていくかという 、そこの見通しを誤

らないようにしたいということでございます。

(問)

先ほどの金融緩和の継続によってですね 、場合によってはインフレが加速する可能

性もあるというふうにご発言されまして 、日銀では経済・物価が見通しに沿って推

移すれば、利上げによって緩和度合いを調整してくる話をされてるんですが、 9 月、

10 月の会合ではオントラックとの判断を示されながらも、金融緩和を維持されまし

た。先ほどのご発言に沿って考えると 、やはりそれによって、ビハインド・ザ・カ

ーブのリスクというのは高まっているのではないか 、蓄積されているのではないか。

国内の経済・物価は順調な一方で、海外経済というですね、外部要因 の不確実性に

よって金利を抑えつけていると、先行 き利上げのマグマがたまるという、そういう

ようなご認識でよろしいのか確認も含めてお願い致します。

(答)

そこは程度問題だと思いますけれども 、7 月に戻ってみますと、為替からくる物価

上振れリスクもありましたけれども、基本的には 、そこまでの経済に関する情報が、

その前の時点での見通し対比大体 オントラックであり、その少し先もそのままいき

そうであるという中で、利上げをしたわけでございます。その後のデータは、やは

り広い意味でオントラックであるわけですけれども、 7 月の時点でみていた姿に比

べて、どれくらいオントラックの度合いが上方修正されたのか、こういうような点

を毎回の決定会合で確認しながら進んでいくということでありまして 、オントラッ

クであれば毎回利上げをしていくということではなくて、見通し通りに進んでいる

ことによって、見通し期間後半の足 元の見通しが見通し通りに進んでることによっ

て、見通し期間後半の見通しが実現する蓋然性、 確度がどれくらい高まったか、あ

る程度以上高まるということが自信が得られたときに次のステップに移るような、

大まかなプロセスで考えております。そういう意味では 、ビハインド・ザ・カーブ

には一方で陥らないように、適切に判断は続けていきたいというふうにはもちろん

思っております。

(問)

先ほどの質問とご回答にも関連するんですけれども、講演では、企業の中で賃上げ

の必要性が、必要についての認識が強まっているということと、あと 10 月の価格改

定期に、サービス価格にも上昇の動きが みられていると。こういった面からみます

と、国内については少なくとも、再利上げできる環境が整っているように思うんで

すけれども、先ほどの物価が持続的 ・安定的に 2%に達成する蓋然性が高まってる

かどうかの判断において、前進がみられているのか、おっしゃってたように 7 月以

降どうかっていうときに一層前進しているのか 。国内の環境についての評価をお願

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いします。

(答)

もちろん、前進はみられていると思います。賃金は、どうでしょうか、3%、基本給、

一般労働者のbase wage の前年比増加率でみて、2.5 から 3[%]の間でここのところ

数か月安定していますし、それからサービス価格については、10 月の改定期をひと

つ注目していたんですけれども、まだ全国の CPIが、今週ですかね、今週後半に

発表になりますので、それをみたいとは思いますけれども、東京について出た 10 月

のデータはある程度サービス価格への転嫁が進んでいる 、進み始めている、という

ものであったと判断しています。ただ 、そういうふうに、ある程度国内経済につい

て良い方向でデータが少しずつ出ているわけですが、これをその他の全体のデータ 、

情報と合わせて、総合判断した場合にどうなるかということでございます。

(問)

すいません。もう一点あるんですけれども、財界との懇談の中で過度の円安につい

ては、コスト高を招いて、非製だけでなく製造業にも悪影響を及ぼすので望ましく

ないという趣旨の発言がありました 。この円安の及ぼす物価だけでなく経済への影

響についての評価をお願いします。

(答)

これはずっと前から申し上げていることですけれども、円安がコスト高になって、

消費者あるいは一部の企業にマイナスの影響を与える面ももちろん大きいわけです

けれども、当然輸出企業にはプラスになる面もありますし、それからインバウンド

の需要にはプラスの影響もあるということで、経済全体の評価はなかなか難しい 、

経済全体への円安の影響の評価はそう簡単ではないと思ってはおります。

(問)

二点お願いします。一つ目がですね、午前の講演の中で、実質金利の水準がかなり

マイナスにありますよねという話をされてらっしゃったと思うんですけれども 、経

済の成長に資するものだとは思うんですけれども、一方で金利が大幅にマイナスな

水準にあることの弊害というものがあるのではないかと思うんですけれども 、その

辺りのご認識をお伺いしたいのと、それが今後の利上げの判断の材料になるのでは

ないかというふうな印象もあるんですけれども 、その辺りのお考えをお聞かせ頂き

たいということが一つ目です。

もう一点が、アメリカのトランプ大統領の当選が確実となった今ですね、議会の方

もトリプルレッドというような状態になって 、掲げている公約の実現の可能性が高

まっているという状況だとは思うんですけれども、それが日本の経済・物価にどの

ような影響を与えるというふうに現時点で みていらっしゃるのかも併せて教えてく

ださい。

(答)

一点目は、先ほどご質問があった点とちょっと重なるとは思いますけれども 、実質

金利がすごい低いということからくる悪影響といいますか 、弊害ですけれども、私

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どもの観点からしますと、やはりどこかでインフレ、特に基調的なインフレ率 の上

昇が加速してしまう、2[%]を超えて加速してしまうというリスクだと思っています

し、そうなってしまうと利上げのペースを思った以上に早めないといけない 、そこ

からくるいろんな問題が出てくる 。そうならないように適切に金融緩和度合いを調

整していきたいというところで、ここの判断は 、私どもにとっては本質的に重要な

ものだというふうに思っております。

それから、トランプ新大統領誕生がほぼ確定的になっている中で、その公約ないし、

新しい政策についてですけれども、これは午前中も懇談会で 話に出ましたけれども、

やはりまだ大統領の就任が来年 1 月ですので、そこから具体的な政策が決まってい

くという段階ですので、現状ではそれをどうなりそうだ、こうなりそうだというこ

とを、私の立場で予想して申し上げるのは差し控えさせて 頂きたいと思います。決

まっていき次第、私どもの見通しには適切に織り込んでいきたいと思っています。

(問)

不確実性というのは高いということなんですけれども、総裁 、以前から不確実性が

なくなることはないということも一方でおっしゃっていまして 、今年のですね、7

月の利上げの前には、総裁、6月の時点で7月に利上げをする可能性は十分あるとい

うことをおっしゃっていました。今、毎回の会合でデータ、マーケットの状況など

をみながら決めていくということですが、それは 12 月の利上げというのは十分可能

性があるということなのか、それとも今リスクが高い、不確実性が大きいだけにそ

こまでは今言える状況ではないということなのか、お願いします。

(答)

毎回そこまで、例えば12月会合でしたら、10月会合から追加で得られたデータ、情

報をベースに、見通しを修正しまして、必要があればですが、それからリスクに対

する評価も修正しまして、それでその時点で適切な判断をするということでござい

ます。

(問)

総裁、挨拶で実質金利が非常に大きなマイナス圏にあるということで図表も示され

ているんですけれども、この実質金利のマイナス幅の大きさを みますと、次の利上

げをしても引き続き実質金利というのは大幅なマイナス圏のままではないかなと思

いまして、そう考えると、実質金利のこの大幅なマイナス圏 というのを踏まえます

と、追加利上げもハードルは相応に低いのではないかなと考えますが 、この点につ

いてはいかがでしょうか。

あともう一つ、為替についてですけれども、投機筋にとってのこの円キャリー取引

というのが、現状どういうふうな推移になっているというふうに総裁ご覧になって

いるかということと、今のマーケットではドル高っていう感じになってますけれど

も、結果的にドル円というのがなか なか下がらない現状において、日本の物価に対

する影響をどういうふうにご覧になりますでしょうか。

(答)

7

仮に利上げをしたときに、実質金利がどうなるかですが、ちょっと教科書的で恐縮

ですけれども、そのときにインフレ 期待がどういうふうに動いているか次第かと思

います。インフレ期待がある程度上がりつつある中で、少し利上げをしたという場

合ですと、実質金利はほとんど上がらないという可能性もあるかと思います。それ

から、実質金利の水準をどう評価するかという点になりますと 、ずっと前から議論

させて頂いていますように、中立金利を実質でみた場合に、どれくらいかという議

論との相対でそれを評価するということが 、これもまた教科書的には考えられます

し、中立金利の推計値の中には実質金利がマイナスだというものもあるので 、それ

にも目を配りながら、実質金利の水準をみていくということになるかと思います。

それから、円キャリートレードにつきましては、ちょっと出張が続いて足 元のポジ

ションを、そもそも足元のポジションはなかなか分からないんですけれども、完全

には把握できておりませんが、私のみております限り、そんなに大きな片方向への

ポジションの偏りは現状、例えば 7 月初めにみられたようなポジションの偏りはな

いのではないかというふうにみております。為替の見通し、インフレ率等に与える

影響については、先ほど来申し上げていますように、各会合において、その他の情

報とともに点検していきたいと思います。

以 上

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