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内田副総裁記者会見(2月8日) [PDF 293KB]

SPEAKER記者会見(2月8日) [

PUBLISHED09/02/2024, 00:00:00
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2024年2月9日

日本銀行

内田副総裁記者会見

――2024年2月8日(木)午後2時30分から約35分

於 奈良市

(問)

幹事社からは二点ほど質問がございまして、まず一点目は、本日の懇談会ではどの

ような議論が行われたのでしょうか、というのが一点目で、二点目が、 奈良県の金

融経済情勢についてどのように認識されているのでしょうか、というのが二点目で

す。よろしくお願いします。

(答)

本日の懇談会では、当地の行政、 経済界、金融界を代表する方々から、地域経済の

現状とそれから直面する課題、更には日本銀行の金融政策運営に関するご意見など

をお聞きすることができまして、大変有意義な意見交換ができたというふうに考え

ております。懇談会にご出席された方々には、この場をお借りしまして、改めて御

礼を申し上げたいと思います。席上 様々なお話を頂きましたが、私なりにまとめる

かたちで幾つかご紹介したいと思います。まず、当地の景気ですが、後ほど申し上

げますけれども、緩やかに持ち直しているというお話を参加者からも頂きました。

一方で、業種や事業規模によって業況が二極化している、 あるいは原材料コストの

上昇が企業業績を引き続き下押ししているといったお話も頂きました。また、多く

の方からですね、やはり人手不足が大変厳しい状況にあるという声を 頂きました。

その中で、企業の賃金設定あるいは価格設定について幾つかのお話を伺ったという

ことです。例えばですが、人材確保のためには賃上げは避けて通れないといった声

や、賃上げを行うためには取引価格の適正化が重要であるといったご指摘も頂きま

した。またこのほか、当地経済の持続的な成長に向けた話題として、当地の優位性

を活かした企業誘致に取り組んでおられるといった話、あるいは、行政、経済団体

それから金融機関などが一体となって、例えば事業承継など企業支援に取り組んで

いるといった前向きなお話も伺ったところです。日本銀行の金融政策運営につきま

しては、企業の皆さまからですが、緩和的な金融政策は、企業の資金繰りを助け、

経営の安定に結び付いたという声を頂きました。一方で、副作用として、金融機関

の収益が下押しされているというご指摘も頂いたところです。また、本来淘汰され

るべき企業が生き残った結果、価格競争等々の問題が強まったというご指摘も頂き

ました。日本銀行としましては、本日頂いた意見は、 多角的レビューなどに活かす

とともに、引き続き適切な金融政策運営に努めて まいりたいというふうに思ってお

ります。

それから奈良県経済の現状についてですが、海外経済の回復ペースの鈍化の影響を

受けて、輸出あるいは生産の一部に弱さがみられております 。他方で、インバウン

ド消費のほか、個人消費や設備投資などの内需は堅調に推移しており まして、景気

全体としましては持ち直しの基調を維持している というふうに判断しています。先

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行きにつきましても、持ち直しの動きを続けるとみています。海外経済の回復ペー

スの鈍化の影響は引き続き受けるというふうに思いますが、全体として高水準にあ

る企業収益、それから雇用・所得環境の緩やかな改善、これらを背景にしまして、

内需が底堅く推移するというふうに考えているからでございます。やや長い目でみ

ますと、他の地域と同様に人口減少、それから高齢化といった大きな課題に直面し

ています。ただ、奈良の場合には 、大都市への良好なアクセス、それから豊富な観

光資源など、地域の強みあるいは特色を活かして前向きな取り組みが着実に進んで

いるというふうに思います。こうした取り組みを通じて奈良県経済が一段と発展す

ることを期待したいというふうに思います。

(問)

午前中の講演でですね、マイナス金利を解除しても、その後にどんどん利上げをし

ていくようなパスは考えにくいというような趣旨のお話がありました。一応確認で

すけれど、これはマイナス金利を解除した 後、追加利上げというのは当分の間はや

らずに、暫く政策変更しないというような趣旨なのか、あるいは 0.25[%]とか

0.50[%]のような、きわめて小幅の利上げというのは、それほど時間を置かずに

やるということは排除していないのか、その辺りをお願いします。

(答)

今日のですね、いろいろなことを書かせて頂いたというか、読ませて頂いたわけで

すけれども、現時点でお話できることというのを、皆さんが関心を持っておられる

ことを話せる範囲でお話しするということで書かせて頂いたので、全体としてです

ね、あまり追加できることは多くはないということなので、この通り読 んで頂けれ

ばというふうに思いますが、今の点について一点だけ 敷衍しますと、二度ほど強調

していますが、マイナス金利を解除した 後のパスというものは、今後のですね 、経

済・物価情勢次第であるということを繰り返し強調させて頂いています。 これは当

たり前のことですけれども、大きな考え方としてはですね、金利というものは、2%

の前後でCPIが推移するように適切な水準に持っていく 、そうなるために、経済

と物価を見極めていくということになりますので、当然そこにインプットされる経

済・物価情勢次第ということになります。 そのうえでここに書いてあるように、今

の見通しを前提とすれば、書いた通りですけれども、 緩和的な金融環境が維持され

ることになるだろうというふうに書いたわけです。同時に、このことはですね、こ

の後、金融市場における、例えば予想物価上昇率がどれだけのペースで 2%に向か

っていくのかとか、大きな流れで言えばですね 、賃金を含めてですけれども、物価

のダイナミズムがどう変わっていくのかとか、そういったことによって左右される

というふうに思いますので、現時点でそれ以上のことを申し上げるのはですね、良

くないと思いますし、却って不正確だと思いますので、そのように理解して 頂けれ

ばというふうに思います。

(問)

今の質問にちょっと関連しまして、例えば、過去、2006 年から07 年にかけての利

上げ局面で、06 年の 3 月に量的緩和を解除しまして、7 月に 0.25%利上げで、更に

07 年の 2 月に 0.25%利上げしています。このペースは、「どんどん利上げ」に相当

すると思いますか、というのが一点です。

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あともう一つは、8 月の懇談会の時におっしゃっていたリスクマネジメント・アプ

ローチについてなんですけれども、当時はビハインド・ザ・カーブに陥るリスクよ

りも拙速な緩和修正による下方リスクの方が大きいという話をされていたかと思い

ます。今回、現時点でのリスクアプローチについての認識をお伺いできれば幸いで

す。

(答)

前者についてはですね、第一のご質問に答えたこ とにほぼ尽きているというふうに

思います。当然、経済・物価情勢が 2006 年とは違いますので、そういう中でですね、

ペースというのは決まってくると思いますので、当時と比べるという発想はそもそ

もあまりしたことがないので何とも言えません。今後の経済・物価情勢次第である

というふうに申し上げたいと思います。

後者ですけれども、展望レポートの記述の中で、今回、 リスクバランスはですね、

読み上げますが、「経済・物価のいずれの見通しについても、概ね上下にバランス

している」という評価をしている、ただし、「もっとも、物価については、長期に

わたる低成長やデフレの経験などから賃金・物価が上がりにくいことを前提とした

慣行や考え方が社会に定着していることを踏まえると、賃金と物価の好循環が強ま

っていくか注視していくことが重要である 」というふうに記述しています。ただ読

み上げただけですけれども。そのように考えていまして、当然ですね、見通しと上

下のバランスを踏まえて、適切な金融政策をやっている というふうに考えています

ので、現時点においてですね、ビハインド・ザ・カーブに陥っているということは

ないというふうに思っています。

(問)

二点お願いします。マイナス金利解除以外のいろいろな大規模緩和の手段について

も、丁寧にいろいろ説明、講演の中でされていると思うんですが、これを読み解く

と、マイナス金利の解除ができる 、すなわち持続的・安定的な物価目標の達成の見

通しが立てば、今あるその他のツール、例えばYCCですとか、リスク資産の買入

れというものは、もう取り除かれてしまうのかなとも思うんですけれども、そうい

う理解でいいのかという点と、あとこういういろいろなツールを一緒に見直す過程

で、それぞれの効果について、全体として分析してどれぐらいの緩和効果を縮小で

きるのかという判断をされるのか、それともそれぞれの手段のそれぞれの政策効果

を見極め、これはもういらないだろう、これは残した方がいいという判断になるの

か、その辺りを、特にYCCとQEが連続しているというところが私はちょっと面

白いなと思ったので、そこを中心にそれぞれのツールをどう位置 付けて考え、少し

ずつ縮小していくのか、ちょっと詳しく教えて頂ければと思います。

(答)

二問とおっしゃいましたが、基本的に同じ質問だと思いますが、 われわれの発想は

ですね、例えばマイナス金利、YCC、ETFですかね、J-REITもですけれ

ども、そういったものを何か変えるものを先に決めて、それにふさわしい状況にな

るかというふうに判断するわけではなくて、順番は逆で、まず情勢判断が先にある

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わけです。これ はいろいろな言葉を使って いますが、一番典型的には 2%の安定

的・持続的な実現が見通せるようになるかどうかを判断し、見通せるようになると

判断すれば、今言ったようなものをそれぞれについてですね、最も良い状況に見直

す、なんといいますか、条件が整うということになると思います 。そのうえでどう

見直すのが、最もその経済の状況、先行きを見据えた うえで望ましいと思うかとい

うことはですね、それは当然全体を みて判断するということになるわけですから、

何かこれをセットにするのか、一個一個なのかという議論はですね、あまりわれわ

れの発想の中にはないんですね。ですから 、当然その条件を満たせない限り、見直

しには入りませんけれども、見通せるのだということであれば、その中で今やって

いる様々なツールが、どこに持っていくのが一番最適だと思うか、先ほどの質問で

言えばリスクバランスを含めて最も良いと思うかと、そういう順序で物事を考える

ということです。そのときに、例えばYCCについては、書いた通りと言えば書い

た通りなんですが、当然のことなんですけど、 YCCというのはやめたら終わりと

いうものではなくて、あくまでQEの一種ですから、当然他の中央銀行もそうであ

るように、いきなり買入れをやめるということはあり得ないわけです 。当然買入れ

は続けるわけですから、その買入れの仕方をどういうふうにしていくのが 、その時

点で良いかというふうに考えれば よいということなので、そういう意味ではですね、

質問の趣旨はよく分かるつもりではいますが、われわれの発想はそういう順番では

なくて、逆の順番で考えて、そのときに最も良い、なんと言いますか、短期・長期

の政策金利ないしは国債買入れのやり方ということを考えていくと、そういう順序

になりますね。

(問)

先ほどの質問のお答えで、リスクバランス的にはビハインド ・ザ・カーブに陥ると

は思っていないということで理解したんですけれども、先日公表されました 1 月の

決定会合の「主な意見」で、現状の政策を続けると今ある副作用が続くことになる

と。その副作用が与える影響に関して、どれくらい時間的猶予があるのかですとか、

その辺のバランスはどのようにみられてますでしょうか。

(答)

当然なんですけれども、今、多角的レビューというところで全般的な見直しをして

いますけれども、毎回のMPMでもそこは議論しながらやっているわけです。とい

うか正確に申し上げると、この間のYCCの運営なり、それから短期金利のところ

を含めてですけれども、効果と副作用のバランスが最も良いところということで毎

回毎回、決定しているということなので、1 月の決定会合についてはですね、今の

やり方が最も良いというふうに、副作用を含めて判断したということになります。

そのことはこれからのですね、決定会合においても同じ状況になりますので、当然、

副作用も含めて毎回判断していくということになると思います。

(問)

二問お願いします。一つはYCC についてですけれども、講演の中で見直しの方向

性として、市場の自由な金利形成を尊重していく方向という言及がありました。こ

れはつまり、現状でいうと 0%程度と 1%めどというかたちですけども、少なくとも

これよりは緩めていく方向性というイメージでよろしいのかどうか。その際に、要

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は 1%を大きく超えるとかですね、そういったことも想定されるのかどうかという

点も併せてお願いします。

もう一問がですね、企業についての新陳代謝の必要性について言及されました。確

かに必要だとは思うのですけれども、先ほどの懇談会の中での言及の中で 、「淘汰

されるべき企業が生き残ってしまった 」というご意見もあったということで、日銀

の低金利政策によってですね、そうした新陳代謝、いわゆるゾンビ企業といわれる

ような企業が残ってしまったといった見方もあります。この点について、副総裁の

お考えをお願いします。

(答)

まず前者はですね、文章に書いてありますが、当然のことながら見直すのであれば

その方向性はということで、今ご指摘にあった文章が続いてくるということです。

それはそうなんだろうということですね。当然、先ほどの質問にも絡みますが、見

直すか見直さないかは、どちらが良いかで決めていけばよい話であって、見直す時

の方向性が今よりも更にタイトなコントロールをするという方向になる可能性はあ

まり高くないのは、常識的にそうだろうというふうに思います。ただ同時に、非連

続的に変わるということは、これは市場にとってはよろしくないので、そういうこ

とがないようにしますということを考え方として述べたということですので、そう

いうことになりますね。今の一つ目は。

二点目についてはですね、これはこのこと自体が多角的レビューの中で様々な方も

指摘されている論点ですので、あまり 私の方からですね、今こう思うということを

申し上げることは適切ではないというふうに思います。ただ、新陳代謝という言葉

は、その言葉自体としてはどちらかというと良い言 葉として皆さん書かれることが

多いと思いますが、当然そこには企業数の減少というのを含むという生の現実があ

るわけですから、そのことを含めて新陳代謝というのを適切なペース、適切な方法

で進めていくことが必要であり、その中にあっては 、人手不足を契機とするものは

比較的、比較的ですよあくまで、比較的コストは小さいであろうし、それからもし

できることであれば、これは金融機関とか、 ――すみません、ここは地域金融機関

だけ書いたんですが、例えば商工会議所さんとかいろんなところを含めて――、ネ

ットワークをお持ちのところはあるので、できればその企業がですね、従業員がい

ることを魅力的だということで、そのままどこかのより効率的なオペレーションが

できるところが運用していくというのが一番良いかなというふうには思っています。

なぜそういうふうに言うかというとですね、新陳代謝の進め方には いろいろな方法

がある。それは例えば、セーフティネットを外していくということもそうかもしれ

ないし、あるいは金利を上げるということもそうかもしれな いし、人手不足という

のも契機になり得る。ただ、例えば 金利を上げていくことによって、経済全体にと

ってマイナスになるような水準に、少し前の話かもしれませんけれども、 上げてい

くということがですね、本当に日本経済全体にとって良かったのかどうかというの

は、その議論をするときにはいつも問われて然るべきだというふうに私は思います。

これ以上言うのは、あまり先取り的で好ましくないと思いますので、皆さんの いろ

いろな意見を聞きながら、ここについては多角的レビューの中でも考えていきたい

というふうに思います。

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(問)

先ほどもマイナス金利の解除後もですね、緩和的な環境を維持され、国債買入れに

も大きな変化はない、そういうお話をされました。これは大規模緩和がですね、修

正される段階に入っても日銀のバランスシートは 暫く増加傾向が続くのか、それと

も少なくともですね、縮小というのはかなり先になると、そういう方向でみてよろ

しいのか、バランスシートのあり方を含めてお願いします。

(答)

そこを含めてですね、その時に適切な判断をしていくということになります。この

時点で、その先の話をですね、できるのであれば最初から書いていますから。この

時点でそれは決まっていないということです。

(問)

副総裁に伺いたいのですが、今日挨拶の中で、「日本経済が変わる素地が整ってき

た」というふうに表現されていまして、今焦点になっている春闘の賃上げの状況も

含めてですね、この意味合い、今日の「素地が整ってきた」という意味合いをもう

少しご説明ください。そのうえで、副総裁自身、賃金・物価の好循環の達成とです

ね、政策転換のタイミングが近づいてきているというふうに捉えていらっしゃるの

か。もし足りない部分があるとすれば、どの部分なのかを教えてください。

(答)

今日、主にそこを論じたつもりでいますので、付け加えることがどれだけ多いかは

よくわかりませんけれども、結局ですね 、去年確かに春、賃上げが大方の予想より

は強い賃上げが行われたということかと思います。これ のきっかけになったのはグ

ローバルなインフレ、そのことが日本の物価を押し上げた 、これは好ましくないこ

とですけれども、それがきっかけになったのも事実ですが、何回かこの中に書いて

ある通り、もしそれが人手不足の経済、あるいは労働市場ないし他のものも含めて、

ある種需要超過の状況がですね、いろんな意味でつくられてきている経済っていう

ことをですね、方向としてですけ れどもあくまで、前提としていなければ、おそら

く単にインフレで終わった可能性が高いというふうに思います。これが、労働需給

がタイトな中において行われた結果として、賃上げに向かったということですので、

確かにきっかけはグローバルなインフレだったかもしれないけれども、今起きてい

ることというのはもう少し構造的なものだというふうに判断しているということで

す。このことをですね、一つのドライバーとして、これは言い方は難しい んですけ

れども、人手不足というのはもちろん 個々には困ったことなので、これがいいんだ

という言い方は難しいのですけれども、違う言い方をすれば 、労働需給がタイトで

失業の心配が比較的少ないという状況のもとでですね、賃金は上がりやすい状態に

なっているわけであって、このことをきっかけに、働く人から選ばれる企業が残っ

ていくというかたちがみえてきているわけです。そのことをできるだけ摩擦の少な

いかたちで実現していくことができるのであれば、日本経済にとっては賃金と物価

がともに上がるという、これは 80 年代の日本では当たり前だったので、ものすごく

違うことが起こるというより、デフレ期に起こったことを戻すということではある

のですけれども、そこに戻っていく 素地がようやく整ってきたというふうに思って

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います。マクロ的にみる限りは、今年の賃上げは、去年よりも良い状況がいくつか

揃っている。具体的には、良いって言ってはいけないかもしれませんが、高い、強

い可能性がある情報が揃っている。一つは 、人手不足は今年の方が厳しい、企業収

益は過去最高である、労使双方から比較的強い声が聞こえている、こういったこと

を踏まえるとですね、物価も暦年ベースでは去年の方が高いわけですが、そういっ

た様々なことを踏まえると、好循環、あるいは、少なくとも物価から賃金という方

向については、ある程度、なんと言いますか、期待が持てるし、本当に期待したい

というふうに思います。その状況は整ってきているというふうに思っています 。た

だ、そのことを確認して、逆方向も含めて確認したうえで、いわゆる好循環を確認

したうえで、2%を見通せるようになったというふうに判断するかどうか、というふ

うに向かっていくということですので、当然ですけれども、春季労使交渉の状況と

いうのは、重要なファクターの一つになるというふうに思っています。 それでお答

えしたことになりましたか。

(問)

その好循環とですね、その先というかそれと同時の政策転換というのが、 徐々にで

すね、近づいてきているというご認識であるか。ちょっと足りない部分が 今あると

すればどういうところか。

(答)

それはまさに時間の経過とともにですね、総裁が何度も申し上げているように、2%

の実現を見通せる確度は少しずつ高まってきているというふうに 判断しています。

そのうえで、賃金と物価を確認していくということですし 、何を具体的に確認して

いくのかは今日書いたつもりですから。もちろん、経済全体を判断するということ

なので、ここに書いたことだけをみていくわけではありませんけれども 、賃金と物

価というのが、きわめて重要なファクターであり、その中にあって春闘というタイ

ミングで賃金の部分が確認できるということはですね、これは重要なイベントであ

ろうというふうに思っています。

(問)

先ほどの挨拶の中で、賃金と物価の好循環の確認に 様々なデータや情報を丹念に点

検していく、というふうにおっしゃっていましたが、マイナス金利の解除を含むで

すね、金融政策の正常化開始のタイミングについて、どうい うタイミングが適切な

のか、また判断できるタイミングについて、どう考えていらっしゃるのか、 よろし

くお願いします。

(答)

まさにですね、ここに書いてある通りなんですけれども、様々なデータを確認し、

これは物価から賃金、賃金から物価についてそれぞれ何をみるかは書いてあります

けれども、確認し、それをベースに 2%が見通せるというふうに判断するのであれ

ばですね、これは幾つかの要素がありますけれども、大規模な金融緩和というもの

を見直すことになるだろうと、正確に言うと見直すことを検討するということにな

りますけどね、検討することになるだろうということです。そういう意味では 、ま

さに書いてある通りなんですけれども、今言ったようなことを確認して、確認でき

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るようになれば、その段階でどういう かたちが最も良いのかを、それぞれの政策に

ついてですね、判断していくということになります。

(問)

ビハインド・ザ・カーブのリスク、先行きのリスクについてお伺いしたいんですけ

れども、現時点ではまだそこに陥 っていないということですが、しっかり賃金の動

向を確認していきたいということも講演でおっしゃっていますけれども、日銀は今、

しっかりとじっくりと賃金と物価の好循環を確認できる時間的余裕はあるのでしょ

うか。それがまず一つです。

もう一つ、ちょっと細かいんですが、講演で使われた図表 9 のところに、政策金利

の市場予想をお使いになっています。この中でざっくり言うとですね、大体 1 年で

25bps くらいだと思うのですけれども、もちろんその経済と物価によってその金利

のパスは決まっていくということなんですけれども、今 の現時点ではこの市場の見

方について、内田副総裁ご自身は特に違和感をお持ちでないという理解でよ いので

しょうか、どうでしょうか。

(答)

二点目については先ほどの一番最初の質問に戻りたいと思いますが、それは経済・

物価情勢次第ですので、それについて評価することは差し控えたいというふうに思

います。今は市場はこうだということを出しただけであって、これを endorse する

つもりもないですし、違うというつもりもないです。

一点目は何でしたか。

(問)

ビハインド・ザ・カーブに先行き陥るリスクですね。じっくり、しっかりと好循環

を見極められる時間的余裕があるのか。

(答)

これもですね、皆さんもそうであるように私も一応言葉は気を付けながら表現は選

んでいるつもりなので、しっかりと確認していくというつもりでいます。そこにで

すね、違う意味をいろいろ言っていくとですね、言い換えていくと、そのことにま

た意味を見出してしまう人も出てくると思いますので避けたいというふうに思いま

す。この通り読んで頂ければと思います。

(問)

二点お伺いしたいんですけど、先ほど日銀のバランスシートの扱いについてまだ決

まっていないということでしたが、確認ですけれども 、声明文に今記されているオ

ーバーシュート型コミットメント、この扱いについては現時点で扱い決まってない

というか、基本的なお考え方を示されるおつもりはないのかというのが 一点目です。

二点目は、岸田総理が国会答弁で、現在政府としては構造的な賃上げと労務費の適

正な価格転嫁、こういったものが進むように、経済が 活力を取り戻す、そういうた

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めの政策を行っているんだと。日銀に対しては、こういう政府の政策をよく理解し

たうえで、独自の判断をしていってもらいたいというお話をされてるんですけれど

も、この岸田総理のお考えと、今後の日銀の金融政策の運営への影響というんでし

ょうか、これはどういうふうに考えればいいでしょうか。

(答)

後者からお答えしますと、私どもも賃金の上昇を伴うかたちで 2%の安定的・持続

的な実現を目指しているということですので、まさにそこは揃っていて、同じ考え

方の中でですね、政策を行っているというふうに思っています。私も賃上げを伴う

かたちでないと、2%というものは安定しないというふうに思っていますので、当然

それをサポートしながら政策をやっていくというのがで すね、今私どもが金融政策

を考えるうえで、重要なポイントになっているというふうに思っています。

それからオーバーシューティング・コミットメントですが、当然ですが、幾つかコ

ミットメントというのはあるわけですが、第一のコミットメントを満たすか満たさ

ないかという判断をまだしていないわけですね。正確に言うと、前回の 1 月会合ま

では満たしていないという判断をしているということになります。つまり、2%を見

通せる状況には至っていないという判断をしているわけですから 、その段階でオー

バーシューティング・コミットメントが達成できているということはそれはないで

すから、そこは見通せるようになったところの判断ということに当然なるというふ

うに思います。ひと言だけ付け加えれば、2 年近くになりますが、2%を超えて推移

しているということは事実ですから 、そのことはですね、もともとオーバーシュー

ティング・コミットメントで想定していたというのも変ですけれども、下から上が

ってくるのとは違う角度で上がってきているので 、そのことがですね、この議論に

影響するということは、それは当たり前の事実としてはあるんだろうと思いますが 、

当然のことながら、見通せるようになるというのが第一であって、見通せるように

なるということを判断したときに、そこも一緒に判断していくということになりま

す。従って現時点においては、そこは決まっていないというよりも 、そういう判断

をしているわけではないというのが答えになると思います。

以 上

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