CBWCENTRAL BANK WATCHEROFFICIAL COMMUNICATION MONITOR
← BACK TO LIVE WIRE
Bank of JapanPress conferenceJAPDF

中川審議委員記者会見(3月3日)要旨 [PDF 188KB]

SPEAKER記者会見(3月3日)要旨

PUBLISHED04/03/2022, 00:00:00
EVENT / LOCATIONNot stated
OFFICIAL DOCUMENTPDF VIEW
OPEN IN NEW TAB ↗

This browser cannot display the PDF here. Open the official document ↗

READ EXTRACTED TEXT SEARCHABLE / ACCESSIBLE VERSION

2022年3月4日

日本銀行

中川審議委員記者会見要旨

―― 2022年3月3日(木)

午後2時30分から約30分

(京都市・東京間オンライン開催)

(問) まず、本日の懇談会でどのようなことを話し合われたのかお聞かせく

ださい。次に、京都経済の現在の動向についてお聞かせ頂けますでしょうか。

(答) まず本日の懇談会ですが、皆さま非常にご多忙の中、京都府の行政、

経済、そして金融界を代表する方々にご出席頂き、当地の経済や金融の現状や

課題、日本銀行の金融政策運営に関して貴重なご意見を伺う機会となりました。

大変有意義な意見交換ができましたことを、この場をお借りして改めて感謝申

し上げます。

懇談会では、多岐にわたるお話を伺いましたので、全てをご紹介する

のは難しいのですが、私なりに整理して、印象と感想を申し上げたいと思いま

す。

まず、当地の景気に関しましては──これは二つ目のご質問への回答

にもなりますが──、年明け早々頃までは、回復を感じていた方が多かったよ

うです。もっとも、その後、オミクロン株の感染拡大によって下押し圧力が強

まっているという見方が多くありました。足許のウクライナ情勢を踏まえた先

行きの不透明感についての声もあり、当然、原材料価格の上昇を販売価格に転

嫁することの難しさ、そして輸入価格の上昇が消費者に与える影響、それから

半導体不足を含めたサプライチェーンの混乱による企業経営への影響、これら

を懸念する意見が聞かれました。また、新型コロナウイルス感染症を受けた借

入の返済に関して不安を持つ企業が相応にみられるという意見もありました。

こうした中で、行政、経済団体、金融機関が連携し、地元企業への資金繰り支

援や事業再構築支援、今後の成長に向けた支援などを強化しているというお話

も伺いました。先行きに関しては、ポストコロナの社会的な変化といったもの

に対応していくために、中小企業においても、DX化やカーボンニュートラル

等を踏まえた成長戦略などを描いて、産官学そして金融の「オール京都」で取

り組んでいきたいというご意見もありました。こうした点は、厳しい環境下で

はありますが、大変心強く思った次第です。

また、日本銀行の政策に関しては、原材料価格の上昇、円安に伴う物

価上昇、それから今後の金融政策のあり方に関するご質問やご意見を伺いまし

た。また、今後も各都道府県で開催する金融経済懇談会などを通じて、対話や

コミュニケーションをしっかりとってもらいたいというご要望も頂きました。

私どもとしましては、今後とも京都支店を通じて情報収集、意見交換

を行い、当地の金融・経済の発展をサポートしてまいりたいと思った次第です。

(問) 先ほどおっしゃって頂いた懇談の内容と重なる部分もあるのですが、

日本銀行の金融政策についての意見があったということでしたけれども、具体

的にどのような要望や意見があったかということをお伺いしたいと思います。

そして、ウクライナ情勢に絡んで、出席された方から各国のロシアへの制裁の

影響も含めて具体的にどう いった意見や質問があった かを教えて頂けますで

しょうか。

(答) 金融政策に関しては、現状の政策に関して私からご説明しました。そ

れに対して、政府の支援制度のサポートによる融資やプロパー融資を活用して

いる顧客の現状を踏まえて、ポストコロナに向けた返済に関してどのように考

えていくべきなのかというご質問とともに、引き続き日本銀行にもサポートし

てもらいたいというご要望と、それからいわゆる「ゼロゼロ融資」の返済期を

迎える中で、それに対する不安の声もあるというご意見を賜ったということに

尽きると思います。非常に貴重な生のお声ですので真摯に伺ったところです。

それから、ウクライナ情勢に関しましては、私なりの見方をご説明し

ました。これに対し、この情勢を踏まえて金融政策に何か変更があるのか、と

いう金融政策に関連付けたご質問等もありましたが、これに関しては注視して

いくとお答えした次第です。ウクライナ情勢に関しては、後ほど他の方からも

ご質問があるかと思いますので、少しお時間を頂いて現時点の私なりの整理を

お伝えしたいと思います。先に結論を申し上げますと、ご想像に難くないと思

いますが、日々、刻々と状況が変わっていますので、その状況を注視するしか

ないというお答えにならざるを得ない状況です。また、制裁の範囲についても、

ご承知の通り、地域によって多少の差があることと、まだ確定していない部分

もあることから、こちらに関しても同様に注視するしかない状況です。そのう

えで、影響に関しては当然いくつかの波及経路が想定されますので、この先の

影響をみていくうえで参考 にしていこうと思っている 点についてご説明した

いと思います。まずロシア・ウクライナといいますと、原油、天然ガス、小麦

辺りを皆さんも思い浮かべられると思いますが、資源や穀物の価格上昇です。

それから、当然のことながら貿易活動、物流、それに関わる金融というモノの

流れ、お金の流れに変化が生じることになります。そして、それらは世界経済

および需給環境、物価動向、ひいては各国の金融政策運営や国際金融市場にも

影響を与え得るということです。この辺は既にご案内のことかと思いますが、

少しまとめさせて頂くと、経路については、まず貿易面では、わが国との直接

的な貿易量の輸出入全体に占めるロシアとウクライナの割合は、通関ベースで

みると、現時点においては然程大きくない数字となっています。従って、この

視点のみでは直接的な影響は限定されているように見受けられます。ただし、

この視点と申し上げたのは、当然のことながら、日本企業は現地生産・現地販

売をしているところもあり、また海外の日本企業同士の取引等も相応にありま

す。この波及経路による影響は、非常に短時間では見極めにくいでしょうし、

他の波及経路による影響と時間差を伴う可能性があると思います。また、国際

商品市況では、先ほど申し上げた天然ガスの価格変動が原油以上に非常にスパ

イクしたものになっているのも目にとまります。天然ガス価格は、著しく上昇

した後下落するなど乱高下しており、国際金融市場では、これを見て価格が下

落する資産がありリスク資産からの退避がみられるなど、非常に神経質な動き

となっています。それをアセットとして持つバランスシートに対しての影響は、

特に 3 月決算が多い日本においても注視するべきだと思いますが、ロシアの天

然ガスへの依存度が高く縁も深い欧州においては、経済活動に下押し圧力がか

かるというのがもう一つの波及経路になると思います。それから、わが国では、

資源と穀物の価格上昇によ りエネルギーや食料品を中 心に物価が押し上げら

れる一方で、企業収益の悪化、家計の実質所得の減少などが起こると国内の景

気の下押し要因として作用するというのが懸念点と注意点になります。そして

もう一つの経路としては、先ほど申し上げたように天然ガスを中心としてロシ

アへの依存度が高い欧州の 経済活動に下押し圧力がか かってくるということ

ですが、欧州経済から間接的にわが国の経済に影響が及び得るというのがもう

一つの波及経路と考えています。このように、多岐にわたる経路がありますの

で、その範囲は想定し得る限りでは相当広いものです。ただし、足許の紛争の

状況は、ご承知の通り、その帰趨自体きわめて不確実性が高いものとなってい

ます。日本銀行としては、この問題が新型コロナウイルス感染症からの回復途

上にあるわが国経済へ悪影響を及ぼす、及ぼさないという点に関して情勢を注

視していくことになると思います。長くなりましたが、ご質問の京都経済につ

いては、やはり実際に影響を感じている取引先企業ないし経済団体の会員があ

るという声を頂いています。当然、具体的な話はこの席上ありませんでしたが、

やはり注視されているというところに関しては意を同じくしたところです。

(問) 委員は挨拶の中で、金融政策を通じて影響を及ぼせる範囲と効果を確

認しつつ、持続的な成長に向けて適切なサポートを行っていくという趣旨の発

言をされました。ウクライナ情勢の激化もありますが、コストプッシュ型イン

フレに対して金融政策で対応することの是非について、中川委員はどのように

お考えでしょうか。

(答) 状況をよく見極めて都度適切に判断したいということに尽きます。ウ

クライナ情勢を受けてということでしたが、刻々と状況が変わっています。コ

ストプッシュ型と端的に言って頂いた趣旨も理解しているつもりですが、その

背景はやはり様々な状況と切り離して考えられるものではありません。わが国

の現状については、本日の挨拶の中でご説明しましたが、その前から色々な形

で物価の変動等も起こってきた中で、まだコロナ禍からの回復期にあるという

認識でもあります。こうした点を総合的に踏まえて、都度適切な判断をしたい

という意味です。

(問) 先ほど、ウクライナ情勢の経済、物価情勢への影響について、波及経

路を含めて色々ご説明頂きました。物価への影響ですが、日銀ではエネルギー

価格等の上昇による物価の 上昇が一時的なものである というように総裁含め

て説明してきていると思うのですが、今般のウクライナ情勢の影響等を含めて

一時的とは流石に言えない状況になりつつあるのではないかと感じています。

エネルギー価格、資源価格上昇を受けた物価の上昇というものが本当に一時的

なのかどうか中川委員のご見解をお願いします。

(答) 物価、原油価格は、過去、シクリカルに振れを伴って変動していたと

私は記憶しています。例えば昨日、10 年 10 か月ぶりの高値であったというこ

とは、10 年 10 か月前には、ドルベースでは近いレベルにはあったということ

で、ずっと右肩上がりないしは富士山の頂上のように平らで安定して上がって

きているという状態ではないという事です。また、過去には、需給バランスの

みではなく地政学的な要因 でも動いたことがあります が、それが長期ではな

かったことが多いと私はとらえていました。この点、ロシア・ウクライナを巡

る情勢は、過去に対比できるものがないと私は思っています。従って、これを

除いた状態で、足許の少し前までの状況を振り返ると、繰り返しになりますが、

欧米の消費者物価の上昇率は、米国では 7.5%、8%に近づくのでないかと思っ

ている方も多くなってきています。ユーロ圏では足許 5.8%で、食品とエネル

ギーを除いても 2.9%程度かと思います。英国でも 5%台という状態です。こ

れに関しては、二次波及的な要素も見受けられるという意見もあり、予想物価

上昇率や賃金上昇率がイン フレ目標と整合的な水準か ら上振れていると評価

され、リスクとしても認識されている状態です。これに対してわが国は、消費

者物価の前年比は、──皆さま、分析等々、非常に分かりやすい報道に努めて

頂いていますので、感謝を申し上げたいと思いますが──携帯電話通信料引き

下げの影響が 1.5%程度の下押し要因になっており、それに対してエネルギー

価格の上昇が今までは相応に打ち消していました。これらが打ち消し合った状

態であるがゆえに、0%台半ばということであるのですが、これが足許 1 月、つ

まりウクライナ情勢が緊迫化の度合いを高める直前ですが、本年 1 月の数字で

みると、挨拶の中にあるかと思いますが、前年同月比の上昇率は、エネルギー

価格は 17.9%、食品工業製品では 1.4%となるなど、影響がエネルギー以外の

物価の方にも少し波及していることが見受けられる状態です。もちろん、携帯

電話料金が剥落すると 2%に近いということは算数的には想定できるところで

あるものの、経済のファンダメンタルズが十分に備わっているかというところ

に、もう一つの大きな視点があると考えています。ですので、今申し上げた通

り、数字の水準自体もそうですし、物価情勢としてわが国は欧米とは同じ状態

でないという認識です。前置きが長くなりましたが、ウクライナ情勢という見

通しが立たない状況が不確定要因としてありますので、注目していくことは当

然に必要ですし、それが波及していった時の特に悪い方への影響は踏まえたい

と思いますが、今の時点で大きな変化、金融政策の方に変化を起こす条件とし

ては、もう少し注視をするところと考えているということです。

(問) ウクライナ情勢についての関連の質問ですが、現時点では大きな金融

政策の変更になるかどうか というのはまだ注視する必 要があるという趣旨の

ご発言でしたけれども、やはり今後注視していった場合に、金融の緩和方向な

のかあるいは引き締め方向なのか、どういった経路というかシナリオというか

ルートが想定されるとお考えでしょうか。

(答) これもまとめてみると同じような回 答になってしまうので誠に恐縮な

のですが、情勢が過去に例がないものであること、そして、特に金融市場その

ものにも影響が及ぶようなものに対しての制裁も見受けられること、それがこ

れから拡がる可能性もゼロではないという中にあっては、軽々にシナリオを立

てるのは、たとえいくつかであってもなかなか難しいというのがお答えになり

ます。

ただその中で、わが国において、金融政策をどう考えるかということ

については、やはり経済に十分な力が備わっているかが重要です。つまり物価

2%を安定的に実現するというのは、繰り返し申し上げている通り、物価上昇率

が 2%に達すればゴールということではありません。理想に聞こえるかもしれ

ませんが、ある程度振れはあるものの継続的にそれを維持していくだけの力が

生み出され、経済成長を伴って好循環が生まれているという状態を望んで今の

金融緩和政策を行っているわけです。

これに対して、ウクライナ情勢がそれ自体または様々な波及経路を通

して水を差すような状態になるか、幸いにも企業、各関係者、そして政府等の

頑張りによりある程度限定された影響にとどまるかが、大きな二つのシナリオ

ではないかと思います。その時にわが国経済が示す指標がどのように表れてい

るかによって、その時に一番良い方法で判断して採用していくということにな

ると思います。直接のクリアな回答にはなっておりませんが、ご容赦頂ければ

と思います。

(問) ウクライナの関連で、またもう一つお伺いしたいことがあります。日

本はロシアの主要銀行をS WIFTから排除する制裁 に米欧とともに加わり

ますが、それに伴う京都もしくは関西にある日本企業への影響について、本日

の懇談会では経済団体の他 に金融機関の関係者の方々 も出席されていますけ

ども、何か具体的なお話は出ましたでしょうか。

(答) まず、金融情勢や金融機関に関しては、京都に限らずまだ特段変化な

いし緊迫した状況にはないという認識です。ただ、変わりやすい情勢、かつタ

イムラグを生じるという点に鑑みれば、今の時点において、という点を強調さ

せて頂いた上で、金融については特に緊迫した状況にないということを申し上

げたいと思います。

経済界では、コロナ禍から回復に向かう中で、跛行色、つまり、企業

間や業種間での差異が非常に大きくなっているというご意見を伺いました。ま

た、非常に細かい目でみると、例えば同じ対面型サービス産業であったとして

も、その中でまた大きな差が出ているということもお伺いしました。こうした

もとで、先ほど申し上げたような波及経路が非常に広く、また複雑、ないしは

その何重かによって波及してくるであろう今回のウクライナ情勢に関しては、

もう現時点で影響が多少なりあるという声と、まだそこまでには至っていない

という声があります。今、そのぐらいの形で情報をそれぞれに集められている

ということでした。

ただ一点、共有させて頂いた方が良いと思いますのでお話しますと、

お声としてあったのは、以前から気にかかって注視していた、いわゆる原材料

価格の上昇や卸売物価の上昇に関しては、非常に懸念しているという事です。

その理由としては、やはり、販売価格への転嫁が難しいところと、何とか頑張

ればできるところとの差も開いているということです。ここにウクライナ情勢

が加わることによって、不確定要因や、金融機関にサポート頂いたり、気にか

けて頂く面が増えていくと私は理解しています。

以 上

VIEW ORIGINAL OFFICIAL SOURCE ↗DOWNLOAD OFFICIAL PDF ↓