1
2025年7月24日
日本銀行
内田副総裁記者会見
――2025年7月23日(水)午後2時から約35分
於 高知市
(問)
最初に地元の高知県経済に関する質問を二点させて 頂きます。今日の懇談会で高知
県側からどんな意見が出たでしょうか。その点を踏まえて高知県経済の課題、強み
というのをどう考えるかを教えてください。
それともう一点が、賃金上昇に関してですが、高知県内では中小零細企業が大半を
占めており、これ以上の賃上げ、賃金引き上げというのは難しいという声が出てい
ます。加えて企業規模による二極化も進んでいます。大企業と中小企業のギャップ、
高知を含む地方部と都市部のギャップについてどう とらえ、どう対応すべきとお考
えか教えてください。
(答)
本日の懇談会では当地行政、経済界、金融界を代表する皆 さま方から、当地経済の
現状、直面する課題、更には日本銀行の政策に関するご意見などを伺い、大変有意
義な意見交換ができたと思っております。この場をお借りしまして改めて 御礼を申
し上げたいというふうに思います。席上様々なご意見 頂きましたので全てをご紹介
するということは難しいですけれども、若干まとめさせて 頂きます。まず当地の景
気でございますけれども、観光客数の増加などを追い風として、全体として持ち直
しているというお話がありました。そうした中で 、当地企業の景況感は悪くはなく、
今年度についても積極的な賃上げを継続する企業が多いとの声が聞かれました。一
方、賃上げを実施できていない零細企業も相応に みられますし、廃業あるいは倒産
する企業数は増加基調にあるというご指摘も頂戴したところです。この間、各国の
通商政策等につきましては、製造業・輸出産業への依存度が当地は高くないという
ことですので、直接的な影響は今のところ限定的である 、ただ不透明感が強い状況
が続いているので、中小企業などに悪影響が出てこないか注視していると、そうい
ったお声を頂いたところです。また当地が直面する中長期的な課題ということにな
ると思いますが、人口減少の問題、人手不足の深刻化を指摘する声が数多く 頂きま
した。具体的には、若年人口の減少に歯止めがかからない、多くの業種で人手不足
が深刻化している、宿泊業などを中心に人手不足による需要の取りこぼしが発生し
ているといったお話を頂戴しました。この点、対応としましても 、当地の行政、経
済団体、金融機関が、いくつかありますが 、一つには産業振興、あるいはインバウ
ンド需要の取り込みなどによって若年層の雇用・所得環境を改善していくこと 、そ
れから女性、高齢者、外国人材の活用を促進していく 、更にはデジタル活用支援、
県外企業との連携促進等々によりまして当地企業の生産性向上を図る 、こういった
積極的な取り組みも進んでいるというお話でございました。また、もともとですね、
当地高知県は、美しい自然、おいしい食べ物、明るい県民性など、きわめて魅力に
2
富んだ土地であるというふうに思います。高知県に住み続けたい、あるいは移住し
たいという潜在的な需要は小さくないように思います。デフレの時代はですね、地
域経済にとっていかに仕事を持ってくるかということが重要であったわけですけれ
ども、現在はいかに人が集まって、まとまった人手を確保できるかということが重
要になってきています。こうした一連の取り組みを着実に進めていかれることで、
高知県の魅力が更に意識されるということを期待したいというふうに思います。そ
れから金融政策運営につきましては基本的にご理解 頂いているというふうに認識し
ておりますが、地域経済への影響をしっかりと踏まえて運営してほしいといった意
見を頂いたところです。こうした意見も踏まえまして、引き続き地域の状況も支店
を通じてきっちりと目配りさせて 頂きながら、適切な政策運営を進めていきた いと
いうふうに思っております。
それから二点目ですけれども、懇談会 でも申し上げましたが、今期の春季労使交渉
の最終集計結果、それから日本商工会議所など他の機関の調査を みましても、賃上
げの裾野は着実に広がってきているというふうに みています。高知支店、私どもの
高知支店による県内企業のヒアリング調査によりましても、今年度についても、県
内企業の多くが人材確保、係留の観点から積極的な賃上げを継続する見込みである
というふうに聞いております。もっとも 、企業間のばらつきは大きい、それから少
子高齢化が進む県内の需要を対象に事業を行っているような、零細企業ということ
になりますが、こうした企業を中心に賃上げ原資を十分確保できていないという声
も少なくありません。懇談会でも賃上げが実施できない零細企業も相応に みられる
というご指摘も頂いたと先ほど申し上げた通りでございます。また、防衛的な賃上
げを行わざるを得ず、収益面やそれから賃上げの持続性、こういったことを心配さ
れる企業も少なくないというふうに思います。日本銀行と 致しましても今後ともで
すね、これは本支店のネットワークを通じまして、情報をしっかりと収集していき
たいと思いますし、企業の規模あるいは地域によるばらつきといったことを含めて、
丁寧に賃上げの動向を確認していきたいというふうに思っております。
(問)
日米交渉が今朝合意しましたけれども、その受け止めとですね、午前の講演の中で
関税措置を巡って不確実はきわめて高いと指摘されていましたけれども、今回の合
意でその不確実性というのは一定程度緩和されたことになるのか、お考えをお願い
したいのが一点目です。
二点目は、講演の中で関税措置を受けた企業の対応はこれからだと指摘されてまし
たが、この企業の影響がある程度データだったりヒアリングで出てこないと、次の
利上げの判断はできないということなのか、この二点お願いします。
(答)
午前中でしょうか、石破総理が、日米間の関税交渉が合意に至ったと発表されたこ
とは承知しております。この間、関税交渉に あたられた政府関係者の皆さまには、
心より敬意を表したいというふうに思います。今回の合意、大変大きな前進である
というふうに思います。日本経済にとって関税政策を巡る不確実性の低下に つなが
るというふうに考えております。経済・物価への影響ということに関しましては、
3
合意の内容を精査したうえでしっかりと分析していきたいというふうに思いますし、
来週決定会合で展望レポートを公表することにしておりますので、その中にも反映
していきたいというふうに思っております。もちろん、今回、特に日米間、それか
ら日本の企業にとっての不確実性 が低下するということで、大きな前進と申し上げ
ましたが、当然のことですが、各国の交渉、米中とか米欧とか、こういったものは
残っているわけですし、それから関税の影響というものが、これは内外と いうべき
でしょうが、国内あるいは海外、世界経済に対してどういう影響があるのかという
ことは、他の国の例をみましてもなかなかハードデータで確認しづらいとか、ちょ
っとどのぐらいの期間かかるのかがあまりはっきりしないということが、今日の講
演でも申し上げましたけれども、出ています。そういう意味で当然ながら不確実性
は残っているということだろうと思います。まとめますが、非常に大きな前進であ
り日本企業にとっては不確実性が低下したということではありますが、世界経済全
体、日本経済全体にとっての不確実性は引き続き高いというふうに思います。そう
いう意味ではですね、その点を含めて今日の金融政策のパートで申し上げましたけ
れども、常に先行きというのの不確実性はあるわけでありまして、その不確実性が
ある中で一番良いところにポジショニングするというのが基本的な金融政策の考え
方、リスク・マネジメント・アプローチということですので、そういった考え方に
沿って、政策は運営していきたいというふうに思います。
(問)
先ほどの発言の中でもリスク・マネジメント・アプローチという言い方をされまし
たけど、今回のその合意を受けて、上振れ方向のリスクをより意識していくことに
なるのか、まだまだ上下双方向意識していくのか、その 辺りについてお願いします。
(答)
当然これは上下双方向をみていく必要があるということだと思います。まず一般的
に、当然、上方向・下方向のリスクというのは常にあるわけで、前回の展望レポー
トにおいては、経済・物価ともにダウンサイドリスクが大きいという判断をしたわ
けです。これはやはり、関税を巡る、これは日米だけではなくて、各国の交渉とい
うのがあるわけであり、かつ、そのことがどういう経済・物価への影響が出てくる
のかというところに不確実性が高い、その結果として物価にも影響するであろうと
いうことで、4 月の時点では判断したわけであり、少なくとも大きな構図において
は、それが続いているというふうに思います。もちろん今回の合意ということは、
大きな前進だと一番最初に申し上げました通り、特に日本企業にとってですね、不
確実性の低下にはつながるというふうに思いますけれども、引き続きこのダウンサ
イドリスクもみないといけないということだろうと思います。
(問)
関税交渉の合意についてもう一点お伺いしたいんですけども、これまで日銀は利上
げ路線を継続しつつも、政策維持を続けていて、関税の影響というのを強く意識さ
れたと思います。今回の合意によってそうした利上げに向けたですね、大きな障害
が一つ取り除かれたというふうに みていいのか、もっといえばですね、次回会合を
含めてですね、利上げを検討する環境が整いつつある、前向きな評価だというふう
にみてよろしいのかということが一点。
4
すみません、ちょっと話が変わるんですが、先般の参院選で与党が敗北してですね、
野党が選挙期間中に消費税の減税などを訴えたこともあって、今後の財政について
拡張的なですね、思惑というのが広がってる部分があると思います。今後そうした
ですね、物価高対策を巡って、財政 が拡張的な動きになった場合、いわゆる物価が
上振れてしまう、インフレ期待が上がってしまう、財政拡張によるそういう物価の
上振れリスク、インフレ期待が上昇し てしまうリスクについて、副総裁、今どのよ
うにお考えか。この二点お願いします。
(答)
まず前段についてはかなり申し上げていると思いますけれども、展望レポートの見
通し、それから今日の講演も、その線に沿っていますけれども、まず各国間の交渉
がある程度進展するということを前提にして見通しは作っていて、そのもとで、メ
インストーリーとしては、先行きの経済ですけれども、海外経済が減速するもとで
成長ペースが鈍化し、基調的な物価上昇率もいったんは伸び悩むという姿を想定し
ている。そこに通商政策、あるいはその影響ということで、不確実性が高いという
のが示したところですね。その大きな構図に違いがあるわけではありません ので、
引き続きその点を精査しながら、政策は決めていく必要があるというふうに思いま
す。もちろんそれは常にアップサイドとダウンサイドは両方考えないといけないと
いうことではあります。今日申し上げた通りですけれども。今の状況では、これも
午前中申し上げたところですけれども、緩和的な金融環境を維持して、経済をしっ
かりと支えていく必要があるというふうに考えています。もちろん各回の金融政策
運営でどうするのかということについては申し上げません。これはいつも申し上げ
ないということです。
それから財政に伴う物価への影響ということですけれども、これはいろんなルート
があり得ると思いますが、当然、財政拡張をすることに伴って、景気を押し上げる、
あるいは個人消費を支えるという要素にはなり得るというふうに思いますが、個人
消費、今底堅いという状況ではあるということですけれども、緩やかに増加してい
るという判断だったと思いますが、決して強いわけでもないわけですから、そのこ
とに伴って、アップサイドが大きくなるということは、これはもちろん財政規模に
よるので、そこについての条件が 分からない段階においては、申し上げることは難
しいわけですけれども、基本的にはですね、今の状況というのは、個人消費が底堅
いけれどもそれほど強くないという状況で、様々な政策対応、これは消費税減税だ
けではなくて、給付もそうですけれども、いろいろなことが議論されてきていると
いうのが今の現状ではないかというふうに思います。
(問)
二点お願いします。一点目は物価についてなんですが、ご講演の中では、下振れリ
スクが経済・物価ともに大きいと書いてあるんですが、反面、消費者物価指数につ
いては当初みていたよりもやや強めであるということです。物価については、上下
リスク今どうみてらっしゃるのか、前回展望レポート対比では少し上振れ気味なの
か、そこについての確認をお願いします。
5
もう一点は講演の中で、上振れ下振れのリスクに対して最も中立的な立ち位置にと
いうことなんですが、この上振れ下振れっていうのは、例えば物価の上振れが生じ
ていた場合は、それに対応しての利上げがより速やかに行われるべきという局面も
訪れるのか。ちょっとこの中立的な立ち位置というところについてもう少しご解説
頂ければと思います。
(答)
まず後者からお答えすると、それは枠組みの話であって、一般論と考えて 頂いてい
いです。この局面において申し上げているのではなくて、正確に覚えてませんが、
こういう講演というか、地方にお邪魔することになって、一番最初は千葉だったん
ですが、そのときにも確か申し上げたと思いますが、リスク中立的に金融政策を行
うというのは、先行きが不確実なもとにおいては常に必要なことであるというふう
に思いますので、この局面で特に何か方向をふっているというのはむしろ逆になっ
てしまうので、そういった趣旨では全くないということをまず申し上げたい と思い
ます。
そのうえで物価ですけれども、講演でも述べましたけれども、今年度入り後、値上
げの動き、これ米以外にもですね、食料品あるいはごく一部外食ということですけ
れども、に広がってきています。消費者物価は予想よりも強めに推移しているとい
うふうに午前中申し上げたところです。ただこれ個別の品目を細かく予測している
ということでもないんですけれども、先行き、例えば、米価格の上昇などこういっ
たコストプッシュ的な要因というべきでしょうか、こういった要因は、政府による
各種の対応もありまして、いずれ減衰していくというふう にみているわけです。ポ
イントになるのはそこから先、これが基調的な物価上昇率にどう影響するかという
ことが、アップサイド、ダウンサイドに影響してくると、政策に直結するって意味
では一番重要なポイントになってくるわけですが、ここは 、食料品というのは生活
に直結しておりますし、購入頻度が高いということですので、それだけ国民生活に
は影響が大きいということですし、人々の物価に関する見方への影響というのも大
きくなりがちであるということです。これ はアップサイドですね。一方で、物価が
上がることによって消費者マインド、あるいは個人消費にこれは下押しの圧力とし
て働くわけですから、こういったですね、両面ありますので、その影響がですね、
具体的に予想物価上昇率なり、基調的な物価上昇率、こういったものにどう影響し
ていくのかといったところはですね、これから丁寧に みていかなきゃいけないポイ
ントになってくるかなというふうに思っています。
(問)
関税の影響なんですけれども、今回の合意に至ったっていうことも踏まえてですね、
それほどその日本経済に対する影響というのが、4月や5月にみていたときよりも相
対的に影響の度合いが小さくなっているのではないかという見方をお持ちなのかど
うかということをお伺いしたいです。それは言い換えれば、今後の物価の基調は、
いったん伸び悩む期間を想定されているということでしたけれども、その伸び悩む
期間というのが以前よりも短くなっているのではないかというふうにも思うんです
けれども、その辺りのお考えをお願いします。
6
(答)
当然、合意が得られたことに伴って、関税を巡る不確実性は低下したと一番最初に
申し上げたわけであり、不確実性の低下は経済にとってはプラスのものである、そ
ういう意味で望ましいことであるというふうに思います。 そのうえでですけれども、
もともとですね、今の展望レポートの見通しの中で、ある程度という言葉を使って
ますので難しい面はありますが、各国の交渉は進展することを前提にしていたわけ
であって、今回の内容がぴったりどうかということは別にしてですけど、基本的に
はそういう線に沿ったものであるというふうに思いますので、引き続き、先行きは
ですね、いったん、これは世界経済の今後の帰趨にもよりますので難しいところは
あるんですが、世界経済が若干減速をする、若干というか若干かどうか 分からない
ですが、減速をする。それから企業収益に一定の影響はあるということに伴って、
日本の成長率はいったん鈍化し、基調的物価上昇率も伸び悩むという姿になると思
います。もちろん細かい点については今回の内容 を含めて精査したうえで、展望レ
ポートで示していくことになるというふうに思います。
(問)
長期金利の動きについてお伺いします。今日、10年物ですとか、あと40年物なんか
でも国債の利回りかなり急上昇しまして、関税の合意によって投資家の方々のリス
ク回避姿勢が和らいだですとか、あと先ほどもちょっとお話ありましたけれども、
参院選で財政拡張的な主張をする野党が躍進したということ、この辺が影響してい
るのかなと思いますけれども、この長期金利の上昇が実体経済への引き起こす影響
ですとか、あるいは日銀の意図しない かたちで金融引き締め的な方向に進んでいく
ことに対する懸念など何かお持ちでしょうか。
(答)
これもいつものことですが、日々の長期金利あるいは長期金利に限りませんけれど
も、市場の動きについてコメントすることはやっておりませんので控えたいという
ふうに思います。長期金利というものは、経済・物価に関する見方、それを反映し
た先行きの金利のパスの見方ですね、というものに様々な要因によるタームプレミ
アム、リスク・プレミアムを乗せたものということで形成されます。そこに今の段
階では私どもがまだ国債を大量に持っていますので、ストック効果で押し下げてい
るというのが全体の構図なわけです。その過程の中で経済状況とか様々な要因によ
って、ある程度金利が動くということはあるわけであって、これが程度が過ぎれば、
私どもの例外的な事項を発動するということはあるわけですけれども、現時点の段
階においてですね、金融市場において非常に急激な金利上昇が起こっているという
ことではないというふうには思います。ただ、当然のことですけれども、長期とい
うかどの金利に関わらずなんですけれども、中期を含めた金利ですけれども、経済
に対する影響というのはそれぞれありますので、国債市場の動向については今後も
しっかりとみていきたいと思いますし、これまでの考え方に沿って対応していくと
いうことだろうというふうに思います。
(問)
先ほどの質問の時に、今日まとまった関税交渉について日本企業に対する影響は、
かなりいい影響が大きいというお話をされていました。企業に対する影響が大きい
7
ということは、企業収益に対してプラスの影響があって、そうなると賃上げに関し
てもプラスの影響があるのかなという気がする んですが、今日の合意がこの冬のボ
ーナスとか、その先、来年の賃上げに対する影響をどう与えていくのかっていうと
こをちょっと一つお聞かせください。
もう一つなんですが、本日、一部報道でですね、石破総理の退陣情報も流れていま
す。既に参院選の結果で与党は衆参過半数を失って、今後も総理が退陣となると経
済財政政策、政府がどのようにとっていくかの見通しが きわめて不透明になってい
くと思います。国内政治のこういう 不確実性が高まっていく中で、もちろん日銀さ
んとしては政府と協調して金融政策を進めていくと思うんですが、そういう場合は
今進めてらっしゃる段階的な緩和の引き締め、利上げについてはちょっと様子を み
なければならないのか、それとも今、日銀さんの見ている経済・物価の情勢、これ
に従って政治情勢とは関係なく判断が可能なのか、そこら辺を教えてください。
(答)
まず収益への影響あるいは企業の行動への影響という意味では、収益そのものがど
うなってくるかということと、それから不確実性と両方、企業には影響しているわ
けで、少なくとも今回出ているものが、今後の企業行動を決める うえで大きな不確
実性の一つが減少したということは いえるというふうに思います。企業収益にどの
ぐらいの影響あるのかもう少し精査してみないと 分かりませんので、それを踏まえ
て判断したいと思いますが、賃上げについては、今回の講演にも書きましたし、こ
れまでも何回か申し上げてると思いますけれども、基本的にですね、人手不足が厳
しい中にあって、賃上げの動き自体はモメンタムとしてずっと続いているわけです。
その中で例えば今回の中でもリスクとして挙げましたけれども、例えば関税の影響
が非常に大きくなって、その結果として原価低減圧力がサプライチェーンの中でか
かってくるとか、あるいはこれはマインド等を含めてですけれども個人消費に影響
するとか、そういったリスクというのはこれはあるわ けですけれども、今のところ
ですね、メインシナリオとしては、賃上げは続くというのがこれまで私どもが申し
上げてきたことですし、それについては変化はないだろうと 。そういう意味では期
待もありますが、賃上げはこの後も続くだろうというふうに思っています。
それから、政治まわりのところは当然コメントしないということでお願いできれば
というふうに思います。当然のことですが、日本銀行は経済と物価の情勢に応じて、
必要な政策を行っていく。今の言葉で言いますと 2%の物価安定の目標を持続的・
安定的に実現できるように政策運営をしていく ということですし、これも当然のこ
とですが、政府との連携については日本銀行法 4 条で書いてありますので、十分な
意思疎通を図るということを続けていきたいというふうに思います。
(問)
副総裁、先ほどおっしゃったように 、その賃上げの動きが続いていくということが
メインケースであるということであると、今回の貿易交渉が合意に至ったっていう
ことは大きな前進であるということは、今の日銀が みている見通しが実現する確度
が高まったといえるのかどうか、その点がまず一点お願いします。
8
あともう一点、市場の中で今この参院選が終わった後に政府の 方から何らかの財政
拡張政策的なものが出てくるんじゃないかと。その中で日銀が利上げするというの
は、ちょっと方向性が違って難しくなるんじゃないかっていう見方もあります。そ
の点について、副総裁お願いします。
(答)
まず確度についてですが、不透明性あるいは不確実性が低下したと申し上げました
ので、ほぼ定義によりその分下がっている、つまり確度は上がっているっていうこ
とに当然なるというふうに思います。もちろんその程度とか、それから不確実性、
これも最初に申し上げましたが、不確実性といっても二種類あるわけで、そもそも
関税交渉がどうなるかって話と、それからその影響がどうか、別々の話としてある
わけです。関税交渉はどうなるかっていうことについては 、日本、米国の関係と米
国とそれ以外の国があって、そこはまだはっきりしていない。それから実際にその
関税交渉が及ぼす内外経済への影響というのは、これは日本に限ってないんですけ
れども、各国でまだデータ、今のデータだけからはなかなか判断しづらいというこ
とで不確実性は残っている、引き続き大きいということも同時に申し上げているわ
けで、そういった状況にあるというふうに思います。
それから、財政との関係ですが、当然ですが、これは先ほどの答えと同じで、当然
そういうことを全て含めたうえで、財政政策その他のものも全て含めた うえで、経
済・物価情勢があるわけであり、その先行きの見通しがあるわけですから、それに
応じて私どもの物価の安定という目標に従って、政策を進めていくということに尽
きると思います。
(問)
関税交渉の合意の高知県経済に与える影響なんですけれども、先ほどの挨拶の中で
も、高知県経済は内需に支えられた産業構造で、通商政策の直接的な影響は限定的
ということでしたけれども、やはり他県とかに比べれば少なくともそういった かた
ちで影響というのは限定的といえるのか教えて頂けますでしょうか。
(答)
最初に申し上げたところですけれども、やはり内需中心であることはこの高知県経
済の特徴の一つだと思います。そういう意味では、もっとより大きな影響を受けや
すい地域というのは日本の他の地域にあるわけであって、あくまで相対的なもので
すけれども、高知県に対する影響は日本の他の地域に比べれば相対的に小さ い。た
だ全くないと申し上げているわけではなくて、直接的な影響をお持ちの製造業もも
ちろんありますし、それだけではなくて間接的には日本経済がどうなるかで、例え
ば観光っていうのも変わってくるわけですね。ですからそういう意味で影響 が全く
ないということはないので、高知県経済にとってもですね、これは重要な要素の一
つであるということだろうと思います。
(問)
先ほどとちょっと似たような質問にはなるんですけども、改めてその地方への影響
についての質問です。トランプ政権の関税政策については、依然として広い範囲で
9
の影響が懸念されていると思います。そういった中で、高知を含めた地方というと
ころで、地方への影響というのはどのように想定されていますでしょうか。
(答)
これも重なる部分も大きいですけれども、製造業のウエイトが全国に比べれば低い
ということですけれども、当然内需に対して日本経済全体がどういう影響を受ける
のかということが、高知県経済にとっても重要な要素になるというふうに思います。
そういう意味で今のところは、高知支店で行っておりますヒアリングを踏まえまし
ても、影響は今のところ限定的であるということですけれども、先行きの収益等を
心配する声も聞かれているということですので、この点は支店を中心に引き続き、
十分把握していきたいというふうに思います。
以 上