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202 5 年 8 月 29 日
日本銀行
中川審議委員 記者会見
―― 202 5 年 8 月 28 日( 木 ) 午後 2 時から 約 2 4 分
於 下関 市
(問)
二 点ほど大きく お尋ね したいと思います 。 一 点目ですけれども 、 本日の懇談会 、 こ
ちらではどのような意見が出されましたでしょうか 。 どのような議論がなされまし
たでしょうか 。
それからもう 一 点です。 山口県の経済 、 景気 、 これについての現況、それから見通
し 、 この 辺り についてはどのように分析なさっているでしょうか。 その大きく 二 点
をお尋ねできればと思います。
(答)
本日の金融経済懇談会 におきまし て は、山口県の金融 、 それから 経済界 、それから
行政 を代表する方々から、県内経済の現状や課題のほか、日本銀行の金融政策運営
に関するご意見 も 頂き まして 、大変有意義な お 話 を聞くことが できました。ご出席
頂 きました 方々に 、この場を借りまして改めて 御礼申し上げた いと思います 。本日 、
懇談会で は、お忙しい中 皆さま にお集まり 頂き まして、比較的長時間 も 割いて 頂き
ましたので、 話題 も 多岐に わたる もの になりましたので 、 全て を ここで ご紹介する
ことはできません けれども 、席上聞かれ ました 話を整理して申し上げます。まず、
足元 の山口県の景気 、景況 については、全体として緩やかな回復基調 で あると いう
お 声 でした 。 ただ 一方で、少子高齢化 など を背景に して、 人手不足の傾向が 非常に
顕著 に なっているですとか、一部の中小企業 、それから 小規模事業者では引き続き
価格転嫁 においては 厳しい というお声が聞かれまして 、県内企業が抱える経営上の
課題 や そういった 指摘 を する声も聞かれました。 ただ、 この点、デジタル化 など の
生産性 の 向上や、官民の連携 など を通じた多様な人材の確保に向けた お 取り組みも
紹介 して 頂き ました 。また、 アメリカ の通商政策の影響について ですが 、米国との
関税合意に至ったことは前進である一方、以前よりは相当 に 高い関税率 ではある た
め、県内産業には一定の影響があると考えられるとい うご 意見や、短期的なマイナ
スの影響は少ない 、限定 的 と思われるが、中長期 [的 ]な見通しとしては、依然 、 不
確実性が高いといったお話がありました。日本銀行に対しては、世界経済の不確実
性が高い中でも、引き続き 日本の 経済の安定に尽力してほしいといったご要望を頂
戴 致しました 。 これらを踏まえまして、 私どもとし まし ては、各国の通商政策 など
の今後の展開やその影響を巡る不確実性が高い状況が続いていること も 踏まえ まし
て 、内外の経済・物価情勢を丁寧に確認し て 、予断を持たずに 都度 判断していく と
いう ことが重要 であると改めて 考えています。本日お伺いした お 話も踏まえ て 、 2%
の物価安定目標のもとで、持続的・安定的な実現という観点から、経済 ・物価・金
融情勢に応じて適切に金融政策を運営してまいりたいと 思った次第です。
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二つ 目のご質問は、 山口県 の経済情勢 や 見通しについてというご質問でした。 足元
の山口県 経済、 繰り返しになりますが、 緩やかに回復していると いう判断です 。企
業活動をみ ます と、 足元 、 輸送用機械 、こちら の生産は前年を下回ってい ますが 、
製造品出荷額 ウエイト が 最も高い化学 におきましては 、高付加価値品の生産を中心
に持ち直し がみられ 、全体としては持ち直しの動きが続いてい るという評価です 。
また、設備投資につ きましても 、下関支店が 7 月に公表した 当地 の短観結果も ご 確
認 頂けると思いますけれども 、製造業では当地主力の化学を中心に高機能性化学品
や環境対応投資 、こういったものがいくつか 計画されているほか、非製造業で も、
老朽設備の維持 、 更新 の 投資 や、いくつかの前向きな投資が 計画されて いて 、 比較
的 堅調な企業収益の もと で、企業 各社 の積極的な設備投資スタンスが維持されてい
ると いう ふう に 判断してい ます。この間、個人消費 に関して は、 やはり 物価上昇の
影響を受けた消費者の節約志向の動き 、高まりというもののお声も聞きましたので、
こういった動き もみられますが、所得改善効果が消費を下支えする中で、着実に持
ち直してい ると いう ふう に 思い ます。先行きにつ きまして も、積極的な企業の設備
投資スタンスや、所得改善効果を背景とした個人消費の持ち直しが続 くもと で、 こ
の当地 山口県の景気は緩やかな回復が続くと いう ふう に 考えています。もっとも、
先ほど申し上げました ことの繰り返しになりますが 、各国の通商政策の今後の展開 、
それから その影響を受けた海外 含めた 経済・物価 情勢 を巡る不確実性は高い状況が
続いて いますので 、その影 響につ きまして は 引き続き 十分注視する必要があると考
え ます 。
(問)
二点お伺いしたいと思います 。 一点目が 、 本日の挨拶要旨の中で、各国の通商政策
の進展の変化をみるために、次回の短観の結果が大変重要というお話がありました。
10 月には短観の発表に加えて、支店長会議も控えていると思いますが、こういった
利上げを今後判断するうえで、この短観のデータは判断材料として欠かせないもの
なのでしょうか。
二点目が、これもご挨拶の中で、何度か中長期的な予想物価上昇率について、徐々
に上昇しているというお話がありました。 1 月に利上げをされてから、 4 会合連続で
政策金利を据え置いておられると思いますが、アメリカの関税政策の不確実性が続
いてい る中で、利上げが遅れて、今後ビハインド・ザ・カーブに陥るリスクがどれ
ぐらいあるとお考えでしょうか。
(答)
ま ず 、 一点目です。短観は、私ども きわめて 大事な調査だというふうに認識はして
います。こちらみて 頂いた 通り、センチメントや設備投資の計画というものを確認
することができるものです。ただ、常に毎回の決定会合におきましては、その時ま
でに出た、把握できる最大限の情報、特にハードデータを もと にして、私ども判断
していきますし、そちらに短観の調査 、 発表が間に合えば、それも当然織り込んで
いくということですので、ご質問の 直接のお答えになっているかどうか 分かり ませ
んが、短観というものは非常に重要で、その時点において直近の短観の結果という
ものを十分に読み込んだうえで、決定会合を都度、判断していきたいというふうに
考えます。
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それから、中長期の物価予想をみて 頂いた と思いますけれども、ビハインド・ザ・
カーブのリスクについてというご質問だったと思います。こちら今、全体のメカニ
ズムとしては、何度か繰り返しになると思いますけれども、賃金と物価がお互いに
みながら 、双方がゆっくりと上昇していくというメカニズムが働いていく中にはあ
ると思いますけれども、これが例えばヘッドラインのCPI、つまり物価上昇、そ
れが賃金に影響して、そこからサービス価格にまた影響していくという流れが、こ
ういったものの循環が、非常に動きが大きくなって、結果私どもがみている いわゆ
る物価 、 いろんな 物価 指標が 、 これらを 押し上 げる力が加速度的に高く強まってし
まうということを 、 ビハインド ・ ザ ・ カーブのリスクというふうに とらえる のであ
れば 、 そのリスクは今の時点でそれほど高くはないというふうには思っています。
た だ 、 今申し上げた通り 、 循環としては賃金と物価がお互いに参照しながら上昇し
ていくというメカニズムが働いているというふうに は 思っていますので 、 この 辺り 、
今後この急激に基調的な物価 、 あらゆる物価の指標に 、 大きく変えてしまうような
変動が起こるかどうか 、 その可能性にしても十分に注意を払っていかなければいけ
ないとは思っています 。
(問)
足元 で長期金利が上昇していることに関連して一つお伺いします。金利上昇の要因
として、日銀の年内の利上げ観測が復元されてきたことというのも影響していると
思います。こうした市場の見方に関して、中川さんご自身のご認識と整合的なのか
どうか、この点に関して一つお伺いできればと思います。
(答)
今 、 現状の長期金利というものに関しては、基本的には金融市場において自由な か
たち で形成されるものということを考えています。それに沿って、私どもも緩和の
度合いを調節するということを検討し続けてきているわけです。ですので、こうい
ったもの の 、 今の長期金利の上昇というところも、年内の利上げ、ないしは年内と
いう部分を、強調どれほどされるか 分かり ませんけども、市場において経済・物価
に対する見方、それから海外金利の動向 など 、それから場合によっては、海外の金
融政策当 局 者 (注) の方々のご発言や、それを巡る思惑みたいなもので変動するとい
うものと認識しています。
(問)
中川審議委員は、今、利上げができるような環境、 いろいろ なことが起こっていま
すけれども、利上げができるような環境、その確度の高まりというところまで前進
しているというふうに み てらっしゃるのかどうかというの が まず一点。
あと、アメリカで、中央銀行の独立性ということが今話題になっていますけれども、
そのことについて、もし可能であれば、何かコメントということと、中央銀行の独
立性の重要性についてお願いします。
(答)
利上げの環境に関しては、一つ言えるとすると、 4 月の展望レポートから 7 月の展望
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レポートの表現に関して表れていますように、関税政策の影響に関しての不確実性
というのが、 4 月の時に比べると、少し 、 その深い霧の中にあったものが、薄まっ
たかなという程度には、不確実性が少しは下がったかなというふうに思います。そ
の点でいきますと、少しその利上げの環境という意味では、 4 月よりは少し改善の
傾向としては、不確実性が下がったということは言って い い とは思いますが、全体
として経済状況に関していえば、不確実性が高い状態が続いていますので、現在の
金融緩和の状況を、経済のサポートをこの緩和の状態でしていくというのが適切で
ある、というのが現時点における判断でした。
それから二点目の独立性に関しては、今 、 アメリカで起こっていることを踏まえて
話題になっているというのは承知しています。日本においても、独立性は尊重され
ていると思いますし、ただ 、 私 ども は、日本の物価、それから経済の情勢を み なが
ら、適切な かたち で金融調節を行っていきたいというふうに考えていますので、そ
れ においては特段昔と意見は変わっておりません。
(問)
一点お伺いしたいのが 、 今日の午前中の挨拶の要旨の中で 、 先ほどの質問に もあっ
たの ですけれど 、 通商政策の進展の変化を み るために次回の短観結果が大変重要と
いうコメントがあったかと思います。その中で 、 具体的にどのようなポイントに着
目するのか、どのような条件が確認できれば先ほどおっしゃったような利上げに向
けたような環境がある程度整った 、 もしくは進展したと判断できるのか、その 辺り
もう少し詳しく見方をお伺いしたいです。
(答)
おそらく利上げすることの要素を判断するときの 、 要素っていう かたち でのご質問
かというふうに思います。実際には物価上昇率の基調というものを み ていくんだっ
ていうのが 、 日頃から私どもがお答えしている内容ではあるんですけれども、本日 、
展望レポートでお示ししている指標のうち 、 主なものを また今回、 可能な限り 足元
までデータをアップデートして 、 今日お示ししたつもりでおります。こういった中
では 、 一時的な物価変動の影響を受けにくい物価指標というのもいくつかあって 、
そのうちの一つ 、 例えばサービス価格もそうなんですが、加えまして人々の物価観
というもの を示す中長期的な予想物価上昇率、これも重要になりますし、 更に はそ
の物価変動の背後にあります 、い わ ゆ るマクロ的な需給ギャップ、それから労働需
給の環境、それから賃金の上昇率 、 こういったものは全て物価の方への影響 、 ない
しは物価からまた賃金への影響 、 そして結果的には経済への 影響というものを及ぼ
しますので 、 この 辺り を総合的に み ながら都度判断してまいりたいということでご
ざいます。
(問)
先ほど 、 今後の金融政策を み る うえ で 短観 が重要になるというふうにおっしゃって
いたんですけれども、逆に い うと 、 9 月の会合もあると思うんですけれど 、 短観が
出ないうちには利上げがやっぱりまだ待たなきゃいけないというふうに とらえて い
いのかという点が一つ。
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もう一つは 、 日銀としては基調物価がまだ 2% に達していないというふうに み てい
らっしゃると思うんですけれど、 利上げ が遅れることによるリスクをどう み ていら
っしゃるか、この 二点 お伺いしたいです。
(答)
一 点目は年内の利上げに関して 、 年内と限ったときに 、 これに関してということで
すが、こちら繰り返しになりますが、決定会合が何回か予定 、 計画されていますの
で、その都度、その時点までのデータ、ヒアリングデータも含めたソフトデータ、
ハードデータを得て 、 適切に判断していきたいということに尽きます。短観がない
とできませんかという、もし率直なご質問ということであれば、それは直近まで出
ている最新の 短観 のデータをベースにして 、 そこに各支店の 、今日 の下関支店もそ
うですけども 、 支店から集めてくれるソフトデータをそこに加味することによって 、
補った かたち で判断していくということもあり得ると思います。
二 点目は 2% に向けて という ことでしたっけ。 二人 目のご質問に非常に近いと思い
ますけども 、 現時点において 、 賃金が物価を参照しながら少しずつ上がってきてい
るという 、 このメカニズムというものが、かつてに比べれば働いている状況にはあ
ると思います。その点でいきますと 、 い い 循環といいますか、物価と賃金が相互に
連関しながら 、 賃金は毎年物価に合わせて改定していくものなの だという、そうい
うものが慣習 付いたら い いな というふうに思っていたところが、それがある程度実
現しつつあるのかなと いうことにおいては 非常に 良い 傾向だというふうに判断する
べきだと思うのですが、一方で 、 ビハインド ・ ザ ・ カーブをどう定義するかにもよ
りますけれども、今私どもが み ている指標からしますと、賃金と物価が双方に参照
しながら 、 更に ヘッドラインの CPI が賃金に影響するといった先で、サービス価
格の方を含めた 、 こういったものに広がることによって 、 結果的に物価が急速に上
がる力が大きくなる、しかも加速度的に大きくなるというリスクに関しては 、 私ど
も引き続き注意深く み ていかなければならないというのは認識しておりますけども 、
今の時点のリスクとしては 、 それほど大きくないのではないかというふうには思っ
ています。ただ、かつてに比べますとこの循環というもの 、 メカニズムというもの
が動くようにはなっていますので、引き続き いろんな 指標を慎重に み てまいりたい
と思います。
(問)
今日の講演の中で 、物価 についてのところですね 。 ここ数年の上昇は過去と比べて
大きな変化ですというふうにも言及されてると思うんですけども 、 結構 足元 でも
3% 台と高止まりしている中で 、 この大きな変化というのは想定よりも大きいのかな
というふうに思うんですが 、 その辺り 中川委員はどういうふうに受け止められてい
るのか 、 改めてお伺い できればと 。
あと 二点目は、 ビハインド ・ ザ ・ カーブのところと関連するんですけども 、 今 、 米
国を含めて日銀が利上げするべきだみたいな見方というところが強まって い たりも
すると思うんですが 、 こういった状況というのを今どう認識されてるかっていうの
を伺 えたらと思います 。
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(答)
ここ数年 、 やはり予想物価上昇率というものが 、 過去に比べると非常に動きが出て
きているというのを今日お伝えしたつもりです 。 実際 、 皆さんご確認を日々 して 頂
いて いるところもあるかと思います。ただ 、 これまでの賃金上昇の販売価格の転嫁
の動きに加えまして 、 最近では米などの食料品の価格の上昇といったものの影響が
非常に大きくて 、み て 頂き ました通り 、 25 年度の物価の見通しも比較的大きめに上
方修正したところです。ただ 、 今のところ は 資料にも述べましたけれども、これま
でのところ 、 この急激な物価 の 上昇のうちの 米など の食料品価格、この 辺り は上昇
率としては減衰していく、緩やかになっていくだろうということは見通しとして持
っていますので、これを見極めたいというところです 。 想定より大きいかという部
分に関しては 、 見通しの数字を今回大きめに変えましたので 、 この 辺り は 足元 まで
の米価の価格の上昇が 、 以前想定したよりも長引いていることに伴う修正というふ
うに理解して 頂いて 良い と思います 。 加えて 、 これに賃金とか 、 あとは運送費等々
のもう少し間接的な費用の価格転嫁も一部影響してきているというのが み て取れま
す。物価の見通しは 、 今後 、 先行きの景気 、 それから企業の賃金 ・ 価格設定行動と
いう 、 これまでの動きがどの程度続くのかどうか 、 それから国際商品市況なども い
ろんな 環境で 振れます ので、こちらに関しては上下双方向の 不 確実性があるものと
して 、 慎重に引き続き み てまいりたいと思います 。
それから他国の方 の コメントに関して 、 私自身が今この席上で何かコメントする立
場で は ありませんので 、 お答え は 控えさせては 頂き ますけれども 、ビハインド・
ザ・カーブ のリスクはということに関しては、先ほどお答えしましたので重複は避
けさせて 頂き ますが、ただ 、 当然に以前に比べますと物価も動きやすくなっていま
すし、賃金も企業の方のご努力によって比較的高い上昇率を、全部の企業さんでは
ない 、 非常に厳しいところもあるのは承知の うえ ですが 、 マクロの数字で み ますと
比較的堅調な賃金上昇率が数年続いてるところではありますので 、 ビハインド ・
ザ ・ カーブに陥らないように 、 私どもとしては 、 私自身は最大限毎回の会合に向け
て情報収集をした うえ で、都度検討していきたいというふうに 思います。
(注) 会見では 「金融政策当事者」 と発言しましたが、正しくは 「金融政策当局者」
です。
以 上