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日本銀行
金融政策決定会合 における主な 意見
(2026年6月15、16日開催分)1
Ⅰ.金融経済情勢に関する意見
(経済情勢 )
⚫ わが国経済は、 中東情勢の影響もあって 一部に弱めの動きもみ
られるが、緩やかに回復している。 先行きは、原油価格上昇 が
景気の下押し要因として作用するもの の、高水準の企業収益 な
どが経済を下支えするほか、 政府による各種施策 の効果や原材
料の代替調達の進展などから 、伸び率を縮小しつつも、緩やか
な成長を続けるとみられる 。
⚫ AI関連需要の強さなどを背景とした 好調な 企業収益 、賃金の
しっかりとした 上昇 、政府による各種施策や 原材料の代替調達
の進展 など を踏まえると、 景気 の下振れリスクは低下しており 、
わが国経済は 、減速はするものの前向きの循環は途切れないと
いう展望レポートの見通しに沿っ て推移して いる 。
⚫ 世界的 なAI 需要拡大によるデ ィマンドショックで海外経済が
上振れるもと、原油価格上昇に伴う交易条件悪化は緩和され、
景気減速懸念は後退している。
⚫ 企業業績はマクロでみれば良好であり、安定した雇用・賃金環
境と政府の各種施策が、物価上昇のもとでも個人消費を支えて
いる。
⚫ 中東紛争が終結で合意したとはいえ、紛争に起因する供給ショ
ックは、物価の上振れリスクよりも生産・雇用の下振れリスク
の方が大きいと考える。生産・雇用の下振れリスクは、賃金と
物価の好循環を阻み、最悪の場合、長期のデフレから脱却して
1 「金融政策決定会合における主な意見」は、①各政策委員および政府出席者が、金融政策決定
会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長に提出する、②議
長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。
公表時間
6月24日(水)8時50分
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インフレ期に移行したようにみえる日本経済を再びデフレに逆
戻りさせる可能性がある。
(物価)
⚫ 基調的な 物価 上昇 率は、 賃金 と物価が相互に参照しながら緩や
かに上昇していくメカニズムが維持される もとで 、徐々に高ま
っていく とみられ 、2026 年度後半から 2027 年度にかけて 「物
価安定の目標」と概ね整合的な水準 とな ると考えられる 。
⚫ 足もとの消費者物価の前年比は、2%を下回る水準となってい
るものの、企業間取引における やや 速いスピードでの 価格転嫁
が、消費者段階における幅広い品目の価格上昇に波及していく
可能性 があること に加え、予想物価上昇率の上昇を踏まえると 、
基調的な物価上昇率 が2%を超え て上振れ ていく リスクがある。
⚫ 原油価格上昇の影響 が、すでに川中の企業物価にまで波及する
中、企業の価格設定行動が積極化していることを踏まえると、
今後、物価上昇につながるリスクをより懸念する状況 にある 。
⚫ 中小企業の賃上げスタンスは慎重化していない一方、企業間物
価の上昇は既に 明確化しており 、特に物流費の上昇は、基調的
な物価上昇率に影響する おそれ がある。
⚫ 輸入物価 を起点に価格転嫁が早まる可能性が高いほか、 BEI
や長短金利差拡大など、インフレ期待に動意がみられ、実質金
利マイナスによる貸出 やCP発行の 増加、資産価格上昇 の連鎖
が生じている 。
⚫ 企業業績や株価がある程度堅調さを保てば、その効果が波及す
るかたちで物価上昇圧力が持続すると考えている。
⚫ 将来に亘って原油調達先が米国などに分散されるであろうこと
から、原油の調達コストは高止まりするとみられる。
⚫ グローバルなAI関連需要が、想定以上に経済・物価を上押し
している。
⚫ 今後 、原油価格が下がるとしても、海外発のデ ィマンドショッ
クに伴い、石油関連以外も含め物価上振れに広がりが生じる蓋
然性が高い。
⚫ 政府の施策は、特定の財・サービスの価格水準を調整すること
によって、家計の実感に働きかける 効果があるが、 基調的な物
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価上昇率をみるうえではこうした要因を除 く必要がある 。
Ⅱ.金融政策運営に関する意見
⚫ わが国経済は、 中心的な見通しに概ね沿って推移している ほか 、
原油高を起点とする価格上昇の動きが幅広い品目に波及したり、
基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上振
れるリスクがあることを踏まえると、 政策金利を引き上げ、 金
融緩和の度合いを調整することが適切である。
⚫ 前回会合以降、代替調達の進展に加え、戦闘終結に向けた合意
もあり、供給 制約が高まる リスクは緩和したが、中東情勢の帰
趨の不確実性と物流への影響は続いている。物価上昇リスクを
踏まえると、今回、政策金利を調整することが適当である。
⚫ 為替要因からも輸入価格が上昇している。 こうした物価上昇 が
経営負担増となる 企業は中小零細を含め相応にあるとみており、
緩和度合いの調整は以前より適切となっている。
⚫ 政策金利の引 き上げは、企業の設備投資抑制を通じて総需要を
抑制し、インフレ率の低下と生産・雇用の低下を同時に誘発す
る可能性があるため、現時点では見送るべきである。
⚫ 今後の金融政策運営については、 基調的な物価上昇率が2%に
近づいている 中、現在の金融環境が緩和的であることを踏まえ
ると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引
き上げ、金融緩和の度合いを調整していくこと が適当である 。
⚫ 今回の政策金利の引き上げ後も、金融環境は引き続き緩和的で
あると考えられるため、 経済・物価が見通し通りに推移すれば、
利上げを 進めていく という これまでの 方針を維持すべきである 。
⚫ 先行きの金融 政策運営 方針 にある 「実質金利が きわ めて低い水
準にある」という表現は、今回の政策金利の調整と、 中立金利
の推計のばらつき など を踏まえ、修正することが適当である。
⚫ 米欧と異なり 、わが国の政策金利は中立金利の 推計 レンジを下
回っているが、上下両睨みで機動的な政策判断が行えるよう、
可能な限り早く 中立金利に近付けていく必要がある。
⚫ 急激・大幅な利上げを避けるには、政策金利を中立金利に早め
に近づけるべきである。 中立金利は2%程度と考えられ、 これ
を念頭に 数か月に 一度のペースで 、経済・物価・金融情勢を確
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認しつつ、都度、検討していく ことが望ましい 。
⚫ 国債買入れの減額が進捗するもとで、国債市場の機能度は着実
に改善してきている 。一方、 本邦投資家が、国債保有を無理な
く増やしていくためには、 ある程度の時間を要すると考えられ、
従来と同様の減額を継続した場合には、市場の安定に不測の影
響を及ぼす可能性がある。こうした点を考慮すると、 来年 4月
以降は、国債買入れの減額を停止することが適切である 。
⚫ 国債買入れの減額を停止 したとしても、買入れ額は 国債発行額
の2割以下にな ることから 、 「長期金利は市場で自由に決まる」
という市場機能を阻害することはないと考えら れる 。
⚫ 日本銀行 の買入れ減額により、国債市場に 歴史的な 供給圧力が
生じている。市場機能も急速に回復し、長期・超長期ゾーンの
実質金利も海外並みとなる中、来年 4月以降の減額停止が妥当
である。
⚫ 現在の買入れ減額 のスキームは今年度末で取り止め、来年度以
降は、ひと頃よりは縮小した買入れ規模を保ちつつ 保有国債の
償還を安定的に進めるフェ ーズに入ってよいと考える。この場
合も、今後数年間は、償還額が買入れ額の2倍はある状況が続
く。やや長い目で償還額が縮小していく際には、国債の買入れ
年限がより重要になると考える。
⚫ 長期国債の買入れ計画については、 ストック効果を通じた長期
金利の押し下げ効果をなるべく維持する観点で 、減額停止が妥
当である 。
⚫ かつての 大規模な国債買入れの目的は金融緩和であり、現在の
環境でその必要はない。国債市場に混乱は生じておらず、買入
れ額の減額を停止すべき理由は全くない。 国債買入れの狙いが
財政ファイナンスや長期金利の引き下げと市場に受け取られる
と、市場にバイアスを与え、 日本銀行 の信認に悪影響を及ぼす
ことになりかねない 。
⚫ 国債買入れ の減額を停止しても、買入れる国債の平均年限等が
変わらない場合、発行残高に対する日本銀行の保有比率は 、い
ずれ満期償還により かなりの 水準 まで圧縮される。
⚫ 減額を停止した場合でも、毎月、償還が続くことなどから、日
本銀行のバランスシートが着実に縮小していく点は、対外的に
しっかりと説明することが望ましい。
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Ⅲ.政府の意見
(財務省)
⚫ 日本銀行には、政府との緊密な連携のもと、2%の物価安定目
標の持続的・安定的な実現に向けた適切な金融政策運営を期待
する。
⚫ ご提案については本会合で適切にご判断いただきたいが、政策
金利の変更については、市場等に丁寧に政策趣旨を説明し、今
回の変更が経済・物価に与える影響等を丁寧に点検していただ
きたい。国債買入れについては、市場動向を注視し、必要に応
じて機動的な対応をお願いしたい。
(内閣府)
⚫ 今回の利上げにつき説明責任を果たすとともに、過度な景気変
動が生じた場合には主体的かつ適切な対応が重要 である 。今後
の成長型経済への変化が重要であり、マクロの需給動向と物価
の関係の慎重な確認が必要 である 。
⚫ 国債買入れについては、バランスシート縮小がもたらすマクロ
的な影響の確認、市場安定のための適切な対応が必要 である 。
⚫ 以上を含め、高市内閣が進める危機管理投資・成長投資等の取
組につき理解の上で適切な政策運営を期待 する。
以 上