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日本銀行
金融政策決定会合 における主な 意見
(2026年9月17、18日開催分)1
Ⅰ.金融経済情勢に関する意見
(経済情勢 )
⚫ わが国経済は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみ
られるが、緩やかに回復している。先行きも、中東情勢の影響
が下押し要因となるものの、グローバルなAI関連需要の増加
に加え、政府による各種施策等が経済を下支えすると考えられ
るため、緩やかな成長を続けるとみられる。
⚫ 4~6月の GDP の内需の数字 がやや弱めだったの は、特許権
の海外売却や給食無償化などの扱いの技術的要因によるもの と
考えられる 。全体としては、概ね7月の展望レポートで想定し
た範囲で経済も物価も推移しており、どちらかといえば景気 の
下振れ より物価 の上振れ が気になる状況が続いている。
⚫ 4~6月の実質GDP成長率は増加したものの、 内訳をみると、
国内需要はマイナスで、外需 はプラスではあったものの、中東
情勢に伴う供給制約から輸入が減少したことによって押し上げ
られた結果にすぎず、健全な形で経済が力強く成長していると
はいえない 。
⚫ 世界的 なAI 需要拡大等を受け、 景気減速懸念が後退するもと、
物価上昇圧力の高まりとそれに伴うインフレ期待底上げやグ
ローバルな利上げ局面への転換など、 わが国 を取り巻く金融環
境に大きなレジーム転換が生じており、その 確度 はここ数か月
で強まっている 。
1 「金融政策決定会合における主な意見」は、①各政策委員および政府出席者が、金融政策決定
会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出
する、②議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したもの
である。
公表時間
10月1日(木)8時50分 2
(物価)
⚫ 基調的な物価上昇率は、賃金と物価が相互に参照しながら緩や
かに上昇していくメカニズムが維持されるもとで、徐々に高ま
っていくとみられ、 2026 年度後半から 2027 年度にかけて「物
価安定の目標」と概ね整合的な水準となると考えられる。
⚫ 基調的な物価上昇率は、2%にかなり近づいている。関連する
指標の中には2%を超えるものも、下回るものもあるが、これ
らの分析から2%に達しているかどうかを判定することは難し
く、むしろ、2%付近にあることを前提に、 どのように すれば
2%にアンカーさせられるかを議論すべきである。この点、今
後の物価動向と、それを受けた賃上げの動向に注目している。
⚫ 基調的 な物価 上昇率 は概ね2%に達している。前回会合以降の
物価の推移を みて、その考えを一層強くした。
⚫ 包装材・食品トレーなどの価格上昇に加え、最近の物流費の上
昇加速は、企業の価格転嫁を容易にし、今後の最終消費財の値
上げを後押しすることが見込まれる。
⚫ 中東情勢の影響について、当初懸念されていた景気の大幅な悪
化は 、石油 備蓄の利用や代替調達の進展もあって生じていない
一方、輸入価格の上振れなどから物価上昇リスクが大きい状況
が続いている。
⚫ ごく最近の情勢を踏まえると、原油価格が高止まりすることも
念頭に 置いて、先行きの物価見通しを検討する必要がある 。
⚫ 消費者物価のうちサービス価格の前年比は、これまで徐々に上
昇してきているが、このところそのペースは概ね変わっていな
いと考えている 。また、 個人消費は低調な推移が続いている 。
⚫ 消費者物価の前年比は、緩やかに上昇してはいるものの、政府
の施策の効果もあって、除く生鮮食品、除く生鮮食品・エネル
ギーのいずれについても、 足もとは 1%台後半に 止まって いる。
Ⅱ.金融政策運営に関する意見
⚫ わが国の経済・物価は、中心的な見通しに概ね沿って推移し、
基調的な物価上昇率が2%に近づいている中、金融環境が緩和
的な状態にあることや、物価の上振れリスクに留意する必要が
あることなどを踏まえると、政策金利を引き上げ、金融緩和の 3
度合いを調整することが適切である。
⚫ ①経済 ・物価情勢は概ねオントラックであること、②利上げの
タイミングの基準とした中東情勢・ AI 需要・為替相場は、引
き続き物価上振れ要因として意識せざるを得ないこと、③金融
環境は、前回利上げ後も大きな変化はみられず、緩和の領域に
あると思われることから、利上げが適当である。
⚫ 市場では、様々な要因が利上げの材料として取り上げられてい
るが、 今回の 利上げはわが国の経済・物価・金融情勢を踏まえ
たものである点、明確に説明する必要がある。
⚫ 6月から3か月後の利上げということで、実現すれば従前より
利上げの間隔が短くなるが、想定より経済が底堅かっ たためで
ある 。
⚫ 消費者物価の前年比が2%を下回っており、足もとの経済の状
況も、 必ずしも強いとはいえない状況にあることを踏まえると、
今回の決定会合では政策金利を据え置くことが望ましいと考え
る。
⚫ 経済・物価情勢が、現時点ではこれまでと比べて大きく加速し
ている状態にはないと考えられるもとで、このタイミングでの
利上げは適切ではないと考える。
⚫ 今後の金融政策運営については、基調的な物価上昇率が2%に
近づいている中、現在の金融環境が緩和的であることを踏まえ
ると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引
き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適当である 。
⚫ これまでは、基調的な物価上昇率が2%より低いとみられる 中
で、それを上昇させることが政策の狙いだった が、現在 は、基
調的な物価上昇率が2%に接近しつつあるため、それが 2%の
「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクが顕在化し、
その後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう、基調的な物価
上昇率を2%程度の水準で安定させていくという観点が重要に
なってい る。 その意味で、 政策の局面が変化したと考えている。
⚫ 従来の基調的物価の上昇を促すスタンスから一転し、海外環境
や物価状況に応じた機動的対応を通じ て、物価上振れを防ぐ意
志を市場に示し、 為替 市場を通じた影響 にも配慮する必 要があ
る。
⚫ ①物価が今後も2%目標と整合的に推移し、 ②金融環境が依然 4
緩和的であれば、引き続き、利上げによって緩和度合いを調整
する必要がある。物価上振れの兆候が みえれば、そのペースを
速めざるを得ない。
⚫ 今後の政策運営については、 経済・物価の想定外の動き や環境
変化に柔軟に対応できるよう、政策金利を早めにおおよその
ゴールに近づけて、 上下双方向に機動的に動けるよう な状況に
しておく こと が望ましい。
⚫ 基調的な物価上昇率は、ほどなく2%に達することが見込まれ
る。ビハインド・ザ・カーブに陥るような加速感はなく、慌て
る必要はないが、物価が 過度 に上昇を続けないよう、適切な政
策運営を進めるべきである 。
⚫ 今後の利上げを判断する際には、中立金利の推計レンジ を念頭
に置く ことも重要である が、物価上昇リスクが相応にあること
を踏まえれば、過度に慎重になることなく、一方で分析の視野
を広げ解像度も上げながら、引き続き適時に対応するべきであ
る。
⚫ 海外動向によっては、中立金利が事前の推計値や市場の見込む
水準から上振れる可能性もある。先験的に中立金利を志向する
のではなく、利上げ ごと に企業・家計や金融機関の行動や金融
環境等を通じて緩和度合いを見極める必要がある。
⚫ 金融環境の評価には企業の声が重要である。現状、これまでの
利上げや当面の更なる利上げに伴う影響は 限定的 との声が大半
であり、金利負担から設備投資を控えるとの声は ごく 一部に止
まる。 需要 に働きかけて 物価を安定させることが利上げの目的
であり、今後も、様々な声を総合的に勘案し、全体として緩和
度合い を判断することが求められる。
⚫ 金融環境は依然緩和的な状況にある。これまでの緩和が資産価
格を通じて緩和効果を増幅している面もある。
⚫ 市場参加者とのコミュニケーションに当たっては、金融政策に
対する織り込みが一方向に進まないよう、丁寧に実施していく
必要がある 。 5
Ⅲ.政府の意見
(財務省)
⚫ 日本銀行には、政府との緊密な連携のもと、2%の物価安定目
標の持続的・安定的な実現に向けた適切な金融政策運営を期待
する 。
⚫ そのうえで、政策金利変更のご提案については、本会合におい
て適切にご判断いただきたいが、市場等には丁寧に政策趣旨を
説明していただきたい 。
⚫ また、今後の金融政策運営に向けては、今回の変更が経済・物
価に与える影響等を丁寧に点検していただきたい 。
(内閣府)
⚫ 日本銀行 には、今回の決定につき説明責任を果たすとともに、
既往の利上げが累積的に与える影響について十分点検していた
だきたい。今後は、 日本銀行が推計した中立金利も踏まえて検
討していく必要があるのではないかと考えている。 景気や市場
に過度な変動が生じた場合は 日本銀行 の主体的かつ適切な対応
が重要 である 。
⚫ 日本銀行 には政府と緊密に連携し、2%の物価安定目標の持続
的・安定的な実現に向け、適切な金融政策運営を期待 する 。
以 上