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鈴木審議委員記者会見(12月2日)要旨 [PDF 315KB]

SPEAKER記者会見(12月2日)要

PUBLISHED03/12/2021, 00:00:00
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2021年12月3日

日本銀 行

鈴木審議 委員 記者会見要 旨

―― 2021年12月2日(木)

午後2時30分から約30分

(神戸市・東京間オンライン開催)

(問) まず、午前中、兵庫県の経済界の方の意見を会合で聞かれて、どのよ

うな印象を持たれたかということと、今コロナも色々言われておりますけれど

も、兵庫県の今後の経済について、見通し をどういうふうにみておられるか、

二点お願いします。

(答) 本日の懇談会では、兵庫県の行政、経済界、金融界を代表する方々か

ら、当地の経済・金融の現状と課題についてのお話や、日本銀行の金融政策運

営に関する貴重なご意見を頂き、大変有意義な意見交換ができました。この場

を借りて、改めて御礼申し上げたいと思います。懇談会では、多岐にわたるお

話を伺いましたので、全てをご紹介することはできませんが、私なりに席上で

伺ったことを整理して、印象・感想を申し上げたいと思います。

まず、兵庫県の経済情勢について、9 月末に緊急事態宣言が解除され

て以降は、厳しい業況が続いていた宿泊・飲食など対面型サービス業を含め、

全体として持ち直しの方向にあるとのお話を多く頂きました。もっとも、先行

きについては、最近の原材料価格の高騰や人手不足、更には感染症の再拡大、

わずか数日前からオミクロン株ということで世界は動いているわけですが、こ

うした影響を懸念される声も少なからず聞こえたところです。また、金融界の

方々からのお話では、日本銀行の強力な金融緩和措置、とりわけ新型コロナウ

イルス感染症対応金融支援特別オペ、これを活用した当地金融機関の積極的な

貸出が、当地企業の資金繰り支援の一助となっているとの認識がありました。

他方、当面の資金繰りの改善に効果を挙げてきた実質無利子・無担保融資につ

いては、感染症の影響が長期化しつつあるもとで、将来的な返済負担を懸念す

る声も聞かれたところです。私どもとしましても、こうしたご意見も踏まえつ

つ、兵庫県の金融経済情勢について、今後も神戸支店を通じて、きめ細かいモ

ニタリングを続けていきたいと考えています。このほか、兵庫県における人口

減少や新たな産業育成などへの取り組みについても話題となりました。この点、

行政、経済界、金融界が連携し、魅力ある雇用環境の創出や人材教育・育成に

中長期的に取り組むことが重要であるとの認識が共有されていたと思いま す。

次に、兵庫県経済の現状と見通しですが、兵庫県の景気は、足許「新

型コロナウイルス感染症の影響が引き続きみられているものの、輸出や生産が

牽引するもとで、全体としては持ち直している」と認識しています。阪神工業

地帯など全国屈指の生産拠点を擁する製造業では、海外経済が回復する中で、

多くの地域向けで輸出が増加しているほか、生産についても、輸送機械などで

は供給制約の影響を受けているものの、高い操業を続ける素材産業や生産用機

械等の増加から、全体としては緩やかな増加基調を続けています。また、設備

投資は、企業収益が改善するもとで、研究開発投資やソフトウェア投資に積極

的に取り組む先が多く、 堅調に推移しています。 この間、 個人消費については、

9 月末に緊急事態宣言が解除されて以降、百貨店の来店客数が増加しているほ

か、ホテルや温泉旅館などでは兵庫県の観光支援事業、県民割を利用した宿泊

予約が増加するなど、持ち直しの動きがみられています。先行きにつ いては、

全国と同様、当地においても、当面は、感染症による下押しの影響がなお残る

とみています。もっとも、足許感染抑制と消費活動の両立を図る取り組みが進

められている中、今後人々の感染症への警戒感が和らいでいけば、個人消費が

一層持ち直し、緩やかな増加基調を続ける製造業と相俟って、当地経済は回復

していくと期待されます。

(問) 他の地域でもそうだと思いますが、神戸では、特に人口減少について

深刻に受け止めている経営者なり産業界の方が多いと思います。人口が少なく

なり、どうしても市場が小さくなって、そんなところで商売をしてどうなるか

というような、諦めにも似たような声も聞かれる中ですが、一方で、人口が減

るということと一人当たりの所得が増える、増減するということが、必ずしも

関係があることに思えないこともあり、金融がご専門のお立場から、人口減少

についてどのように思っているか、お聞かせください。

(答) 日本の場合には、1990 年代頃から労働力人口が減少し、ちょうどそれ

と合わせてGDPの成長率が低下し、そのきっかけにもなった土地の価格の下

落といったことがあったわけです。政府の様々な取り組みもあり、いつまで人

口減少が続くかは断定できませんが、傾向としては人口の減少が続いていかざ

るを得ません。これは日本に限ったことではなく、中国も人口減少や高齢化が

進んでいくだろうということになっていますし、経済成長をある程度遂げてき

た国にはそうしたことが必然として出てくるということだろうと思います。そ

うした中、高度成長期以降のわが国においても、かつては日本の中で物を作っ

て海外に輸出するということが中心で国としては頑張っていたわけですが、そ

の後多くの会社が海外に出て行って、海外で部品を調達し、物を作り、海外の

方々に売るということで、人口が減ることによって商売の範囲が狭まるという

ことではありませんので、より世界に市場を拡げて、そこで稼いでいくという

ことが、今までもありましたし、これからもあるということだと思います。

それから、岸田政権においても、あるいは安倍政権のときでも、賃金

がなかなか上がらないということで、簡単なことではないわけですが、賃金を

上げていこうという取り組みをこれから続けていく中で、デジタライゼーショ

ンやグリーントランスフォーメーションといった様々な変化があります。こう

した中で、やはり賃金に関しては、まず企業が儲かって、様々な投資を行った

うえに、賃金を増やしていき、一方で、労働者の観点からすれば、デジタル化

などの流れが変化する中において、より個々人の労働者としての付加価値が高

くなるということで、 個人が勉強する、 あるいは企業がサポートして勉強する、

あるいは北欧のような形で国が支援しながらやっていくことで、少ない人口で

も生産性が上がるということで、従来以上の生産力があって、かつ個々の労働

者の付加価値が高まることによって賃金が上がるといったことを、口で言うの

は簡単ですが、うまくやっていくことが必要なのではないかと思います。

(問) 午前の講演で、時間の経過とともに金融緩和の副作用が累積している

ことに十分な注意を払っていくべきだとおっしゃっておりました。審議委員に

ご就任されてから 4 年半ほど経っておりますけれども、この間、金融情勢は変

化してきましたし、一方で副作用に配慮した政策修正というのも施されてきた

かと思います。こうした時間の流れを踏まえて、副作用への警戒度は就任の当

初よりも強まったのか、あるいは政策修正によって警戒の必要性は幾分薄まっ

たのか、時系列でみたご認識の変化をお聞かせください。

(答) まず、現状の金融システムについての評価ですが、わが国の金融シス

テムは、新型コロナウイルス感染症が、引き続き国内外の経済・金融面に大き

な影響を及ぼすもとでも、 全体として安定性を維持していると思います。 また、

先行き、感染症の再拡大や米国長期金利上昇に伴う国際金融市場と新興国経済

の調整といった状況を想定しても、相応の頑健性を備えていると評価できます。

もっとも、仮に国際金融市場が大幅かつ急激に調整する場合には、金融機関の

経営体力が低下して、金融仲介機能の円滑な発揮が妨げられ、実体経済の一段

の下押し圧力として作用するリスクがあります。こうした観点からは、特に国

内外の景気回復の遅れなどに伴う信用コストの増加、金融市場の大幅な調整に

伴う有価証券投資関連の損益の悪化、ドルを中心とする外貨調達の不安定化に

注意が必要です。現時点では、政府や日本銀行による積極的な政策対応もあっ

て、こうしたリスクは大きくないと判断していますが、今後とも金融システム

の状況を予断なく点検していきたいと思います。

ご質問では、 時系列を追ってというお話だったかと思います。 私自身、

日本銀行に来て 4 年数か月ですが、人口の減少であるとか、日本が全体として

低成長であるとか、企業数が減少するとか、そういった中において、経済の状

況に応じて金利体系も決まっているわけですが、金利は低いままの状況にあり、

この4年間でみても、新型コロナウイルス感染症の影響もありますが、そうで

なくとも預金の増加の方が大きいということで、いわゆる預貸率、預金と貸出

の比率は悪化し続けてきていました。貸出のスプレッドであるネットの預貸利

鞘は、緩やかに低下し続けている状況です。そして企業の資金需要は、基本的

に内部留保が高まっていく状況の中で、海外における資金需要は多かったとし

ても、国内においては必ずしも多くない状況ですので、金融システムとしての

構造的な問題、脆弱性といったものは変わっていないと思います。そうした中

で、約2 年前には、 新型コロナウイルス感染症により、 金融機関の経営者にとっ

てみると、リーマン危機を上回るような信用コストが発生するのではないかと

おそらく警戒していたと思います。それに対して政府および日本銀行の対応な

ど様々なことによって、結果としては、昨年に続いて今年も上半期まで金融機

関の決算は、大手銀行、地域金融機関そろって、概ね好調な内容になっていま

すので、金融システムとしては、今現在は少し安定性が増したということだと

思いますが、 構造的な問題は変わっていません。こうした状況が長く続く中で、

金融機関自体が様々な形で変化していかなければ金融システムの安定 維持は

難しいですし、私なりにいつも申し上げているように、金融システムの安定が

ないと経済・物価の安定が損なわれる可能性がありますので、注意していく必

要があると考えています。

(問) 来年の 7月に任期満了を迎えられますけれども、もしかしたら今回が

最後の記者会見の機会になるかもしれないので伺いたいのですが、ボードメン

バーとして日銀の意思決定に関わられてきましたけれども、就任前に抱いてい

た日銀のイメージと比べて、何か発見があったこと、印象に残っていることな

ど、この4年半ほどの在任期間を振り返ったご所見をお聞かせ頂きたく思いま

す。

(答) 40 年間、民間の金融機関にいて、一般の方と比べれば日本銀行を訪れ

る機会があり、日本銀行の役職員と接する機会もあったということですし、一

方では過去に審議委員をやられていた方 など様々な方から前もって教えて頂

いたこともありますので、そうした意味において想定の範囲内だったというこ

とです。個人的には 2017 年 7 月に就任して、当時は景気も非常に順調な状況

で、除く生鮮の消費者物価上昇率も、確か着任時が0.4%、毎月上昇して、2018

年 2月には 1%に達していました。結果的には、その後、0.7%と 1%の間を行

き来しながら、その後は残念ながら下降していくわけですが、そうした中にお

いて、1%をみた段階から、2%には遠かったにせよ、例えば米国が前回利上げ

しているのは 1.3%くらいの物価からですので、ようやく金融政策の正常化に

向けた議論ができる可能性があるのではないかと期待した時期もあり ました。

世の中、様々なことが起きるのが常なわけですが、様々なことがあって、現在

に至っているということです。日本銀行の政策委員会では、きわめて活発な議

論を行っており、様々な意見の方がおられて、様々な議論において、健全に議

論していると思いますが、世の中の様々な事情があったにせよ、結果的に日本

経済、金融経済、物価情勢が必ずしも良くなることなく任期を終える可能性が

高いということについては、残念に思うところです。

(問) 新型コロナウイルスの新たな変異株であるオミクロン株の影響の見極

めに当たって、景気への影響と企業の資金繰りへの影響というのは異なってく

るのではないかと考えるのですが、鈴木委員はどうお考えでしょうか。

これとも関連して、今年夏場に感染が急拡大した際には、一部の業種

を除いて大企業を中心に追加の資金需要というのが拡がりをみせず、むしろ前

倒しで調達した資金を返済する動きの方が目立っていました。今後、先行き再

び感染が急拡大しても、大企業を中心に資金繰りに大きな影響が生じないと判

断した場合には、講演でも言及があった非効率な事業の存続という副作用にも

配慮して、鈴木委員としては、新型コロナ特別プログラムについて、全部、も

しくは大企業の資金繰り支援策である社債・ CPの積極的な買入れについて、

来年3月に終了するのが適切とお考えでしょうか。

(答) 新型のオミクロン株というものの景気への影響、あるいは資金繰りへ

の影響は、まだ誰にも分からないことだと思いますが、基本的に経済・物価の

見通しについて、直近の展望レポートと基本的な見方は変わっていないと思い

ます。デルタ株のときもそうですし、オミクロン株もそうですが、これ自体が

実際にどのような内容かは、今分かりつつある状況ですので、それ次第によっ

てどうなるかということで、世の中は何でも不確実ですが、これほど分からな

いものはありませんので、よくみていく必要があると思います。個人的な印象

とすると、 昨年、 デルタ株が出てきた際に、 世界的にニュースが出てから、 様々

な国で感染が確認されるまでには、結構時間がかか っていたと思っています。

今回は世界で情報が出てから、わが国を含めて、多くの先進国で直ちに感染者

の報道が出るということで、少なくとも感染の拡がり のスピードについては、

非常に警戒すべきであるということで、その辺の下押しの圧力については、慎

重にみていきたいと思います。

来年3 月末に期限を迎えるいわゆる特別プログラムについては、現時

点では方針を決めていないというのはご案内の通りです。感染症に伴う予備的

な流動性需要に落ち着きがみられるもとで、企業を取り巻く金融環境は、全体

としては改善しています。特に、大企業の資金調達環境は、先ほどのお話にも

あったように、CP・社債市場で信用スプレッドが縮小するなど、良好な発行

環境となっているほか、 貸出市場でも、 借入金を返済する動きが続いています。

中小企業の資金繰りも、総じてみれば改善傾向にあります が、ご案内の通り、

対面型サービス業など一部の中小企業には、なお厳しさが残っているところで

す。こうしたもとで、民間金融機関は、本年3 月末に無利子・無担保融資の新

規申込みが終了した後も、通常の貸出運営などを通じて、取引先中小企業の資

金繰り支援を行っていると認識しています。来年4 月以降の特別プログラムに

ついては、12月の短観を含めて、企業金融の動向を点検した上で、適切に判断

していきたいと思います。そうした中で、ご質問の中にもありましたが、夏場

の感染拡大が起きた際にも、 資金繰りに関しては、 悪化していくというよりは、

若干改善するといったことがありましたが、これは十分前倒しで対応されたこ

とが出ているのかもしれませんので、そういったこともみていく必要があると

思います。一方で、不確実性はいつまでも続くものですが、こうした緊急時の

対応はどこかで必ず止めることになりますし、メリハリも必要であるというこ

とです。先ほども申し上げましたが、これを始めた当初は本当にどうなるのだ

ろうかという不透明感で大変な状況で、信用コストがどれくらいになるかとい

うことや、感染症自体がいつ終わるのか全く分からない、すなわちキャッシュ

フローがいつ回復するかわからないということは、金融機関からすると審査・

与信判断のしようがなかった中で、政府の支援と日本銀行の特別プログラムが

不可欠だったということです。その後、ワクチンや薬も進み、状況についても

ある程度は分かってきているということが第一にあるかと思います。ご案内の

通り、 日本の金融機関全体として、いわゆる預貸率が約6割程度ということは、

4 割はお金が余っているということです。日本銀行からの資金供給、すなわち

借入れが百数十兆円ある一方で、余っていて日本銀行に預けている日銀当座預

金が五百数十兆円あるということで、流動性において何の問題もないというこ

とですので、通常の銀行業務の中でお客様のことを支援していけばいい。コロ

ナオペには、いわゆるインセンティブ、付利がついているということです が、

そういうものがなければお客様を支援しないということは金融機関にはない

と思いますので、期限通りに止めるという考え方もあると思います。しかしな

がら、今回オミクロン株が来年 3 月までの間にどのような状況になるかという

のは、おそらく感染症の専門家の方においても現時点でまだ予想ができません

ので、不確実性が非常に不透明に漂っている際には、もうしばらく延長してお

くべきといった考えもあると思いますので、そういったことを近いうちに議論

していくことになると考えています。

(問) 今の質問に関連して、大企業の資金繰りが改善しているという現状が

あるわけですけど、社債・CPの買入れについては、市場機能とか年金などの

運用に与える影響への懸念も聞かれています。その点については、鈴木委員は

どのようにお考えでしょうか。

(答) 社債・CP市場については、 発行の環境やレート、 投資家の動向といっ

た全体感からすると、昨年の春先のような状況からは大きく改善して、それが

継続しているという状況にあると考えています。一方で、ご質問にあったよう

な年金や保険会社といった投資家の方々からしてみると、一部、日本銀行の買

入れによって、スプレッドがかなり縮小しているといった声もありますので、

基本的には、市場の動向、それから資金繰りの動向をみて、これから判断して

いくということだと思います。中小企業向けでのコロナオペよりは、その辺が

もう少しはっきりしてくるのではないかと個人的には考えています。

(問) イールドカーブについてお伺いします。現在のYCC政策における

イールドカーブについて、3 月の政策点検では、コロナ禍においては低位安定

が大事、優先するとしています。今後、コロナの影響が落ち着いてきた場合、

イールドカーブの形状は、長期金利を含めて、現在よりスティープ化すべき、

あるいは長期金利は上下 0.25%の範囲でもっと上昇することが適切かどうか、

コロナ後のイールドカーブについてのお考えをお願いします。

(答) 申し上げるまでもなく、イールドカーブ・コントロールは、短期政策

金利を-0.1%とし、10年国債の金利をゼロ%程度でコントロールするもとで、

3月時点で明確に上下0.25%程度ということを申し上げてきています。従って、

平均的にはゼロ%程度という中において、それが上がっていくか下がっていく

かによって、イールドカーブがスティープ化するかフラット化するということ

ですが、その部分というのは、日本銀行が政策的、意図的にコントロールする

というよりは、内外の経済情勢によるものであると考えています。わが国にお

いても、今は新しい変異株などがありますが、そういった不透明感がなくなっ

てきて、経済・物価情勢が良くなってくる場合には、長期金利が上がっていく

可能性があるでしょうし、あるいは米国がテーパリングを早める、利上げの観

測も前より早まっていたりしますが、そういった形で長期金利が上がってくる

ということになれば、投資家の活動によって、日本の国債を売って、海外の国

債を買うというような動きが出れば、その分、長期金利が上昇することになり

ますので、あくまで±0.25%という中において、経済・物価情勢や投資家の動

向によって変動することは十分にあり得ることだろうと思います。

(問) 本日、午前中の講演でも取り上げていらっしゃった気候変動対応オペ

ですが、金融面では市場中立性への配慮が重要で、気候変動対応融資を金融機

関の判断に基づいた融資にバックファイナンスするので、そういう中立性は保

てるのだというご解説だったかと思いますが、気候変動に対する投融資に日銀

がバックファイナンスすること自体が中立的ではないのではないかという疑

問があったりするのですが、どのようにご説明になっていらっしゃるのでしょ

うか。

(答) 先ほども申し上げましたが、日本銀行から金融機関への融資、バック

ファイナンスというのは、コロナオペが 80 兆円くらいで、そのほか全部合わ

せて百数十兆円あります。今回の気候変動対応オペは、資金供給といってもゼ

ロ%ですので、そんなにインセンティブがあるということではないですが、例

えば気候変動対応に物凄く大きなインセンティブがあるような形で資金供給

を行うとすると、中立性に関して疑義が生じる可能性があるかと思います。あ

るいはグリーンなファイナンスであれば有利なものだが、ブラウンなものはだ

めにするとか、そういうことをすると中立性に影響がありますが、金融機関で

は今TCFDなどがあり、グリーンボンドにも様々な国際的な基準があります

ので、それらに基づいて判断されたものについてバックファイナンスをさせて

頂くということで、ある意味で金融機関を通じて気候変動問題への関心を広め

ていこうという内容ですので、中立性に大きな疑義が生じるような取り組みに

はならないと考えています。

(問) 全て金融機関の判断に任せるということであれば、普通のオペと変わ

らないのではないかという気もするのですが、どのようにお考えでしょうか。

(答) 実態として、中央銀行が全て1 件1 件の取引について判断や審査をす

るのは、現実的ではないと考えています。

以 上

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